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駅前タワマンを購入も「通学に徒歩1時間」入居後、教育委員会から告げられた“大誤算”【一級建築士は見た】

  • 2025.9.28
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出典元:ChatGPT(イメージ)

「利便性を重視してタワマンを買ったのに、子どもが徒歩1時間もかかる小学校に行くことになりました…」

Kさん(30代女性・夫婦+子供1人)は、通勤の利便性と学区に評判の良い小学校があることに惹かれ、駅前のタワマンを購入しました。

しかし、入居してしばらくすると、教育委員会から「学区の小学校は定員オーバーで入学できない」と告げられたのです。

「学区の小学校に入れると信じていた」

Kさん一家がタワマンの購入を決めた最大の理由は、学区に評判の良い小学校があることでした。

しかし、実際には「定員オーバーで入れない」という現実が待っていたのです。

「家のすぐそばに小学校があるのに通えないのは納得できません。子どもは毎朝7時前に出発し、帰宅は夕方。遊ぶ時間も減り、疲れた表情を見せることが増えました。毎日の通学も心配です、少しでも帰宅が遅くなると、不安でたまりません。」

理想の住まいを手に入れたはずが、通学だけは大誤算だった――その背景には、タワマン建設ラッシュによって短期間に児童が急増し、学校の受け入れ体制が追いつかない現実があります。

教育環境に生じる“負”の連鎖

タワマンの建設ラッシュによる児童急増は、単に「通学距離が長くなる」という問題にとどまりません。家庭や子どもの生活全体に、さまざまな影響が広がっていきます。

学習環境の悪化

急増する児童に対応するため、行政はプレハブ校舎の増設を余儀なくされます。応急処置になるため、通常の校舎より冬は寒く夏は暑い環境で学ばざるを得ません。

生活リズムの乱れ

長距離通学は、低学年の子どもにとっては大きな負担です。毎朝早く家を出なければならず、帰宅は夕方。放課後に友達と遊ぶ時間や、習い事に通う余裕が減ってしまいます。十分な睡眠をとる時間も削られ、疲労が蓄積することで学習意欲や体調にも悪影響が出かねません。

地域コミュニティの分断

同じ地域で通う小学校が異なれば、近所で気軽に遊べる友達が少くなくなります。子どもの孤立感につながりやすく、親同士のつながりも希薄になりがちです。

なぜ起きる?児童急増と教室不足

私は行政で都市計画や建築行政を担当してきましたが、マンション開発と学校整備のスピードの違いは常に問題でした。

マンションは数年で完成し、短期間で数百世帯が一気に流入します。ところが学校の新設は、マンション建設が決まってからようやく学校新設の検討を始まるため、行政の対応はどうしても後手に回りやすいのが現状です。加えて、都市部ではそもそも学校用地の確保自体が難しいという大きな課題も抱えています。

開発許可の段階で「児童数シミュレーション」が不十分なまま進むこともあります。本来は住宅開発と教育施設整備を一体で検討すべきですが、現実には「住宅先行・学校後追い」というアンバランスが生じやすいのです。

「タワマン=子育て安心」ではない

タワマンは都市生活の象徴として多くの魅力を持ちますが、教育環境に関しては大きなリスクがあります。
学区の小学校に入れない、徒歩1時間の遠方通学、地域コミュニティの分断――これらは購入前には見えにくい“落とし穴”です。

こうした後悔を避けるには、購入前の下調べが欠かせません。
教育委員会に問い合わせて、児童数の推移や教室の余裕、今後の学校整備計画を確認しておくことが重要です。加えて、周辺で建設中・計画中のマンション戸数を把握すれば、将来的に学校が過密化するリスクも見えてきます。

夢のマイホームを後悔に変えないためには、立地や価格だけでなく「学校」という生活基盤を必ず確認すべきです。
タワマンが必ずしも“子育てしやすい街”ではない――この現実を知り、冷静に住まいを選ぶことが、家族の未来を守る第一歩になるのです。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。