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年金の『繰り上げ』と『繰り下げ』どっちが本当に得?!→損をしないための“選択肢”とは?【元銀行員が解説】

  • 2025.8.14
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

年金の繰り上げ受給と繰り下げ受給という制度を、耳にしたことのある人もいるでしょう。しかしそれぞれの制度の内容やメリット・デメリットは、よくわからない人も多いのではないでしょうか。

繰り上げ受給も繰り下げ受給も、メリット・デメリットがあります。今回の記事ではそれぞれの特徴と、損しないための選択肢を紹介します。

年金の繰上げ受給・繰上げ受給とは

老齢基礎年金・厚生年金は、原則65歳から受け取れます。しかし希望すれば60歳から繰り上げて受け取ることや、75歳まで繰り下げて受け取れます。繰り上げて受け取った場合は、次の通り受け取る金額が減額されます。

受け取り開始の年齢 減額割合
60歳 24.0%
61歳 19.2%
62歳 14.4%
63歳 9.6%
64歳 4.8%

※昭和37年4月2日以降生まれの人(昭和37年4月1日以前の人は最大で30.0%の減額)

また繰り下げで受け取った場合、次の通り増額されます。

受け取り開始の年齢 増額割合
66歳 8.4%
67歳 16.8%
68歳 25.2%
69歳 33.6%
70歳 42.0%
71歳 50.4%
72歳 58.8%
73歳 67.2%
74歳 75.6%
75歳 84.0%

※昭和27年4月1日生まれの人は繰り下げ年齢の上限70歳まで

どちらが得になるかは人によって違う

繰り上げ受給は長く年金を受け取れる反面、受け取り額が少ないです。一方繰り下げ受給は年金の受け取り期間は短いですが、受け取り額は多くなります。どちらが得になるかは、何歳まで受け取るかで変わってきます。

繰り上げ受給の場合は80歳10か月が損益分岐点

昭和37年4月2日以降生まれの人の場合は、1ヶ月繰り上げをすると0.4%減額になります。60歳で繰り上げ受給した場合と65歳からの受け取った場合と比較すると、累積の受け取り金額は80歳9か月で同額です。つまり80歳10か月以上受け取る場合は、繰り上げ受給しないほうが得になります。

繰り下げ受給の場合は81歳11か月が損益分岐点

繰り下げ受給の場合は、繰り下げた年齢によって損益分岐点がかわります。

受け取り開始の年齢 損益分岐点
70歳 81歳11か月
75歳 86歳11か月

繰り下げ受給をした場合は、長生きすればするほど得になります。このようにどちらが得になるかは、人によって違います。

繰り上げ受給・繰り下げ受給のメリット・デメリット

繰り上げ受給をすれば早くから年金を受給できる反面、年金額は減額されます。また繰り上げ受給を行った場合寡婦年金(個人事業主の夫が亡くなった場合に妻が受け取れる年金)の権利が消滅したり、障害年金を受け取れなくなるなどのデメリットがあります。

繰り下げ受給を選択した場合は、受け取る年金額が増額されます。しかし繰り下げ受給を選択すると、加給年金(配偶者や子どもがいる場合の上乗せ年金)を受給できません。繰り上げ・繰り下げどちらが得になるかは個人の状況によって大きく異なるため、慎重な検討が必要です。

繰り上げ受給・繰り下げ受給は慎重な検討が必要

繰り上げ受給・繰り下げ受給には、それぞれメリット・デメリットがあります。そのためどちらが得になるかは、一概にはいえません。損益分岐点となる年齢や、家族構成などを踏まえて検討する必要があります。今回の記事で紹介している内容などを踏まえて、慎重に検討するようにしましょう。


監修者:ゆきひろ
信託銀行に勤務する傍ら、金融系の記事も執筆する兼業ライター。日々富裕層顧客に金融や不動産を活用したウェルスマネジメントや税務に関する提案を行っており、培った知識と経験を活かして情報発信を行っている。過去には大手カード会社でクレジットの審査業務経験もあり、金融全般の知識に明るい。FP1級、宅建士を保有。

※参考;日本年金機構ホームページ
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-02.html
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-01.html