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飛行機で『暴言を呟く』男性 異常な様子に、機長「極めて危険である」→その後、機内が凍りついた“ある出来事”とは?

  • 2025.5.8
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。元国際線CAのかくまるめぐみです。

「客室乗務員のイメージは?」と聞かれて、真っ先に思い浮かぶのは笑顔で接客する姿ではないでしょうか。
確かに、客室乗務員はお客様に心からのおもてなしを提供するため、常に笑顔を絶やさないように心がけています(文化が異なる外資系エアラインでは、また少し異なる側面もあるのですが)。

しかし実際には、その笑顔の裏ではお客様の安全を第一に考え、様々なことに目を光らせているのです。そこで今日は、離陸前の機内で緊張感が走ったエピソードを通して「空の安全」がどのように守られているのかをご紹介します。

機内を包んだ離陸前の異様な空気

それは、ある国内線の搭乗がはじまったタイミングでした。

お客様が続々と機内へ搭乗される中、ある一人の男性がどこか挙動不審で落ち着きのない様子だったのです。

落ち着きなく辺りをキョロキョロと見回し、座席に着いたかと思えば立ち上がったり座ったり......。

明らかに尋常ではない様子に、私たち客室乗務員もコンタクトを取り合い、注意深くそのお客様の様子を見守っていました。

しかし、ブツブツと何かを呟きはじめ、その内容は次第に暴力的な言葉へと変わっていき、違和感は消えるどころかむしろ強まっていったのです。

周囲のお客様も異様な雰囲気に気づきはじめ、不安の色を隠せない様子で客室乗務員に視線を送ってきました。

お客様の安全をお約束できない......機長の判断とは?

事態を重く見た私たちは、前方客室にいるチーフパーサーに機内のインターフォンを使って報告しました。

お客様の様子を直接確認したチーフパーサーは、機内の最高責任者である機長へと報告。

チーフパーサーと機長との協議の結果「このまま離陸することは、安全上極めて危険である」と判断され、そのお客様にはご搭乗をお断りする決断が下されました。

すぐに地上係員が機内に入ってきて、お客様に降機をお願いしたい旨を丁寧に説明しました。

すると男性は大きな声をあげて激しく抵抗しましたが、数名の地上係員の懸命な説得により、最終的には降機に応じられたのです。

その後、ドアが閉まり飛行機がゆっくりと動き出すと、ようやく機内に安堵の空気が流れたのはいうまでもありません。

「離陸前に気づけてよかった......」心からそう思った瞬間です。

離陸後では遅い!空の安全は地上での備えから

ドアが閉まり飛行機が離陸すれば、そこは地上から完全に切り離された“空の上の密室空間”となります。

何かトラブルが起きても外からの援助はすぐには得られず、限られた人員と機内設備で対応せざるをえません。

だからこそ、客室乗務員は出発前の機内の空気やお客様の様子を観察しながら、何か異変を感じればすぐに対処するように体制を整えているのです。

「離陸してからでは遅い!」地上での早めの対応こそがすべての乗員乗客の安全と安心につながるという事実を、改めて強く胸に刻んだフライトとなりました。

笑顔の裏で光るプロの眼

空の旅は快適さだけでなく、「安全」であることが何よりも重要です。

客室乗務員は笑顔の裏で常に緊張感を持ちながら、お客様一人ひとりの様子をうかがい、機内の異変を敏感にキャッチするように訓練されています。

しかし、客室乗務員がすべてを把握するには限界があることも。

安全な空の旅を実現するためには、お客様のご協力が必要なときもあります。

もし、機内で少しでも違和感を覚えたり不審物を見かけたりした際には、どうぞ遠慮なく客室乗務員にお知らせくださいね。

その小さな違和感が、トラブルを未然に防ぐかもしれません。

それでは、安全で快適な空の旅を!


ライター:かくまるめぐみ
大学卒業後、日系航空会社に客室乗務員として入社。国際線をメインに乗務し、世界中を飛び回る。結婚を機に退職し、イタリアへ移住。現在も家族とともにイタリアに在住し、Webライターとして活動。客室乗務員の経験から培った「細やかな心配り」を大切に、コラム記事からSEO記事まで幅広く執筆中。