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デトックスこそ究極のアンチエイジング。すぐに取り入れられる、手軽なセルフケアとは?【アーユルヴェーダの真価vol.3】

  • 2025.7.6

デトックス力を磨いて、老けない体に

本場インドやスリランカにおけるアーユルヴェーダでは体内に溜まった老廃物、毒素を排出する浄化療法がよく知られている。横浜市立大学の鮎澤名誉教授はこう語る。「アーユルヴェーダでは浄化療法を特に重視します。体内に溜まった毒素は老化と生活習慣病の原因になるからです。体の中の悪化したドーシャを1カ所に集めて下剤や嘔吐剤、断食などで体外へ排出するよう仕向ける『パンチャカルマと、オイルを用いたマッサージで皮膚から毒素を溶かし出す『スネハナカルマ』が主体となります。

これはマッサージをする際のオイルの質が決め手になります。本場では精製していない真っ黒でにおいも強烈なゴマ油を使うのですが、皮膚から毛細血管に浸透したオイルが老廃物を溶かし、それらがリンパ節に誘導され、体外へと排出されます。この老廃物=毒素こそが老化の原因なのだから、これらを取り除いてやれば老化しない体は叶うのです」(鮎澤教授)

アーユルヴェーダでは見た目の老化だけでなく、うつ病などに作用する心や脳へのアプローチもあると同大学の髙氏裕貴客員研究員は説く。「ナスヤという鼻の粘膜からオイルを吸収させる施術法ですが、日本アーユルヴェーダ学会で太白ゴマ油によるナスヤでうつ病の患者さんに改善の傾向が見られたという発表もありました

脳にはなかなかモノを送ることができないのですが、鼻から脳を浄化するということを古代の人がアーユルヴェーダで実践していたというのは興味深いです。同じく額に温めたオイルを垂らすシロダーラという施術も脳を浄化するといわれていて、思考がすっきりクリアになるこの施術もアーユルヴェーダならでは」(髙氏研究員)

今すぐ実践できる、アーユルヴェーダ式のセルフケア

インドやスリランカのアーユルヴェーダ施設は専門医が常駐し、各人のドーシャを診断し、デトックスのための投薬やトリートメント、運動や食事を細かく指示する。まとまった期間を必要とするので最低でも7日以上が条件である場合が多い。

「日本で本格的な施術をするのは、医療行為に当たるものもあるので医師のいるクリニックでないと行えません。東京の祐天寺にあるハタイクリニックでは西脇俊二院長とインドでアーユルヴェーダ大学の学位を持つ及川史歩先生の指導のもと、クリニックに付属するパンチャカルマセンターで2人の施術者が左右同時に行う本格的なトリートメントなどが受けられます。また東京・三鷹のアーユルヴェーダ ユニバースは、アーユルヴェーダを学んだ成川希先生や看護師らが揃う、アーユルヴェーダと現代医学の産婦人科が融合したメディカルサロンです。

Young European woman enjoying relaxation atmosphere during full body massage at spa, room decorated with candles and soft light.

クリニックやエステティックサロンで施術を受けるのももちろんとてもいいことですが、日々、簡単なセルフケアを自身で行うだけでも効果は十分。ディナチャリアというアーユルヴェーダにおける理想の規則正しい一日の過ごし方のメソッドがあるのですが、その中のいくつかを取り入れるだけでもOK。

体に溜まった老廃物をゴマ油やココナッツオイルなどで溶かし流すオイルマッサージや、家庭用のもので良いのでゴマ油でのナスヤ(鼻うがい)、朝起きたらタングスクレーパーで舌苔を取り除いてから、白湯を1杯飲む、自宅でのヨガ……etc.。ほかの国に比べてセルフケアを実践する人がまだまだ少ない日本。これらの方法で健康で若々しくいられることを知ってほしいですね」(髙氏研究員)

話を聞いたのは……

DAI AYUSAWA

鮎澤大。横浜市立大学名誉教授。ダッカ国立ユーナニ&アーユルヴェーダ医科大学客員教授。抗がん剤の作用機序や老化不老のメカニズムを長年にわたり研究。アーユルヴェーダを現代科学でひもとくアーユルマスター。

YUKI TAKAUJI

髙氏裕貴。横浜市立大学客員研究員。横浜市立大学大学院生命ナノシステム科学研究科にて博士号を取得。細胞の老化、および若返りのメカニズムやアーユルヴェーダハーブの生理作用に関する研究に従事している。

Text: Teruno Taira Editor: Misaki Kawatsu

※『VOGUE JAPAN』2025年8月号「究極のポジティブエイジング アーユルヴェーダの真価」転載記事。

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