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「四季」から「二季」に…秋の“短縮化”が自律神経乱す!?冬迎える前に必要な健康対策

  • 2025.11.13
冬を迎える前に必要な健康対策とは?(画像はイメージ)
冬を迎える前に必要な健康対策とは?(画像はイメージ)

2025年は全国的に猛暑が続き、10月上旬まで最高気温が30度以上になることも珍しくありませんでした。また、今年話題となった言葉に贈られる「2025 T&D保険グループ新語・流行語大賞」(「現代用語の基礎知識」選)の候補30語が11月5日に発表され、地球温暖化の影響で四季が夏と冬に二季化している状況を表す「二季」という言葉がノミネートされ、話題となりました。

今年は実質的に秋の時期が短いまま、冬に入ることになりますが、その場合、体にどのような影響を及ぼす可能性があるのでしょうか。冬を迎える前に必要な健康対策について、用賀きくち内科 肝臓・内視鏡クリニック(東京都世田谷区)院長で肝臓学会専門医、消化器病学会専門医の菊池真大さんに聞きました。

秋の期間が短いと筋骨格系に悪影響が出る可能性

Q.2025年は10月上旬まで暑い日が続きました。体にどのような影響が出ている可能性があるのでしょうか。

菊池さん「秋は本来、気温や湿度が安定し、筋肉や関節を最も動かしやすい季節です。この時期に運動習慣を再開することで、夏の間に低下した筋力や柔軟性を回復させ、冬の寒さに備えた体づくりが可能になります。しかし、2025年のように猛暑が長引き、秋の期間が短縮されると、こうした『準備期間』が失われ、筋骨格系にさまざまな悪影響が及ぶ可能性があります。

まず、運動不足が続くことで筋肉量と筋力が低下し、特に高齢者ではサルコペニア(加齢性筋肉減少症)が進行しやすくなります。筋肉が減ると、関節を支える力が弱まり、膝や腰への負担が増して転倒や歩行障害のリスクが高まります。また、筋肉の代謝機能が低下すると、エネルギー効率が悪くなり、疲れやすさや冷えの原因にもなります。

さらに、秋に十分な運動ができないまま冬に入ると、寒さによって血流が低下し、関節周囲の軟部組織が硬くなります。これにより関節の可動域が狭まり、こわばりや痛みが現れやすくなります。特に変形性膝関節症や肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)を抱える人では、寒冷刺激によって炎症が再燃し、症状が悪化することもあります。

また、寒さは末梢(まっしょう)神経の伝導速度を低下させるため、痛覚過敏やしびれなどの神経症状が出やすくなります。秋のうちに運動で血流を促進し、神経の栄養状態を整えておかないと、冬に入ってから慢性疼痛(とうつう)や神経障害性疼痛が悪化する可能性もあります。

この時期は自律神経の乱れが起こりやすくなります。通常、秋は気温が徐々に下がることで体が寒さに慣れていく準備期間ですが、今年は猛暑が長引いた影響でその『慣らし期間』が短いため、急激な寒さに対応できず、交感神経と副交感神経のバランスが崩れやすくなります。これにより、倦怠(けんたい)感、頭痛、めまい、睡眠障害などの不調が現れることがあります。

免疫力の低下も懸念されます。猛暑による夏バテが回復しきらないまま冬の寒さにさらされると、体力が十分に戻らず、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。特に高齢者や慢性疾患を抱える人は注意が必要です」

Q.では、秋の間に取り組むべき健康対策について、教えてください。

菊池さん「秋は、夏の疲れを癒やし、冬に備えるための大切な季節です。まず、旬の食材を生かした温かい食事で、内臓を冷やさずに栄養バランスを整えることが重要です。特に青魚や根菜、キノコ類は、免疫力や代謝の向上に役立ちます。

また、涼しい気候は運動を再開する絶好の機会です。ウオーキングやストレッチなど、無理のない運動を習慣化することで、筋力や代謝を高め、脂肪肝や生活習慣病の予防につながります。

日照時間が短くなることで気分が沈みやすくなるため、朝の光を浴びたり、自然の中で体を動かしたりすることで、心のリズムも整います。さらに、乾燥が進む季節でもあるため、加湿や水分補給を意識し、感染症対策にも取り組みましょう。

秋は、心と体を整える絶好のタイミングです。この時期をどう過ごすかが、冬の体調を大きく左右します」

Q.秋の間に何の対策も行わずに冬に入った場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。

菊池さん「夏の疲労が回復しないまま冬に入ることで、免疫力が低下しやすくなります。これは風邪やインフルエンザ、ノロウイルスなどの感染症にかかりやすくなる要因となり、特に高齢者や基礎疾患を持つ人は重症化のリスクが高まります。冬はウィルスの活動性が増す時期で、うがいや手洗いなどの徹底が大切です。

また、秋は本来、運動習慣を再構築するのに適した季節ですが、その機会を逃すと筋力や代謝が低下したまま冬を迎えることになります。これにより、関節のこわばりや筋肉の萎縮が進み、転倒や腰痛、肩こりなどの運動器トラブルが早期に現れる可能性があります。生活習慣病管理と同じぐらい大切なのが、運動機能を落とさないことです。加齢性の変化も加わると、筋肉や骨格の衰えは健康寿命の短縮につながります。寝たきりを予防する意味でも体力を維持し、健康的な生活を心掛けましょう」

オトナンサー編集部

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