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「息が止まった」「やっぱり」“判明した黒幕”は予感が的中?クライマックス直前に相次ぐ反響の声【日曜ドラマ】

  • 2025.8.23

医療ドラマと聞くと、白衣をまとった医師たちが患者の命を救う姿や、現場での人間模様を思い浮かべる人が多いだろう。だが、ドラマ『DOCTOR PRICE』は一味違う。焦点が当てられるのは、手術室や救急外来ではなく“医師のキャリア”そのもの。医師専門の転職仲介を題材に、医療の理想と現実の狭間で生きる人々を描き出した本作は、従来の医療ドラマの文脈を鮮やかに裏切り、視聴者に新たな問いを突きつけている。

※【ご注意下さい】本記事はネタバレを含みます。

物語の温度を上げる「戦友」の関係性

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(C)ytv (C)逆津ツカサ・有柚まさき/双葉社

主人公・鳴木金成(岩田剛典)は、かつて極東大学病院の小児科医だった男で、現在は医師専門転職エージェントへと転身した異色の経歴を持つ男だ。彼の行動原理は二重構造になっている。

一つは“求職者の希望を必ず叶える”という徹底したプロフェッショナリズム。もう一つは“3年前に父が全責任を負った医療過誤の真相を暴く”という復讐心だ。この二つの軸が交錯することで、物語は単なるビジネスドラマでも復讐劇でもなく、スリリングで先の読めない展開を見せている。

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(C)ytv (C)逆津ツカサ・有柚まさき/双葉社

鳴木の隣に立つのは、事務スタッフの夜長亜季(蒔田彩珠)。“お金大好き”というキャラクターが物語に軽やかさを与える一方で、鳴木が冷徹になりすぎるときには人間味を取り戻させる存在でもある。

ふたりの掛け合いは視聴者にとって大きな魅力であり、ビジネスパートナー以上に“戦友”としての関係性が育まれていく過程は、物語に温度を与えている。

社会派×サスペンスの見どころ

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(C)ytv (C)逆津ツカサ・有柚まさき/双葉社

そして本作を根底から支配しているのが、3年前に起きた父・将成(林泰文)の医療過誤事件だ。当初は“技術不足”として処理されたが、改ざんされた看護記録、真実を知りながら口止めされた目撃者の存在など、何者かの意図が潜んでいるとしか思われなかった。

鳴木が次々と転職案件をこなしながらも、常にその裏で真相に近づいていく構造は、社会派ドラマとサスペンスが見事に融合した仕掛けと言えるだろう。

そして物語が終盤に差しかかり、ついに黒幕が姿を現した。SNSでも話題になったのが、ユースケ・サンタマリア演じる網野教授が、やっぱり悪役だった! という展開だ。

当初は飄々とした教授として登場し、どこか憎めない空気をまとっていた網野。しかし真相が明らかになるにつれ、父を死に追いやった黒幕としての本性が浮かび上がると、その笑顔は一転して不気味さを帯びた。

ユースケといえば、軽妙なトークやコミカルな役柄でも知られるが、そのギャップこそが視聴者を震わせたのだ。SNSでは「やっぱりユースケさんは黒かった」「対峙した瞬間、空気の重さに息が止まった」などといった声が相次ぎ、作品への熱量をさらに高めている。

勝つのは権力か? それとも

では、今後の見どころはどこにあるのか。まずは鳴木と網野の最終決戦だろう。父を犠牲にした医療過誤の真相は、証言や証拠の不足もあり、未だ決定打を欠いている。網野がすべてを闇に葬り去ろうとするのか、それとも鳴木が執念で真実を暴き出すのか。視聴者の関心はそこに集中している。

また、極東大学病院の院長選も大きなポイントだ。現院長・天童(篠原涼子)と、権力欲に燃える網野の戦いは、医療業界の縮図としても見応えがあるだろう。

さらに注目すべきは、“1話完結型”で描かれてきた転職エピソードが、最終盤でどのように本筋とつながるのかだ。ワークライフバランスを求める医師、巨額の報酬を望む若手、経営と理想の狭間で揺れる女性院長。それぞれの物語は単なるエピソードにとどまらず、医療現場のリアルな苦悩を映し出している。

鳴木は“お金”と“医の倫理”という対立をどう調停するのか。その選択は、復讐を超えた彼自身の人生を決定づける瞬間になるはずだ。

『DOCTOR PRICE』は、単なる医療ドラマではない。命の現場から少し離れた“キャリア”という切り口から、社会構造や人間の欲望をえぐり出す挑戦作だ。鳴木が父の死の真相を暴いたとき、彼は果たして何を手に入れるのか。復讐の達成か、それとも新たな矜持か。物語はついにクライマックスを迎えようとしている。


読売テレビ・日本テレビ系『DOCTOR PRICE』毎週日曜よる10時30分〜

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X(旧・Twitter):@yuu_uu_