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「年金だけで老人ホームに入れるの?」→FPが教える“相場”と“費用を抑えるコツ”とは

  • 2025.9.25
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「年金だけで老人ホームの費用をまかなえるの?」という疑問は、多くのシニア世代やその家族が抱える切実な問題です。年金受給額は決して多くなく、毎月の生活費で精一杯という声も少なくありません。そんな中、老人ホームの利用料金は一般的に高額で、入居を検討する際には「年金だけで十分か」という不安が尽きないでしょう。この記事では、ファイナンシャルプランナー(FP)がリアルな事実をもとに、「年金だけで老人ホームに入居することは可能なのか」「どんな費用がかかるのか」「費用負担を抑える方法」など、多角的な視点からその“まさかの事実”を解説します。

年金だけで老人ホームに?費用と現実のギャップを徹底解剖

まず押さえておきたいのは、老人ホームには「介護付き有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」など、さまざまな種類があり、費用構造に大きな違いがあることです。月額の利用料金は施設や地域によって異なりますが、一般的には10万円〜30万円程度が相場と言われています。これには家賃相当額、管理費、食費、介護サービス費用などが含まれます。

一方で、日本の公的年金の平均受給額は、夫婦どちらも会社員だった場合、夫婦2人世帯なら約27~29万円程度とされています。生活費のほかに老人ホームの費用が重なると、年金のみで賄うには厳しいことが多いのです。実際、多くの高齢者は年金だけに頼らず、貯蓄や子どもからの援助を受けて費用をカバーしています。

また、自治体による介護保険サービスや補助制度も利用できますが、これらは主に介護サービス費用の一部を軽減するものであるため、年金だけでは賄えない場合も考えられます。

老人ホームの費用を抑える工夫と公的支援の活用術

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

これまで紹介した金額を見て、「年金だけでは無理」とあきらめるのはまだ早いかもしれません。実は、費用の負担を軽くする方法や公的支援を上手に活用する手段があります。

まず、入居費用が比較的安い「軽費老人ホーム(ケアハウス)」や「特別養護老人ホーム(特養)」の利用を検討する方法があります。特養は公的施設であり、費用は所得や資産に応じて設定されるため、年金収入のみでも利用可能なケースが多いです。ただし、入居待機者が多数いるため、待機期間が長くなることがあります。

加えて、介護保険制度を活用すれば、介護にかかる費用の一部が公費で賄われるため、実際の自己負担は軽減されます。さらに、自治体によっては「高齢者住宅入居支援金」や「利用者負担軽減制度」を設けているところもあるため、地元の福祉窓口に相談することが重要です。

また、持ち家ではない場合などは、家賃も鑑みて住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅を選ぶ方法もあります

年金だけでの老人ホーム入居は“工夫と情報収集”がカギ

年金だけで老人ホームに入居することは、一見難しい問題に思えますが、施設の種類や自治体の支援制度、介護保険の活用次第では、可能なケースもあります。重要なのは、早めの情報収集と自分や家族の状況に合ったプランニングです。公的な助成制度や低価格帯の施設を検討し、無理なく安心して暮らせる環境を選ぶことが大切です。

年金以外の資産の有無や家族のサポート体制も含めて、複合的に検討することがおすすめ。安心して老後を過ごすためには、まず自分の収支状況を正確に把握し、専門家の相談を積極的に利用しましょう。それが、ベストな選択をする近道になるでしょう。


監修者:中川 佳人(なかがわ よしと)

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。
専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。