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自分や親が『認知症』になる前に…『持ち家』で決めておくべき“3つのこと”【お金のプロが解説】

  • 2025.9.18
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

親や自分が認知症になるかもしれない…そんな不安を持つ方も増えています。特に持ち家がある場合、認知症発症後のトラブルを防ぐためには事前の準備が重要です。対策を行っていないと相続や介護費用の支払い、住まいの管理で家族間にもめ事が起きることも。今回は、認知症になってから慌てないように、今のうちに持ち家で決めておきたい3つのポイントを分かりやすく解説します。

なぜ認知症前の準備が必要?持ち家がもたらすリスクとは

持ち家があると安心…そう思いがちですが、認知症になると状況は変わります。本人の判断能力が低下するため、不動産の管理や処分が難しくなり、結果として家族間でトラブルが起きやすくなるのです。例えば、親の持ち家を誰が管理するのか意思が明確でないと、財産管理を巡って争いになることも少なくありません。介護費や医療費のために持ち家の売却を検討する場合にも、認知症発症後では手続きに時間がかかり、家族の負担が増します。

また、本人が認知症になると後見人の選任が必要となり、手続きが複雑で時間がかかることも。こうした問題を未然に防ぐためには、認知症になる前に「誰が」「どのように」持ち家を管理・処分していくかを家族で話し合い、書面に残しておくことが大切です。

具体的に決めておきたい3つのポイント

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

それでは、トラブル回避に欠かせない重要な3つのことを詳しく見ていきましょう。

1、財産管理を任せる人(代理人)の指定

認知症になった時に備え、本人が元気なうちに信頼できる家族や親族、専門家に財産管理を任せる「委任契約」を結びましょう。特に不動産は管理や売買に手間がかかるため、代理人を指定しておくことでスムーズな処理が可能です。委任契約は公正証書にすることで法的に強い効力を持ち、後のトラブル防止にもなります。

2、遺言書の作成

持ち家の相続を巡るトラブルはよく聞かれます。遺言書を作成しておくことで、どの相続人にどの財産を引き継ぐかを明確にできます。認知症発症後は意思能力が問われるため、元気なうちに作成するのがポイントです。専門家のアドバイスを受けながら作ると安心です。

3、成年後見制度の理解と準備

もし認知症になってしまった場合、家庭裁判所で成年後見人が選ばれることになります。自分や家族が納得できる人を後見人にできるよう、事前に制度の仕組みを理解し、どのように手続きを進めるかを話し合っておきましょう。場合によっては任意後見契約(認知症前に後見人を決めておく契約)も有効です。

早めに具体的な話し合いを始め、専門家(司法書士や弁護士、行政書士)に相談することで、手続きのポイントや法的な対策を一緒に考えてもらえます。

また、持ち家の権利関係や資産状況の確認もこのタイミングで行うと良いでしょう。家族の間で理解と合意を深めておくことが、後のトラブルを防ぐ最大の秘訣です。将来、誰もが安心して暮らせるように、できることをコツコツ進めていきましょう。

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出典:マネーシップス 石坂貴史

将来の安心のために早めに話し合おう

持ち家があると安心と思いがちですが、認知症になる前に話し合いと準備をしておかないと、資産管理や相続で家族間トラブルに発展することがあります。今回ご紹介した「代理人の指定」「遺言書の作成」「成年後見制度の理解と準備」の3つをぜひ検討し、専門家のサポートも受けながら進めてください。

元気なうちの準備が、認知症になったときの安心感につながります。持ち家を守り、笑顔の未来を築くために、今から行動を始めましょう。


監修者:石坂貴史

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証券会社IFA、2級FP技能士、AFP、マネーシップス運営代表者。累計1,100件以上のご相談、金融関連の記事制作、校正・監修を手掛けています。「金融・経済、不動産、保険、相続、税制、教育」の6つのFP分野が専門。お金の運用やライフプランの相談において、ポートフォリオ理論と行動経済学を基盤にサポートいたします。

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