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60代「老後資金を貯めたいのに、『住宅ローン』が残っている…」→FPが教える、“賢い返済方法”とは?

  • 2025.9.7
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

人生100年時代と言われる今、60代で住宅ローンがまだ残っている方も少なくありません。これから退職を迎え、収入が減る一方で老後資金も確保しなければならず、住宅ローンの返済とのバランスに不安を感じる人も多いでしょう。果たして、老後のゆとりある生活と住宅ローン返済は両立可能なのでしょうか?この記事では、ファイナンシャルプランナー(FP)の視点から、老後資金と住宅ローンの関係、賢い返済方法や対策についてわかりやすく解説します。

老後資金と住宅ローン、なぜ両立が難しいのか?

まず大切なのは、住宅ローンの返済と老後資金の問題は、単に借金を返すだけではなくライフプラン全体を見直すことが必要だという点です。60代ともなると、退職金や年金収入がメインの収入になる人が大半ですが、毎月の住宅ローン返済が重くのしかかれば、老後の生活費や医療費、趣味や旅行といった楽しみの支出が圧迫されます。

例えば、60代で残債が数百万円ある場合、完済までにあと10年以上かかることも。月々の返済に無理があれば、貯蓄を切り崩すか、老後資金を十分に確保できず生活が苦しくなる可能性が高まります。老後の支出は医療費の増加や予期せぬ支出など不確定要素も多いため、住宅ローン返済を優先しすぎて貯蓄が不足するのは危険です

国民生活基礎調査や総務省の家計調査によると、65歳以上の単身世帯の毎月の平均消費支出は約15万円前後ですが、住宅ローンの負担がこれに上乗せされると、生活の余裕が大きく減ります。

無理な住宅ローン返済と老後資金を両立させるためのポイント

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

住宅ローン返済と老後資金、賢く両立するためには次のような対策が考えられます。

  • 繰り上げ返済を検討
    もし貯蓄や退職金の一部で返済できるなら、繰り上げ返済で返済期間の短縮を図る方法が有効です。これにより住宅ローンの返済期間が短くなり、総返済額も減ることになります。完済が早まるため、住宅ローン返済が家計を圧迫する期間が短くなります。
  • 返済計画の見直し
    収入減に合わせて返済額の減額や返済期間延長を金融機関と相談する方法もあります。返済額の減額や期間の延長は、金利負担が増えるため、総返済額が増加することになります。毎月の返済額を最適化しながらも、総返済額が増加することには注意しましょう。
  • 退職後の収入源確保
    年金収入だけでなく、パートや副業など、無理のない範囲で収入を増やす工夫も考えられます。収入が増えれば住宅ローン返済や老後資金の両立はより現実的になっていきます。

さらに、必要に応じて不動産の売却や住み替えも選択肢に入ります。老後の負担軽減を重視し、家計全体のバランスをとることをファイナンシャルプランナーも推奨しています。

計画的な見直しがあれば、無理なく両立は可能!

60代で住宅ローンの返済がまだ残っているのは決して珍しいことではありません。しかし、老後資金と住宅ローン返済の両立は計画的に進めることが大切です。収入の減少に合わせて返済計画を見直したり、繰り上げ返済を賢く利用することで、必要な老後資金を残しつつ、住宅ローン返済も無理なく進める道はあります。

一人で抱え込んでしまい対策が遅れると家計が圧迫されるため、一度専門家に相談してみるのもおすすめです。老後の安心を手に入れるために、早めに計画をして対策していきましょう。


監修者:中川 佳人(なかがわ よしと)

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。
専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。