工夫して10秒で計算してみて！「79×99」→暗算できる？

一見暗算が難しそうな式でも、工夫次第では思ったより簡単に答えが出せることがあります。

今回のような二桁×二桁の計算問題も、「ある工夫」をすれば暗算が可能です。

さて、あなたは10秒以内に答えを出せるでしょうか。

問題

次の計算を暗算でしなさい。
79×99

※制限時間は10秒です。

正解は、「7821」です。

頭の中で筆算をする方法もありますが、今回のような式の場合はあまりうまくいきません。

掛けられる数や掛ける数が大きく、計算過程が複雑になってしまうからです。

では、どうしたらよいのでしょうか。

次の「ポイント」を見て、この式に適した計算の工夫とはどのようなものなのかを確認しましょう。

この問題のポイントは、「×99を×100として計算すること」です。

問題の式が「79×99」ではなく、「79×100」だったとしたら計算はとても簡単ですよね。

79×99→79×100=7900

ここで、「え？×99と×100は違う計算でしょ？」と思うのは当然です。

実際、「79×100」の計算結果7900は7821というこの問題の答えとは違いますよね。

では、どれだけ違うのか考えてみましょう。

7821は7900よりも79小さい数です。この79という数字は、「79×99」の掛けられる数と一致しています。

つまり、「79×100」から掛けられる数の79を引けば、「79×100」の答えが求められるのです。

79×99
=79×100−79
=7900−79
=7821

このように「79×99」を「79×100−79」に変形すれば、ずっと簡単に答えが出せるでしょう。

ここで、「79×99」の式が「79×100−79」の形に変形できる理由を考えてみましょう。

掛け算は「掛けられる数」が「掛ける数」あったときの合計を求める式といえます。

例えば、「2×3」は2が3個あるときの合計を出す式なので、「2+2+2」の計算と同じです。

同様に「79×99」は「79+79+79...」と79を99個足すのと同じ計算結果になります。一方、「79×100」は79を100個足したときと同じ計算結果になります。

79×99は79を99個足す計算と同じ
79×100は79を100個足す計算と同じ

こう考えると、「79×100」が「79×99」よりも79大きい計算結果になるのは当然ですね。よって「79×99=79×100−79」という等式関係が成り立つのです。

また、「79×99」が「79×100−79」になる理由は、分配法則を使っても説明できます。

<分配法則（括弧の中が引き算のバージョン）>
〇×(▲−■)=〇×▲−〇×■

これは、( )の中の引き算をしてから〇を掛けても、( )の中に〇を掛けてから引き算しても答えは同じという意味です。

よって、次のように式変形ができます。

79×99
=79×(100−1) ←99を100−1で表す
=79×100−79×1 ←()の中の数にそれぞれ79を掛ける（分配法則）
=79×100−79

「79×99」の計算が「79×100−79」に変形できる理由について、納得できたでしょうか。

今回の問題では、「×99」の計算を「×100」を使って簡単にする工夫を紹介しました。

「A×99」という式は、「A×100−A」という形に変形して計算ができます。

「×100」の計算は（Aが整数なら）Aの後ろに00を付けるだけなので、とても簡単です。このように計算をできるだけ簡単な形に直し、その後元の式と答えがずれないように調整をする方法（今回でいえばAを引く）は、掛け算の工夫でよく使われます。

この工夫は丸暗記するのではなく、できるだけ「どうしてそうなるか」という理由も一緒に覚えておくとよいですよ。理由が分かっていれば、他の掛け算の工夫にも応用が利きますし、何よりも忘れにくくなるからです。

今回のような掛け算を暗算する問題は他にも用意していますので、ぜひ引き続き挑戦してみてください。

※当メディアでご紹介する数学関連記事においては、複数の解法をもつものもございます。あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。

文（編集）：VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。

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