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『なぜか仕事ができる人』は無意識にやっていた…失敗を成長に変える人は取っている「たった3行のメモ」とは?

  • 2026.3.10
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「あのとき、なぜあんなミスをしてしまったんだろう……」

仕事中、過去の失敗を振り返るうちに気づけば手が止まり、時間だけが過ぎていたという経験はありませんか?

真面目で責任感の強い人ほど陥りがちなこの現象ですが、実は単なる「落ち込み」ではなく、脳がフリーズ状態に陥っているサインかもしれません。良かれと思ってしている「反省」が、いつの間にか自分を追い詰める「後悔」に変わってしまうのはなぜなのでしょうか。

今回は、人事として多くのビジネスパーソンの面談に立ち会ってきた、あゆ実社労士事務所さんに、思考のループから抜け出して前を向くための具体的な対処法について詳しく解説していただきました。

反省と後悔は別物? 失敗を引きずると脳はどうなるか

---仕事のミスを思い返して、気づけば手が止まってしまうことがあります。このとき、私たちの頭の中では何が起きているのでしょうか?

あゆ実社労士事務所さん:

「『なぜあのときこうしなかったんだろう』。そう繰り返しながら、気づけば仕事の手が止まっていた、という経験をお持ちの方は少なくないと思います。

反省と後悔は、一見似ていますが、思考の方向がまったく異なります。反省は『次にどうするか』という未来へのベクトルを持っています。一方、後悔は『あのときこうすればよかった』と、変えられない過去に向かい続けます。この違いが、脳への影響に大きく関わっていると感じています。

脳は、解決できない問題を前にすると、扁桃体が過剰に反応し、思考を司る前頭前野の働きが低下しやすくなります。つまり、『過去の失敗』という答えのない問いに向き合い続けることで、脳が文字通りフリーズしやすい状態になってしまうわけです。

人事として面談の場に立ち会ってきた中で感じるのは、この状態に陥りやすい方には共通する思考の癖があるということです。『完璧にできて当然』という自己基準の高さ、あるいは『ミスをした自分は評価が下がった』という他者視点への過敏さです。あるメンバーは、書類の一部に誤りがあっただけなのに、『自分はこの仕事に向いていないのではないか』という結論にまで飛躍してしまい、その日一日メールを書く手が止まってしまったことがありました。

こうした傾向は、真面目で責任感が強い人ほど出やすいと思います。企業側も、『ミスをゼロにする文化』だけでなく、『ミスから学べる場』を意識的につくることが、こうしたフリーズを防ぐ一歩になるのではないでしょうか。」

「なぜ?」の繰り返しが自己否定に変わる危険性

---原因を究明するために「なぜ失敗したのか」と自問することは大事だと思っていました。考えすぎてしまうことの問題点はどこにあるのでしょうか?

あゆ実社労士事務所さん:

「『なぜ失敗したのか』と自問することは、本来とても大切な習慣です。ただ、その問いの立て方によっては、学びではなく自己否定の燃料になってしまうことがあると感じています。

問題が起きるのは、『なぜ』の問いが原因探しではなく、自分責めに変わってしまうときです。『なぜミスをしたのか→自分の不注意だったから→自分はだめだ→また同じことをするかもしれない』という連鎖が生まれると、思考は未来の解決策ではなく、過去の失敗の繰り返しに向かいます。これが、いわゆるルミネーション(反芻思考)と呼ばれる状態で、脳がフリーズしやすいパターンの一つです。

『なぜ?』を5回繰り返すという手法があります。本来は構造的な原因分析のためのものですが、感情が高ぶった状態でこれを自分自身に向けると、自己否定の深掘りになりかねません。人事として、面談中に『なぜあのときああしたんだろうと何度も考えてしまって、同じメールを何度も読み返してしまうんです』と話してくれた方がいましたが、その方の『なぜ』は原因分析ではなく、自己嫌悪の繰り返しになっていました。

原因を深く考えること自体は否定されるものではありません。ただ、『何が起きたか(事実)』と『なぜ自分はだめなのか(評価)』は、切り分けて考える必要があります。マネジメントの立場からは、部下が自問し続けているとき、問いの方向を一緒に確認してあげることが助けになる場合も少なくないと思います。」

思考のループを断ち切る「事実と身体を動かす」アクション

---もし自分がそうした「脳のフリーズ」状態に陥ってしまったら、どうすれば抜け出すことができるのでしょうか?

あゆ実社労士事務所さん:

「思考のループに気づいたとき、『考えるのをやめよう』と意志の力で止めようとしても、なかなかうまくいかないことがあります。それよりも、思考を別の場所へ『動かす』ことの方が、現実的な方法だと感じています。

まず試してほしいのが、『事実だけを声に出して書く』という行動です。頭の中でぐるぐる回っていることを、感情ではなく事実だけに絞って紙やメモに書き出します。『報告書に誤りがあった。上司に指摘された。修正版を送った。』それだけでいいのです。感情的な評価が混ざらない言葉を使うことで、脳が『処理が終わった』と感じやすくなります。

次に、意識的に身体を動かすことも効果的です。立ち上がって水を一杯飲む、その場で10歩だけ歩く。こうした小さな行動が、脳の状態を切り替えるきっかけになります。脳と身体はつながっていて、身体が動くと思考も少しほぐれる傾向があります。

人事として、自責が強くなっているメンバーには『今日起きたことを3行で書いてみて』と伝えることがあります。長く書かなくていい、うまくまとめなくていい、ただ事実だけを書く。それだけで『考え続けること』から『記録すること』に意識が移り、フリーズが少し解けることがありました。

上司側も、ミスがあったとき『何があったか話してみて』と声をかけることで、本人が事実と感情を切り分ける練習を自然にできる場をつくれると思います。」

事実と感情を切り離し、失敗を「次のステップ」へ

「なぜ失敗したのか」と考えることは大切ですが、それが過去への後悔や自分責めのループに陥ってしまうと、心も脳も消耗してしまいます。

もしミスをして頭がフリーズしそうになったら、まずは「事実だけを紙に書き出す」こと、そして「身体を動かして意識を切り替える」ことから試してみてください。感情と事実をしっかりと切り分ける習慣が身につけば、どんな失敗も自己否定の燃料ではなく、未来への成長の糧に変えていけるはずです。


監修者:あゆ実社労士事務所
人材育成・キャリア支援を軸に約10年の実務経験を持つ、社会保険労務士/国家資格キャリアコンサルタント。 IT企業の人事として、新卒・若手育成、研修設計、評価・キャリア支援の仕組みづくりに携わる一方、個人では企業や個人に向けたキャリア相談・人事支援を行っている。 これまでに累計100名以上のキャリア面談を実施し、1on1制度設計や面談シートの設計、育成施策の言語化を支援。 近年は生成AIを活用した業務設計・人事業務の効率化にも注力し、「現場で使えること」を前提にしたAI活用の伴走支援を行っている。