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ムードメーカーだった小学生が日に日に荒れていき「実は1学期の終わりから…」保護者に連絡すると“意外な真相”が明らかに

  • 2025.9.18
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出典:Photo AC ※画像はイメージです

こんにちは。元小学校教員のみずいろ文具です。

今回は、私が担任していたクラスで経験した、野球少年団に入った男の子の変化についてお話しします。習い事やスポーツ少年団は、子どもの成長にとって素晴らしい経験ですが、時に心身への負担となり、学校生活に影響を及ぼすこともあるのです。

明るく活発だったBくんの変化

Bくんと出会ったのは、私が3年生を担任していたとき。少々お調子者で、笑いを取ろうとしてふざけすぎることもありましたが、気のいい明るい子で、クラスのムードメーカーでした。

ところが、2学期が始まったころから、少しずつ変化が見え始めます。授業中に落ち着かない、友達との小競り合いが増える、言葉遣いが荒くなる…。ときには手が出て、相手にけがをさせてしまうことも。

最初は「夏休み明けで生活リズムが乱れているのかな」と思っていましたが、トラブルの頻度は増すばかりで、学級全体の雰囲気にも影響が出てきました。

電話で知った野球少年団の存在

心配になった私は、放課後にBくんの保護者の方へ電話をかけました。するとお母さんが、少しためらいながら教えてくれました。

「実は1学期の終わりから野球少年団に入ったんです。本人もやりたいと言ったので…」

詳しく聞くと、お父さんがとても熱心で、「やるならトップを目指せ」と練習がない日も夜遅くまで素振りや筋トレをさせているとのこと。土日も朝から遠征や試合があり、Bくんが家庭でゆったりと過ごせる時間はほとんどないようでした。

私は「最近の学校での様子を見ると、少し疲れているのかもしれません。お父さんと相談してみてください」とお伝えしました。電話を切ったあと、Bくんの沈んだ表情が頭に浮かび、「お父さんが理解してくださるといいな」と祈るような気持ちになりました。

父親の反応と葛藤

数日後、お父さんから連絡がありました。

「Bは野球を続けたいと言っています。私も、やるなら本気でやらせたい。中途半端が一番いけないと思うんです」

私も「最後まで頑張り抜くこと」は大切だと、学級の子どもたちにはよく話していたので、その気持ちはよく分かります。しかし、それが子どもの負担となり、学校生活や心の安定にまで影響を及ぼすようなら、立ち止まって見直す勇気も必要なのではないでしょうか。

Bくんの表情は日に日に曇り、授業中も集中できず、イライラして友達に手が出ることがさらに増えていきました。明らかに「楽しさ」よりも「義務感」や「疲れ」が勝っている、そんな様子でした。

学校で見えた“サイン”

子どもは親の思いを敏感に感じ取ります。本当は「疲れた、もうやめたい」と感じていても、親が喜んでいる、期待していると感じると、言い出せなくなってしまうことも多いもの。

Eくんの場合も、度重なる友達とのトラブルは単なる反抗心ではなく、「もう疲れた」「休みたい」という心の叫びだったと感じています。

主体性をもって習い事に取り組むために

習い事やスポーツ少年団は、子どもの興味関心を伸ばし、仲間と協力する力や努力する力を育むすばらしい経験です。

けれども、次のような変化が見られたときは、少し立ち止まって考えるタイミングかもしれません。

  • いつも疲れている、朝起きられない
  • 学校の準備や宿題を嫌がる
  • 友達とぶつかることが増える、怒りっぽくなる

こんなサインが出ていたら、「少しペースを落とそうか?」と声をかける勇気も必要です。

子どもの気持ちを尊重する習い事に

親として、子どもにいろいろな経験をさせたい、可能性を伸ばしたいという思いは自然なものです。
ただ、習い事が「楽しいチャレンジ」から「苦しい義務」になってしまったとき、子どもの心はどんどんすり減ってしまいます。

学校で見える変化は、家庭では気づきにくいSOSかもしれません。保護者と学校が情報を共有し、子どもが笑顔で挑戦を続けられるようサポートしていくことが、なにより大切だと感じています。



ライター:みずいろ文具
関東の公立小学校で15年間、子どもたちと向き合ってきました。教室での日々を通して感じた喜びや戸惑い、子どもたちから教わったことを、今は言葉にしています。教育現場のリアルや、子どもたちの小さな成長の瞬間を、やさしい視点でお届けします。


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