1. トップ
  2. 「主役として火曜10時の枠に帰ってくるとは」5年前の火曜ドラマ“大ブレイク前”の実力派女優による“ピカイチ”な演技

「主役として火曜10時の枠に帰ってくるとは」5年前の火曜ドラマ“大ブレイク前”の実力派女優による“ピカイチ”な演技

  • 2025.10.4

多部未華子、大森南朋らが共演した2020年7月期のTBS系 火曜ドラマ『私の家政夫ナギサさん』。四ツ原フリコの人気漫画『家政夫のナギサさん』をテレビドラマ化した本作は、仕事はできるが家事と恋は不器用な主人公・メイ(多部)と、スーパー家政夫(大森)が巻き起こすラブコメ作品だ。登場人物たちの人間味や人の温かさに癒される“わたナギ”の魅力を深掘りしたい。

おじさん家政夫が主人公のアラサー女子も、視聴者の心も癒す!

家政婦(夫)が出てくるドラマは数あれど、本作で登場するのは、50歳のおじさん家政夫。しかも、家事全般をパーフェクトにこなすスーパー家政夫・ナギサさんだ。第1話では、医薬情報担当者“MR”として製薬会社で勤めているメイとナギサさんの出会いが描かれた。

メイは、自身の誕生日に自宅に帰ると、中年男性と遭遇。驚くメイだったが、中年男性の正体は、“おじさん家政夫・ナギサさん”で、妹の唯(趣里)からのプレゼントだった。唯は、家事代行サービス会社に勤めており、家事が苦手なメイを心配していた。さらに、メイの自宅の散らかり具合がすさまじく、視聴者は衝撃を受ける場面でもあった。

メイは、自宅に“おじさん”がいることへの抵抗を持っていたが、整頓された部屋で過ごすことや清潔なベッドで眠れること、温かな食事のある生活に、次第に癒されていく。仕事で成功することが自信だった彼女が、成果をあげられず落ち込んだ際も、優しくフォローをするナギサさん。“お母さんになりたい”という夢を持つナギサさんは、メイだけでなく、メイの家族の救世主にもなっていく。ナギサさんとのやりとりが微笑ましく、「心の栄養、沢山貰いました」「心温まる優しい空気感がとても良かった」「おじキュンえぐい」と視聴者の癒しにもなっていた。

とはいえ、メイは世間体を気にしており、“おじさん家政夫”に家事を頼んでいることを周囲に隠していた。しかし物語が進むにつれ、母や仕事のライバル・田所(瀬戸康史)、親友であり同僚の薫(高橋メアリージュン)にも、ナギサさんの存在が知られてしまう展開に…。“おじさん家政夫”の存在に、驚く登場人物の反応が印象的で、その都度視聴者の笑いを誘っていた。

ブレイク前の実力派女優の姿も…

ナギサさんに助けてもらってばかりのメイは、彼のためにできることをしようとする。やる時はとことんのやる“シゴデキ”のメイの行動によって、ナギサさんの心も救われていく様子も描かれた。また、何かとミステリアスなナギサさんのことを探る場面も印象的だ。

undefined
松本若菜 (C)SANKEI

さらに、火曜ドラマ『西園寺さんは家事をしない』(2024年)の主演を務めた松本若菜が、ナギサさんと縁のある女性役で出演していたことも特筆したい。『やんごとなき一族』(2022年)で注目を集めた彼女にとって、本作出演時は、“ブレイク前の姿”といえるだろう。再放送や配信を視聴した人から「彼女は主役として火曜10時の枠に帰ってくるとは」「出てたんだ」「演技がピカイチ」といった声も上がっていた。

一方、仕事一筋で恋に不器用なメイに好意を寄せる恋人候補もチラホラ。まっすぐに自分の思いを伝える医師の肥後(宮尾俊太郎)や同業者の田所の男前な告白は、視聴者をキュンとさせてくれた。

メイは、患者さんのことを第一に考えているということもあり、日頃から人の気持ちを大切にしている。自分の気持ちと、想いを寄せてくれる人に向き合い、思い悩む姿も描かれていた。メイに助言を求められた時も、「メイさんの気持ちを整理整頓することは、メイさんにしかできないことです」と伝えたナギサさんの真摯な言葉も印象的だ。

これまでのメイにとって理想の相手は、「今の自分の生活を1mmも変えないでいい人」だったが…。いつも仕事第一なメイが自分にとっての幸せが何かを考える姿は、観る人のそれぞれに考えさせられるものがあった。

メイをサポートする個性豊かな同僚たち

チームリーダーに抜擢されたメイを見守る薫や、支店長の(富田靖子)ら、個性豊かなチームの面々やチームワークの良さも魅力的。なかでも、メイと行動を共にしていた新入社員の瀬川(眞栄田郷敦)の存在は回を増すごとに大きくなり、その成長や活躍も見どころとなっていた。

連ドラ終了後に「心に染み入り、生きていくことにそっと力をくれる」「見終わった後は気持ちが充電されました」との声が上がり、メイたちのその後が盛り込まれた特別編も放送されるなど話題を集めた本作。頑張る人々の心を、きっと温めてくれる、そんな作品だ。


ライター:小松加奈
ライター/編集者。音楽・映画・ドラマ・アニメなどのエンタメ系を中心にインタビュー/レビュー/コラム記事などを手掛ける。