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『感情に振り回されない人』は無意識にやってる…「気にしない」でも「切り替える」でもない、“賢い心の整え方”とは?【プロが解説】

  • 2025.7.11
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※Google Geminiにて作成(イメージ)

「あの人はなぜかイライラしない」、そんな人をあなたも見たことがありませんか?

忙しい仕事場や家庭の中で、感情の波に飲み込まれることなく穏やかでいられる人たち。彼らは「気にしない」とか「さっと切り替える」とよく言われますが、実はそれだけでは説明しきれない独特の感情の整え方を自然と行っています。

今回はそんな“イライラしない人”の秘密に迫り、私たちも真似できる具体的な感情コントロール法をご紹介します。

ただ気にしないわけじゃない?!イライラしない人が実践する「感情の整理」

一般的に「イライラしない」と言うと、「気にしない」か「気持ちを切り替える」ことを指す場合が多いです。

ですが、ストレスマネジメントでは、単純に問題を無視したり感情を切り替えたりするだけでは、根本的な感情の整え方とは言えません。たとえば、「気にしない」は感情を抑圧してしまい、蓄積されたストレスが後で爆発するリスクもあるため、長期的に見ると逆効果になるケースがあります。

一方、「切り替える」ことは素早い対応に優れていますが、焦って気持ちを変えようとすると、かえって感情が混乱しやすくなるのも事実です。

つまり、「気にしない」と「切り替える」のその間にある、もっと穏やかで自然な感情との付き合い方こそ、イライラしない人が自然とやっていることなのです。

この方法の根幹は「感情の整理」と言われ、具体的には自分の感じている怒りや苛立ちの理由を言語化し、軽く受け止め、必要に応じて頭の中で再評価を行うことを指します。

感情の整え方は習慣と環境によって形作られる

イライラしない人たちが知らず知らずのうちにやっているのは、感情を感じきってからニュートラルな視点で評価し直す「一時停止」の習慣です。

たとえば、職場で不快な言動をされたときに、「ああ、今自分は怒っている」とまず認識し、その感覚をただ受け入れます。

続けて、「なぜ怒ったのか」「本当にそれは自分にとって重要か」など、自分自身に問うことで、感情の成り立ちを整理しています。

この方法はマインドフルネスの実践と共通点が多く、感情を意識的に受け止める訓練により前頭前皮質の活動が活性化し、怒りや不安といった感情をより上手に調整できます。

また、この感情の整え方は「気にしない」のような感情の排除ではなく、「今の自分の感覚を認める」ことによって心のバランスを保つという点で、自己受容の概念に近いと言えます。自己受容が高い人はストレスに強く、対人関係でもトラブルが少ないという調査結果も出ています。

具体的な習慣としては、日記やメモに感情を書き出してみるのもおすすめ。単に「ムカついた」と書くのではなく、「~されたことでムカついた」という状況の説明を加えることで、頭の中のモヤモヤが整理され、自然と感情の波が穏やかになっていきます。

穏やかな日常づくりに役立つ感情の整え方のポイントまとめ

「なぜかイライラしない人」は決して感情を無理やり消しているわけでもなく、すぐに気持ちを切り替えて忘れているわけでもありません。

彼らが自然と行っているのは、自分の感情を一旦認識し、整理し、受け入れる「感情の整理」という方法です。このやり方は脳科学や心理学の視点からも裏付けられ、実践的なストレスコーピング法として非常に効果的だとされています。

日々の生活でイライラしがちな人も、まずは自分の感情を言語化してみることから始めてみましょう。感情を書き出したり、感じた理由を冷静に考え直すだけで、心の落ち着きを取り戻しやすくなります。また、感情を無理に抑えたり切り替えようと焦る必要もありません。自分の感情とゆっくり向き合いながら、穏やかな心の状態を積み重ねていくことで、自然とイライラと上手に付き合っていけるでしょう。

今後も心の健康を守るために「感情の整理」を意識的に取り入れて、自分らしい穏やかな日常を手に入れてみませんか?


監修者:川谷潤太(かわたに じゅんた)(株式会社脳レボ 代表)

兵庫県の大手学習塾において、当時最年少で校長に就任後、1教室で1,000名以上の生徒が通う学習塾に発展させ、講師研修や入試特番テレビのコメンテーターなども務める。

その後、岡山県の創志学園高校へ赴任し、学校改革とスポーツメンタル指導を担当。史上最速、創設1年、全員1年生で甲子園に出場した硬式野球部では3季連続甲子園出場を果たし、6名のプロ野球選手が誕生。ソフトボール部では3季連続日本一、柔道部では日本一や世界一の選手も輩出した。

2019年に株式会社 脳レボを創設し、オリンピック選手やプロ野球選手など、アスリートやスポーツチームへのメンタル指導、子ども・保護者・教員向けの教育講演、企業の人材育成マネジメントや研修などを手がけ、講演回数は8年間で1,500回以上、受講者は12万名を突破。脳科学や大脳生理学、バイオフィードバック工学をベースとした、具体的かつ実践的な手法により、多くの方の願望目標達成をサポートしている。