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新婦「両親への感謝の手紙は読まない」結婚式1週間前に父が“大病”に…→プランナーの対応に「イチかバチかの賭けでした」

  • 2025.10.11
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出典:photoAC(写真はイメージです)

こんにちは、元ウェディングプランナーのyukimaruです。

これは私が現役プランナーの時に経験した、イチかバチかの賭けでした。

プランナーを退いた今でも、この新婦様とはプライベートでお付き合いさせていただいています。

「私しかいない!」そう思ってギリギリの行動をし続けた、想いだけで突っ走っていたプランナー時代、私にとっても忘れられない時間です。

新婦と新婦父のわだかまり

まゆみさん(仮名)は、初回の打ち合わせからずっと「新婦から両親への感謝の手紙は読まない」の一点張り。理由は、父との確執でした。

まゆみさんが高校生の時、反抗期もあり父の言うことを全く聞かなかったそうで、ある日、些細な言い合いから父親に頬を叩かれたそうです。そこから10年が経った今も、まともに口をきくことはないとのことです。

まゆみさんと母親との関係は良好で、友達のような親子です。

まゆみさんから見て、父親は、大好きな母親に冷たい態度を取っているようにも見えていたようで、そこにも怒りがありました。

母親は、ずっと父と娘の関係を心配し続ける日々だったようです。

ミーティング中にまさかの電話

打ち合わせを重ね半年経過したある日のミーティング。結婚式は、あと10日に迫っていました。

打ち合わせ中に一本の電話、それはまゆみさんの母から。その場で電話に出たまゆみさんは、話しながらスマホを床に落としました。

「お父さんが、仕事中に救急車で運ばれて…脳梗塞で命も危ないかも」

ミーティングは中断、まゆみさんと婚約者は、急いで病院に駆けつけました。

その後、2〜3日連絡がなく、私もまゆみさんの心配と同時に結婚式の中止も視野に入れていたのです。

4日後、まゆみさんが来館。父親の容態は「一命は取り留めたものの、まだ厳しい状態」とのこと。

「結婚式は、そのままやります。父が、ベッドでか細い声で自分がどうなっても結婚式はしてほしい、花嫁姿を見たい…と」と言葉を詰まらせました。

正直、結婚式は執り行えても、父親に花嫁姿を見せることは不可能に近い。

そして、まゆみさんは、今、父親とのわだかまりが溶けかけているものの、あと一歩素直になれないという状態でした。

急遽、前撮りで家族だけのミニ挙式

「どうしても花嫁姿をお父さんに見せてあげたい」「まゆみさんと父親のわだかまりを解きたい」「まゆみさんに後悔を残させたくない」

そんな強い想いが私の心に湧きあがりました。

この時、結婚式の5日前。私からお母さまに電話をし「明日、お父様一時外出の許可をいただくことはできますか?」と連絡をとりました。

明日は、まゆみさんの前撮りの日。

もしかしたら結婚式当日、お父様が出席できないかもしれない、そう思った私は、前撮りの日に、バージンロードを車いすでも一緒に歩いてもらおうと決意。

お母様が病院に掛け合って、2時間の外出を許されました。

前撮り当日

まゆみさんは、幸せそうな半面、少し影があるように感じたのは、お父様への想いでしょう。まゆみさんには知らせずに、車いすのお父様にタキシードを1時間かけて着せました。

そして、チャペルでの撮影の際、チャペルの扉を開けると、そこにはタキシード姿で車いすのお父さんが。

まゆみさんは、思わず涙が溢れます。嗚咽で立ち上がれなくなりました。

「車いすで、バージンロードを一緒に歩きましょう」

私がそう提案すると、なんとお父様は震える脚を抑えて立ち上がったのです!そして、まゆみさんとゆっくり一歩一歩バージンロードを歩き、新郎様の元へ。

お父様は新郎様に娘を手渡す際、「私の大事な大事な娘です、幸せにしてやってください。もし泣かすようなことがあったら、天国から大声で怒鳴ってやるぞ(笑)」と。

まゆみさんは、「ごめんね、本当にごめんね、ありがとう」とお父様を抱きしめ、ずっとずっと感謝を伝え続けていました。

プランナーはじめ関わったスタッフ、その場にいた全員、涙が止まりません。

プランナーとは、人生の1ページを作る仕事

後日、結婚式に間に合うことなく、お父様は他界されました。

しかし、結婚式当日、まゆみさんは晴れやかな顔で過ごし、最後の新婦の手紙、「天国にいる父へ」と空を見上げながら父への感謝の気持ちを、涙と笑顔で伝えたのです。

結婚式から数日、まゆみさんが私を訪ねてくれました。

お父様との前撮りの写真を私に差し出し、「あのままだと、ずっと一生後悔したままだったと思います。本当にありがとうございました。よかったらこの写真、もらってもらえますか?」と。

お母様からは手紙をいただき、そこには「あの子のこれからの人生に一筋の灯明を照らしてくれてありがとうございました」と書かれてあり、その手紙はいまでも宝物です。

結婚式のプランナーとは、ただ結婚式を作るだけでなく、人生の1ページを作る大切な存在なのだと改めて、かみしめた一日になりました。

そして10年以上経過した、今でも忘れられない時間です。


ライター:yukimaru

ウェディングプランナー10年、ウェディング上場会社の支配人を5年経験し、年間100組以上の結婚式を担当してきました。私にとっては毎週の結婚式、でも、新郎新婦にとってのウェディングプランナーはひとり。一期一会の出会いを大切に、結婚式が終わった新郎新婦の人生も応援し続けています。


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