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「命をかけて作り上げている」草彅剛、“2年半ぶり”の連ドラ主演 『遺品整理人役』通じて見えた“人生を終えた後に残せるモノ”

  • 2025.10.4
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10月から放送が始まるカンテレ・フジテレビ系月10ドラマ『終幕のロンド—もう二度と、会えないあなたに—』。草彅剛が、2年半ぶりの連続ドラマ主演、カンテレの連続ドラマとしては、通算9作目の主演となる。

今回、草彅が演じるのは、“遺品整理人”のシングルファザー・鳥飼樹。これまでの“僕シリーズ”、“戦争シリーズ”に携わったスタッフが集結し、全く新しい物語を紡いでいく。

TRILLでは、心を新たにカンテレと再タッグを組むことになる草彅にインタビューを実施。作品の印象と役作りについて伺った。

余白のある役柄と共演者と共に作り上げていく

――脚本を読まれたときの感想と作品への印象を教えてください。

草彅剛(以下、草彅) カンテレさんで以前主演させていただいた“戦争シリーズ”は、いわゆる復讐もので、ガツンとパンチがある作品でした。今回は、落ち着いたラブストーリーということですごく対照的だなというのが第一印象でした。相手役となる中村ゆりさんと余韻のある大人な雰囲気を出せれば、ドラマ史に残る作品にできるんじゃないかとドキドキワクワクして、これまでとは違う感覚を持てて新鮮でしたね。見終わったあとにじんわりと温もりが伝わってくるようなドラマになるのではないかと思っています。

――『終幕のロンド』とは音楽用語を使用したタイトルですが、タイトルを聞いたときの印象を教えてください。

草彅 “終幕”も“ロンド”も、個人的にあまり聞きなじみがない言葉で、それが逆に印象に残るタイトルになっていていいなと思っています。脚本の内容もそうなんですが、ストーリーがどのように進んでいくのか予想がつかなくて、掴みどころがない部分もあるのでそんな雰囲気がタイトルにも表れているなと感じています。

“終幕”って終わりって意味がありますが、終わりは始まりでもありますよね。“ロンド”は繰り返すって意味です。終わってまた始まって、それが繰り返していく。僕が演じる鳥飼樹は遺品整理人ということもあって、人が亡くなったあとに関わる仕事をしている人なので、物語の内容からタイトルの意味を感じてもらえると思います。

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――鳥飼樹はどのような人物として捉えていますか?

草彅 樹はおせっかいな部分がある、仕事以外の部分にも首を突っ込んで人のために突き進んでしまうような人物です。一方で人との関わり方の部分では、つかみどころのない余白がある役柄だなとも感じています。

――余白がある役柄とのことですが、役作りにはどのように取り組まれましたか?

草彅 どの役でもそうなんですが、役は自分とは違う人間なので、ひとりで考えているだけではよくわからないなあというのが、正直なところなんですよ。ただ役を通して、共演する俳優さんと芝居をしていくと、新たに生まれるものがあって。今回の場合は、ゆりさんとの芝居を通して自分の中に樹としてのリアルな気持ちが沸き起こっている感覚がありました。それを表現していくことで、樹という役が出来上がっているというイメージですね。ゆりさんだけでなく、他の俳優さんとの芝居の中で、樹の余白の部分を埋めていけたらと思っています。

また、今回は遺品整理人という珍しい職業ということもあって、現場にプロの方をお呼びして細かく指導をしていただきました。手袋をはめる時の所作だったり、お客様への対応だったり、アドバイスいただきながら樹の仕事を表現することも役作りにつながっています。

脚本を書かれた高橋美幸さんはリアルを追求される方で、脚本の段階で遺品整理人について詳しくお調べになっているのが伝わる内容です。そういった意味でも視聴者の皆さんに伝わるものがある作品になっていると思います。

――共演者である中村ゆりさんの印象を教えてください。

草彅 CMでの共演経験からすごくキュートで美しい方という印象があったのですが、今回がっつり共演させていただき、良きパートナーとして持ちつ持たれつの関係性を築けているなと思っています。僕自身、樹は余白がある役だと思っているので、ゆりさん演じる御厨真琴と向き合うと、樹として揺れ動く感情を感じるんですよ。シーンによって自分の中に生まれる気持ちが変わってそれが樹の役作りにもつながっていますし、演技にいい影響が出ているなと感じています。本当にゆりさんには助けられていますね。

遺品整理人の役を通して見えた生と死

 

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――生と死にまつわる物語ですが、草彅さんは生きることと死ぬことをどのように捉えていますか?

草彅 世の中には100%起きることってそうそうないと思うんですが、死は100%誰にでも起きることで。しかも突然起きるかもしれない。だからこそいつ死んでもいいように、悔いがないように生きようと思っています。そういう意識を持つことで、日頃の行動も変わるのではないかと。

ドラマとしては、遺品整理を通して死に向き合う物語ですし、死のネガティブな面ではなく何を残せるのかというポジティブな面を意識できるようなドラマにしていきたいですね。

――草彅さんが人生を終えた後に残せるものってなんだと思いますか?

草彅 出演してきた作品ですね。ドラマも映画も大袈裟なことを言えば命をかけて日々みんなで作り上げているものなので、自分のDNAが刻まれているものなんですよ。僕が人生の終幕を迎えたとしても作品が残り続けて、その後を生きる方たちに作品を見て、解釈してもらうことで、作品にも僕自身にも新たな価値が生まれるんじゃないかと思っています。

――ドラマを楽しみにしている方にメッセージをお願いします。

草彅 『終幕のロンド』は、遺品整理業者が中心となるドラマで、遺品から亡くなった方の抱えていた迷いや秘密、本当の思いが見える人間ドラマです。やっぱり遺品から何かが解き明かされる瞬間はグッとくるものがあり、感動的な部分を楽しんでいただけるんじゃないかと思っています。そこに樹と真琴の大人のラブストーリーが入り混じることで、さらに趣のある作品になっています。見ていただく方に幸せな気持ちや前向きな気持ちを与えられる温かいドラマにしたいと思っていますので、ぜひご覧いただけると嬉しいです。

くさなぎ・つよし
1974年7月9日生まれ、埼玉県出身。
主な出演作「ブギウギ」「罠の戦争」、映画『ミッドナイトスワン』『碁盤斬り』、『新幹
線大爆破』など。
主演舞台『シッダールタ』(東京・11月15日~12月27日、兵庫・26年1月10日~18日)が
公演予定。

■ヘアメイク:荒川英亮

■スタイリスト:栗田泰臣


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関西テレビ 『終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-』
【放送枠】2025年10月13日スタート 毎週月曜よる10時(カンテレ・フジテレビ系全国ネット)
【出演】 草彅剛 中村ゆり
八木莉可子 塩野瑛久 長井短 小澤竜心 石山順征 永瀬矢紘 /
要潤 国仲涼子 古川雄大 月城かなと / 大島蓉子 小柳ルミ子 村上弘明
中村雅俊 風吹ジュン
【TVerお気に入り登録】終幕のロンド ―もう二度と、会えないあなたに― | TVer
【脚本】 高橋美幸
【音楽】 菅野祐悟
【プロデューサー】 河西秀幸 三方祐人 阿部優香子
【演出】 宝来忠昭 洞功二
【演出・プロデューサー】 三宅喜重
【制作協力】ジニアス
【制作著作】カンテレ


ライター:古澤椋子
ドラマや映画コラム、インタビュー、イベントレポートなどを執筆するライター。ドラマ・映画・アニメ・漫画とともに育つ。
X(旧Twitter):@k_ar0202