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『老後』に備えて今すぐ見直して!→元銀行員が教える、通帳管理の『3つのNGポイント』とは

  • 2025.8.30
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

老後の準備といえば、多くの方が老後資金の確保に注目するのではないでしょうか。しかし、通帳の管理方法に問題があると、いざという時に払い出しに時間がかかる可能性があります。

病気やケガによる入院、認知症の発生などは誰にでも起こり得ます。このような状況になり、資金の払い出しに時間がかかる場面を何度も見てきました。

この記事では、元銀行員としての経験と知見から、今すぐ見直すべき通帳管理の「3つのNG」と対策を紹介します。記事を読んだ後、老後に備えた通帳管理に取り組むきっかけになると幸いです。

老後に困る「3つの通帳NG習慣」

ここでは、老後に向けて見直したい通帳管理のNGを3つ取り上げます。

NG1:休眠口座の放置で埋もれた資産に

休眠口座は相続時にも把握漏れしやすく、埋もれた資産になりがちです。原因の多くは、転職や引っ越し後に住所変更をしないで使わない口座を放置しているケースです。

長期間取引がない口座は休眠扱いになる際、はがきによる通知が送付されますが、届くことなく知らない間に休眠口座となっています。

NG2:通帳・印鑑・暗証番号の一括管理

通帳・印鑑・暗証番号をすべて同じ場所で管理するのは危険です。一箇所にまとめて保管すると、盗難や紛失、災害などで同時に失うリスクが高まります。

暗証番号のメモは、「第三者による不正引き出し」の重大なリスクが生じかねません。

NG3: 口座の分散しすぎで管理不能

金利やキャンペーン目的で口座を増やしすぎて把握できず、管理できていないケースがあります。開設時の特典のため、振込指定口座や引き落とし口座を言われるまま設定する方も多い傾向です。

入出金が分散して残高不足や支払い漏れを招きます。さらに、判断力が落ちる局面では管理負担が一気に高まり、滞納につながりかねません。

今から始める「老後に安心な通帳管理術」

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

ここでは、今からできる具体的な通帳管理の対策を紹介します。

1、口座の棚卸しと最大3口座への集約

保有するすべての口座を洗い出し、最終取引日と残高を確認します。残高が少額の口座や休眠口座は解約して残高を集約しましょう。

また、日常で使う口座は3つまでとし、役割を分けて整理します。

  • 生活費
  • 貯蓄
  • 緊急用

引き落とし口座はできるだけ1つにまとめると、管理負担が減り確認が容易です。

2、 家族との情報共有システムづくり

整理した口座情報は一覧表にまとめ、信頼できる家族と共有します。共有する情報は、以下のとおりです。

  • 銀行名
  • 支店名
  • 口座番号
  • 通帳と印鑑の保管場所

通帳と印鑑は別々に保管し、それぞれの保管場所を家族に伝えておきます。

また、暗証番号やネット銀行のID・パスワードは共有せず別管理とします。緊急時に家族がATMで引き出すのはトラブルの原因になり得るため、必要時は窓口で相談のうえ正規手続きで進める前提にしましょう。

3、定期的な通帳点検

点検頻度を決め、全口座の入出金や残高確認を実施します。不要な自動引き落としや手数料発生をチェックし、必要に応じて解約しましょう。

同時に口座情報(住所・電話番号)の更新も行い、銀行からの重要な通知が確実に届くようにしておきます。

通帳管理で老後の不安を解消しよう

通帳管理の整備は、老後の不安を小さくする実効性の高い対策です。今回紹介した3つのNGポイントは、どれも些細なように思えるかもしれません。しかし、いざという時に大きな差となって現れます。

老後を安心して過ごすためには、資金を貯めることと同じくらい適切な管理体制が重要です。

通帳管理を見直し、口座の棚卸し・家族との情報共有・定期的な点検ルーティンを実践してみましょう。より安心できる老後への第一歩となるはずです。


執筆:河野 義広
政府系金融機関で17年半勤務した経験を持つWebライター。現在は独立し、金融やお金に関する幅広いテーマを執筆している。
法人営業・融資事務・預金業務・インターネットバンキングコールセンターの統括などの業務を経験してきた。証券外務員一種・FP2級・簿記2級などの資格も保有。
現場経験と専門知識を活かし、日々の暮らしや事業運営に役立つマネー情報をわかりやすく発信。事業の融資相談や家計相談も承っている。