1. トップ
  2. おでかけ
  3. 【50代の四国旅】3年に一度の「瀬戸内国際芸術祭」は秋会期が今年のラストチャンス!アート感覚の四国水族館で癒やされる♪

【50代の四国旅】3年に一度の「瀬戸内国際芸術祭」は秋会期が今年のラストチャンス!アート感覚の四国水族館で癒やされる♪

  • 2025.10.11

芸術の秋! 世界的に有名な芸術文化の聖地・直島へ

瀬戸内のみならず、日本を代表するアートの聖地・直島。日本を訪れる海外ツーリストにも人気の訪問先となっていて、BBC(英国放送協会)による「2025年に旅行したい場所25カ所」にも、国内で唯一ランクインしています。

ベネッセハウス ミュージアムの屋外に展示されている草間彌生氏の《南瓜》(2022)は、ベネッセアートサイト直島のシンボルともいうべき作品。風景も含めてひとつのアートです。

直島には美術館やギャラリーのほか、屋外作品が点在。なかでも注目は、今春本村地区にオープンしたばかりの直島新美術館。ベネッセアートサイト直島における安藤忠雄氏設計のアート施設としては10番目となる建物で、テラスからは瀬戸内海を臨むことができます。

館内では現在、日本、中国、韓国、インドネシア、タイ、フィリピンなどアジア地域出身のアーティストによる「開館記念展示―原点から未来へ」が行われています。

私も個人的に訪れて、自分の心と向き合うように作品を鑑賞してきました。同じ時代を生きるアーティストの作品には、リアルな生命力が溢れている気がします。

美術館以外にも、直島の集落に溶け込むようにアート施設があるのも直島を訪れる楽しみ。本村地区の家屋を展示の場としている「Ring of Fire - ヤンの太陽 & ウィーラセタクンの月」は、昼(Solar)と夜(Lunar)とで異なる表情を見せるインスタレーションが見どころ。

本村地区において展開するアートプロジェクト「家プロジェクト」のアート施設をめぐりながら散策していると、私たちの暮らしの地続きにアートがあるんだということを再認識することができるのではないかと思います。

直島を旅立つ前に、フェリーが発着する港がある宮之浦の草間彌生氏の《赤かぼちゃ》(2006)にも会ってきました。作品の中に入ることもでき、思い思いのポーズで記念撮影する人の行列ができています。みんなでアートを楽しむワクワク感を共有できました!

実は私、直島も瀬戸芸も知ってはいたけど訪れたのは今回が初めて。あまりのスケールにいつどうやって参加すればいいのだろうと迷っているうちに時間が経ってしまったんですが、実際に訪れてみて、“行って出合えたアートと向き合う、その時を持つことが自分の心を豊かにしてくれるんだ”ということがわかりました。

ちなみに私が宿を取ったのは、高松市内。高松港は、直島・豊島(てしま)・犬島のベネッセアートサイト直島関連スポットや瀬戸芸開催エリアの拠点となっているので、とりあえず行ってみようという方は、高松市に泊まるのがよいのではないかと思います。夕飯には、名物の骨付鶏をいただきました。グルメも充実! 大きな商店街もあるので、お買い物も楽しめますよ〜!

美しい瀬戸内の風景のなか“瀬戸芸”西エリアをめぐるアート旅

斜面に石垣の家々が立ち並ぶ「高見島(たかみしま)」

瀬戸芸の西エリアには、多度津港や丸亀港からフェリーでアクセスできます。最初に訪れたのは高見島。斜面を這うようにつづく細い上り坂や階段をあがっていくと、かつて除虫菊の栽培などで栄えた家々や空き地が「高見島アートトレイル」の作品たちの展示の場になっています。

風景になじむように作品がひそんでいるので、探すのも楽しみ。ただし、足もとにご注意を! 瀬戸芸に参加する際には、歩きやすい靴がマストです。

こちらは中塚邸に展示されている泉 桐子(とうこ)さんの絵画《The days when you said you were okay and the scene about the boat》。屋根裏には、橋本雅也さんによる木と土からなる作品群《子音と海》も。

同じ民家のはなれには谷本真理さんの陶器作品《Stepping stones of memory》が。谷本さんは石垣の隙間にそっと小さな陶器を展示した《Left things,letters》も手がけています。

淺井裕介さんの巨大な立体作品《土ヲ喰ム》の作品の一部には高見島の土も使われているほか、島を去った人々の暮らしの道具も取り入れられています。

妖精のように集落のあちこちに登場する立体作品は、淺井さんによる《星屑の子どもたち》と題されたシリーズ。

高見島でかつて行われていた「なもで踊り神下ろし式」から着想を得たインスタレーション作品《おりおりる》を手がけるのは、保良雄(やすらたけし)さん。建物に這うツタひとつまでも作品の一部になっているようでした。

海辺には、八角形の塔《鳥のための塔》が。大室佑介さんが設計を担当し、内部の漆喰壁には中谷ミチコさんの2羽の鳥をモチーフにした作品が羽ばたいています。

瀬戸内に観光客が押し寄せるさまをバッタの襲来に見立て、外来種の食材を使ったカレーを《エイリアンフード 島の外来種》という作品の一環として供しているのは、食をテーマにしたアーティスト・EAT&ART TAROさん。

そのへんでよく見かける外来植物・セイタカアワダチソウのソースはスパイシーな風味でした。

島のあちこちには、ちょっとひと息つける椅子が設置されていますが、こちらもBankART1929+PHスタジオが手がける椅子プロジェクト《家具φ》シリーズの作品。座っても大丈夫です!

日本の発展を支えた瀬戸内の産業の町々でアートの息吹を感じて

珠玉の町並みとアートが出合う「本島(ほんじま)」

次に訪れた本島は、戦国時代には塩飽(しわく)水軍が本拠地とし、江戸から明治にかけては塩飽大工が活躍した島。

泊地区の民家にはタイ・バンコク出身のジャッガイ・シリブートさんが島民の皆さんから集めた古着を素材とするタペストリーなどから構成される作品《ディスパッチ》が展示されています。

本島市民センターの横にある旧本島中学校体育館では、コタケマンさんの手がける巨大な絵画作品などが《うみのえまつり》と題して展示されています。

こちらの絵画には、本島などの土が使われており、屋外で制作されたこともあり雨や風など自然の力も表現の一部になっていました。

香川県で唯一、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている笠島地区には今も立派な家並みが残されています。

その空き家全体を使ったインスタレーション作品《House of Shadows(影の家)》は、ロシア・モスクワ生まれのアーティスト、エカテリーナ・ムロムツェワさんによるもの。

本島と次に訪れた宇多津・古街(こまち)地区では、筧康明(かけひやすあき)さんによるネットワークインスタレーション《Echoes as Air Flows》が展開されています。

モニターの前のマイクのようなものにフーッと息を吹きかけると、映っている場所でシャボン玉がふわふわ〜っと飛び出す、遠隔シャボン玉。行き交う誰かが気づいてくれると楽しい!

今回の秋会期から初めて会場になった「宇多津(うたづ)」

かつては日本有数の塩の町として栄えた宇多津は、香川県のほぼ中央にある湾岸エリア。古い街並みが残る古街地区と、塩田が広がっていた臨海部を再開発した新たな町並みとが共存しています。

米蔵だった建物をリノベーションした「こめっせ宇多津」と靴を商っていた「旧三好商店」では、さまざまなメディアを使用した作品を手がけるアーティスト、シガリット・ランダウさんの出身国・イスラエルに接する死海の塩で結晶化された作品などが展示されています。

国の登録有形文化財にも指定されている「倉の館三角邸(旧堺邸)」。母屋は伝統的な日本家屋ですが、日本庭園の一角には大正ロマンを思わせるハイカラな洋館が。

その和室と茶室には、真っ青な床に塩だけで描かれた無数の泡のようなインスタレーション作品《時を紡ぐ》が展示されています。
もともと塩を素材とした表現に取り組んでいる山本基(もとい)さんが、製塩業で栄えた宇多津の歴史をバックボーンに制作したというストーリー性にも心惹かれます。

塩は固定されていないので、物を落としたりしないように細心の注意を払って鑑賞しましょう! ドキドキした〜!

シンガポールのアーティスト、ゼン・テーさんは、八幡神社と伊勢之宮神社を中心にインスタレーション《The Imperative Landscape》を展開。

ここで行われていた神事や、日が指す角度まで計算されて建てられていることなどをリサーチしたうえで構成された伊勢之宮神社での展示は、日本古来の信仰の核心を捉えたアートだと思いました。

宇多津のランドマーク・四国水族館からほど近い海辺ではアクリル製の立体作品《色のない翼の彼方》ごしに瀬戸内の島なみを一望。2022年のUBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)で大賞を受賞した西澤利高さんの作品です。

宇多津では、大人気のうどん店「本格手打うどん おか泉(せん)」で「ひや天ぶっかけ」をいただきました。店内で手打ちされている讃岐うどんはどっしり、もちもち。天ぷらもたっぷりのボリューミーなおうどんでしたが、つるつるっと美味しく完食いたしました。

ちなみに瀬戸芸の西エリア取材は、プレスツアーで訪れたので、一部の作品のみを取り上げており、移動時間もショートカットできています。おそらくご紹介した各エリアはそれぞれゆっくり回ると半日は要すると思いますので、フェリーなどの移動手段の時間とも相談しながらめぐる必要があります。訪れてみたい島や見てみたい作品、訪れる期間に開催されているイベントなどを軸に、欲張らずにめぐるのがおすすめです!


四国の豊かな水の自然を体感できる「四国水族館」

夏に開催されたプレスツアーでは、宇多津にある四国水族館も訪れたので、併せてご紹介します!

2020年にオープンし、子どもはもちろん、大人も楽しめる水族館として人気です。

触れそうなぐらい近いプールでは「イルカプレイングタイム」が開催されていました。かしこいイルカたちが楽しそうに技を披露してくれます。

鳴門のうずしおを再現した「渦潮の景」は、フォトスポットとしても人気。

私のお気に入りは、クラゲの展示エリア。ぽわぽわ〜っと泳ぐクラゲたちを美しくライティングした没入感のある空間です。

黒潮に乗って旅する魚たちを展示している「綿津見(わたつみ)の景」では、ちょうどごはんタイム。魚たちの動きが急にスピーディに!

四国ならではの豊かな水景を、美術館のように楽しむことができます。カフェのような立て看板にはいきものたちの解説が書かれているのですが、なんと飼育員さんたちの手書き!

屋外には「水遊ゾーン」も。私が近づいてみたら、向こうも近づいてきたペンギン。しばらく見つめ合ってしまいました。

この日は特別に、6月に生まれたカルフォルニアアシカの赤ちゃんにも会わせていただきました。成長の様子は四国水族館のSNSでも公開されています!

「潮風の庭」には、いい写真が撮れそうなアートスポット「UMI to SORA」も。

一人だと撮れないので、写真をお借りしてきました。素敵!

2Fの「キッチンせとうち」では海を眺めながら、もちろんこちら! 讃岐うどん! ほかにもカフェがふたつあるので、一日中ゆっくり過ごすのもおすすめ。

ミュージアムショップも充実! お菓子やぬいぐるみ、日用雑貨まで幅広い品揃え。

オフィシャルキャラクターで宣伝隊長の「しゅこくん」グッズをはじめ、水のいきものたち×讃岐うどんという香川らしいモチーフのシリーズの雑貨も。友だちのお子さんにプレゼントしたら、とっておきのポストカードでお礼状が届きました♡

2025年10月25日(土)、11月8日(土)、11月15日(土)には、閉館後の水族館にてキャンプ体験ができる、夜の水族館「Nightscape Camp2025」が開催されるそう! 水族館に泊まれたり、イルカの飼育員さんのお仕事体験など、3つの体験プランが用意されているのですが、すでに申し込みが殺到しているようです。ご興味のある方は、特設サイトをチェックしてくださいね。

瀬戸内海を一望できる絶景&露天風呂!「休暇村讃岐五色台」

四国水族館へのプレスツアーの道中には、休暇村讃岐五色台に立ち寄りました。今年春にリニューアルオープンした際に設置された「水鏡のテラス」が大人気なんです(ツアー当日にはちょうどものすごい雨が降っていたので、お写真をお借りしました)。

お風呂に入りながら空に浮かんで瀬戸内海を眺められるような大浴場「瀬戸内天空の絶景風呂」。うっかり長湯しちゃいそうですね。日帰りでの利用も可能だそう。

広々とした特別室「プレミアム和洋室 瀬戸内テラス」には、半露天の部屋風呂や1人用サウナも。ミニキッチンやランドリーも完備されています。

おまけでご紹介するのは、高松を目指す道すがらに立ち寄った徳島のセレクトショップ「HIRAOKA shouten」。公私ともにお世話になっている友人で、お店の装花を手がける神楽坂の花屋「te-n.」のなおちゃんが紹介してくれた当代の当主にあたる姉妹との会話が弾みまくり、3時間も滞在してしまいました。

江戸時代から繊維に関わるモノを商っている老舗で、現在は日本だけでなく、パリ、ミラノなど世界各地の50以上のブランドを独自の感性でセレクトしています。

バイヤーの皆さんに共通するのは、洋服への愛。インポートを始めたご両親の薫陶を受けたセンスはピカイチ。MARNIやMaison Margielaといった有名どころから、新進気鋭まで幅広いブランドから集められたアイテムはほぼ一点もの。

48年前に建てられたモダンなビルには3つのショップが展開されているほか、コーヒー好きには知らない人のいない「aalto coffee」が看板も出さずにひっそりとオープンさせたカフェ「14g」も実はこちらの2Fにあります。

この記事を書いた人

編集者 ふなつあさこ

ふなつあさこ

生まれも育ちも東京ながら、幼少の頃より関西(とくに奈良)に憧れ、奈良女子大学に進学。卒業後、宝島社にて編集職に就き『LOVE! 京都』はじめ関西ブランドのムックなどを手がける。2022年、結婚を機に奈良へ“Nターン”。現在はフリーランスの編集者として奈良と東京を行き来しながら働きつつ、ほんのり梵妻業もこなす日々。

元記事で読む
の記事をもっとみる