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“全員主役級”のキャスト陣に熱視線 人気脚本家が“25年ぶりの快挙”となる主題歌まで隙なしの秋の新ドラマ

  • 2025.10.1
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(左から)神木隆之介、菅田将暉、二階堂ふみ、浜辺美波、アンミカ (C)SANKEI

2025年10月期放送の秋ドラマの中で、特に注目の作品を挙げるとするならば、菅田将暉が主演を務め、三谷幸喜が脚本を手がけたフジテレビ系新ドラマ『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』になるだろう。

メインキャストに菅田将暉、二階堂ふみ、神木隆之介、浜辺美波

注目のポイントはいくつかある。まず、キャッチーな部分では、キャストが豪華なところ。主演の菅田をはじめ、二階堂ふみ、神木隆之介、浜辺美波といった全員が主役を張れる豪華な面々である。神木と浜辺という、NHK連続テレビ小説『らんまん』や映画『ゴジラ-1.0』で知られるお馴染みのコンビが揃っていることもすでに話題だ。ほかにも井上順、坂東彌十郎、小林薫といった重鎮から、小池栄子、菊地凛子、戸塚純貴、市原隼人、さらにはひょうろくまで、バラエティに富んだメンバーがラインナップされている。

三谷幸喜がいつか描きたかった、1984年の渋谷が舞台

そして、本作が三谷にとって『合い言葉は勇気』以来25年ぶりの民放GP帯の連続ドラマとなること。近年の三谷脚本としては2022年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が思い浮かぶが、TVerでも配信されている事前番組のインタビューの中で三谷は連ドラとして今作のような全11話で全体を構成するのは久々であると明かしている。その上で勝算のある、三谷自身にしかできないドラマとして選んだのが、1984年の渋谷の物語だった。

本作は、まだ何者でもない一癖も二癖もある若者たちの苦悩と挫折、恋模様をつづった青春群像劇。約40年前、まだ放送作家だった三谷が実際に見聞きしていたストリップ劇場とアパートが建ち並ぶパワーと明るさに満ちていた渋谷を描いている。日本が活気に溢れていたあの頃を映し出すことで、不安な現代に生きる人たちのエールを、そして連続ドラマの可能性を見出すことが本作の狙いであり、見どころだ。

小池や坂東といった『鎌倉殿の13人』の北条家の面々など、三谷脚本ではお馴染みの顔もいるのは楽しみなところだが、意外なことに菅田、二階堂、神木、浜辺のメインキャスト陣は今作で三谷と初めて会う、または三谷作品が初めてという形だ。『鎌倉殿の13人』で源義経を好演した菅田は、大河の際に三谷と会うことはなかったが、三谷から絶大なる信頼を置かれていた。思い描いていたイメージを具体化できる菅田の芝居を、三谷は田村正和、西田敏行以来だと称賛し、今作の主役に据えている。

作品が放つのは、当時の日本の活気、人々のエネルギー

この記事を執筆している時点でドラマの映像は短いスポットのみだが、ありありと伝わってくるのはエネルギッシュな熱量、パワー。その要素を担うのが、成功を夢見る劇団演出家・久部三成を演じる菅田だ。タバコの煙を燻らせる、身勝手にそれぞれの人生を生きていた昭和の時代を象徴している。二階堂が演じるのは、劇場のダンサーで妖艶な雰囲気を纏う倖田リカ。三谷は桃井かおり、秋吉久美子といった女優の名前を例に挙げながら、二階堂が放つオーラを褒め称えている。監督は『コード・ブルー-ドクターヘリ救急救命-』シリーズの西浦正記、主題歌は三谷との約束を果たすこととなるYOASOBIといった、どこを取っても隙のない布陣だ。

本作に映し出されているのは、当時は当たり前でも、今では当たり前でなくなった日常やカルチャー、街並み。そこには現代の日本が失いかけている活気や人々のエネルギーが確かにあった。


ライター:渡辺彰浩
1988年生まれ。福島県出身。リアルサウンド編集部を経て独立。荒木飛呂彦、藤井健太郎、乃木坂46など多岐にわたるインタビューを担当。映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』、ドラマ『岸辺露伴は動かない』展、『LIVE AZUMA』ではオフィシャルライターを務める。