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親が『認知症』になってしまったら…気をつけたい“お金の管理方法”3選【お金のプロが解説】

  • 2025.9.20
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

大切な親が認知症を発症すると、家族としていろいろな面で心配が増えますよね。中でも、生活にかかわる「お金の管理」は特に難しい問題です。「上手く本人に任せられないけど、どうやって管理すれば安全にお金を使えるの?」「詐欺などの被害に遭わないか心配…」と感じている方は少なくないでしょう。今回はそんな悩みに応え、認知症の親のために家族が気をつけておきたいお金の管理方法を3つのポイントに分けて詳しくご紹介します。

認知症で発生するお金のトラブル

認知症になると、物忘れが進むだけでなく、判断力や計算力、問題解決能力が低下していきます。これは「お金の管理」に直結し、自分で預金の引き出しや振り込み、請求書の支払いを正確にできなくなってしまうことがあります。たとえば、ATMの操作がわからなくなったり、同じ支払いを何度も繰り返してしまったりといったトラブルも起こり得るのです。

さらに、認知症の方は「お金の持ち出し」に対して無防備になる一方で、詐欺のような悪質なトラブルにも巻き込まれやすくなります。そのため、家族や介護者が注意深く見守ることが必要とされています。また、本人の意思能力が低下している場合、法的にもすぐには財産管理に介入できないこともあるため慎重さが求められます。

お金の管理方法で大切な3つのポイント

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

では実際に、親の認知症に備えて家族ができる安全かつ効果的なお金の管理方法を3つのポイントに絞ってご紹介します。

1、法的手続きを活用し「財産管理」をサポートする

認知症が進行し、判断能力が著しく低下してしまった場合は、家族が財産を法律的に管理できるようにすることが大切です。そのためには「成年後見制度」を利用する方法があります。これは裁判所によって選定された後見人が、本人の財産管理や契約・金銭の支払いを代行する仕組みです。家族以外の専門家が後見人になるケースもあり、公正・安全な管理が可能となります。

また、認知症にならないうちに「任意後見契約」を結んでおくと、将来的に判断力が落ちた場合でも事前に信頼できる人に財産を任せられてスムーズです。これら制度の申請や手続きは複雑ですが、市区町村の福祉課や司法書士事務所などで相談が可能です。

2、口座を2つに分け、「生活費」と「貯蓄」を分けて管理

認知症の進行に合わせて、たとえば日々の生活費だけを引き出しやすい口座に入れておき、残りの資金は別の口座で管理するという方法があります。こうすることで、手元に必要以上のお金を置かずに済み、衝動的な出費やトラブルを防げます。具体的にメイン口座は家族が管理し、生活費口座に毎月数万円を振り込む形です。

また、ATMの利用履歴や通帳記帳を定期的に家族がチェックすることで、不審な取引を早期に発見しやすくなります。早めの対応が詐欺被害や不正利用を未然に防ぐことに役立つのです。

3、定期的なコミュニケーションと家族の連携を欠かさない

お金のことで本人と直接会話できるうちは、こまめに話をして現状の確認や不審な話がないかを確かめましょう。たとえば、使い道や請求書の内容を一緒に見て、怪しい電話や訪問販売などの被害を防ぐこともできます。

また、兄弟姉妹や親戚など家族間で情報を共有し、誰かが突然の出費に気づいたらすぐ相談できる体制を作るのも大切。周囲で協力することでお金のトラブルに早く気づき、本人の大切な財産を守ることにつながります。

認知症になっても大切な「お金」を守るためにできること

親が認知症になったときのお金の管理は、ただ単に「管理してあげる」というだけではなく、法律の知識や日常生活の小さな工夫、そして家族のチームワークが不可欠です。

時間が経つほどに判断力が弱まりますから、「今できることを早めに取り入れる」という意識がポイントです。トラブルが起きる前に早めに準備をしてみてはいかがでしょうか。


監修者:中川 佳人(なかがわ よしと)

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。
専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。