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「先生に言いつけてやる!」激怒する患者家族に…普段は無愛想な医師が看護師をかばって一喝

  • 2025.9.19
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出典:Photo AC ※画像はイメージです

皆さんこんにちは!看護師×webライターのsaoriです!

突然ですが、職場にいつも無愛想で声をかけづらいスタッフの方っていませんか?

私が働いていた病棟にも、とても話しかけにくいオーラを出している医師が一人いました。何かを報告すれば「なんでそんなことになってんの?」と質問攻め。

今回はそんな無愛想な医師にまつわるお話です。

せん妄状態にあった70代男性患者さん

ある日、私が出勤すると70代男性のAさんという患者さんが新しく入院となっていました。

Aさんは元々頑固な性格。さらに、入院という環境の変化から「せん妄(身体に負担がかかった際に一時的に生じる脳の機能の乱れや意識の混乱)状態」となっていました。

他の患者さんに危害を加えるリスクもあったので病室は個室で対応。

Aさんは、点滴を抜いたり、酸素をつけていても外したり、朝から環境整備をしてもすぐに散らかしてしまったりする状態でした。

片づけて環境を整えて退室しても、次訪室した時にはまた散らかっていてまた片づけて…の繰り返しです。

来院した家族が驚いたのは…

Aさんが入院してから2週間経ったある日、Aさんのご家族が来院されました。

入院以来初めての面会であったため、Aさんのせん妄状態を信じられず、さらに「病室が汚い」と部屋の汚さに驚かれたご家族。

「勤務帯に頻回に訪室し環境整備をしているのですが、Aさんにはせん妄状態で、すぐに散らかしてしまうのです。他の患者さんも入院してらっしゃいますし、きれいを保つには限度があるのが現状です」と説明しました。

そう説明すると、ご家族は、「そんなもの言い訳に過ぎない。看護師は患者の身の回りをきれいにして当たり前。今の現状を主治医から聞きたい。その時に先生に部屋が汚すぎるから看護師に指導してって言いつけるからな!」と言われたのです。

看護師の対応自体は間違っておらず、ここで「先生には言わないでください」というのもおかしな話なので、さらにAさんの状況をご説明したあと、それでもご納得いただけないようだったので、私は「わかりました。先生に言っていただいて構いません」と返答しました。

主治医との話し合い。ご家族からの指摘に先生の返答は?

30代男性のB先生に、Aさんのご家族が来院しており、病状説明を希望していると連絡。「わかりました、今から行きます」と返事があり、話をすることになりました。

B先生は、口数が少なく話し方も冷たく、一言で言うととっつきにくい性格です。B先生の日頃の言動のことを思うと、ご家族から“言いつけ”をされても、「僕に言われても知りません」と言うだろうな、と勝手に予想していました。

病状説明が始まると、ご家族は「看護師に指導してほしい、部屋が汚いってどういうことだ。それでも看護師なのか!」と怒った様子で詰め寄りました

その発言に対しB先生はなんと、

「看護師は24時間命と向き合ってるんです。夜中なんて50人弱の患者を3人でみているんですよ。部屋を何回も病室に行っては片づけてくれています。せん妄状態だから、きれいにしてもすぐに散らかってしまうんですよ。看護師は十分やってくれています。こんなに頑張っている看護師に対してこれ以上頑張れなんて僕は言えない」

と、看護師をかばう発言をしたのです。

さらに、「そこまで言うならご家族が毎日面会に来て部屋を片付けてもらっていいんですよ」と伝えてくれました。

医師が看護師を叱ると思っていたようで、ご家族はというと沈黙して、何も言い返せない状態でした。

医師の口から、せん妄状態と部屋の散らかりについてしっかりと説明してくれたおかげで、最終的にはご家族は「さっきは失礼しました」と謝罪を口にしてくださり、部屋も片づけて帰っていかれました。

自分が今できることを誠実にやっていこうと思えた

正直なところ、私はB先生に対し「話しかけにくいしいつも冷たい程度を取るからクレームを言われても看護師を責めてくる、もしくは言われても知らないって言うのだろうな」と思っていました。

ですが、蓋を開けてみると実際には看護師のことをよく見ていて、言うべきことは言ってくれていました。

見てくれている人は必ずいる。自分が今できることを誠実にやっていこう。そう思えた出来事でした。


ライター:saori
2011年に正看護師を取得し、急性期病院と施設内訪問看護を経験。現在は子どもに関わる仕事に従事中。看護師×webライターとして活動している。「言葉で人を救いたい!」と心に響くような発信を意識している。3人の子どもを育てながら働くパワフルママ。(note


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