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“彼しかできない”役「やっぱり本物」15年ぶりのテレ朝主演、初回放送で圧倒的な存在感に絶賛の声【新・木曜ドラマ】

  • 2025.5.1

2025年春、テレビ朝日初のレスキュードラマ『PJ〜航空救難団〜』が幕を開けた。主演は内野聖陽。15年ぶりにテレ朝連ドラ主演を果たした彼が演じるのは、人命救助最後の砦・航空自衛隊航空救難団(通称PJ)の教官、宇佐美誠司だ。4月24日(木)に放送された第1話から圧倒的なスケールとリアリティで描かれる救難活動の厳しさ、そして訓練生たちと教官とのぶつかり合いに、ただのヒューマンドラマではない"魂を賭けた物語"の幕開けを感じた人も多いだろう。「命を救うだけでは足りない。心も救うんだ」。その言葉が、このドラマのすべてを物語っている。

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(C)SANKEI

厳しさと包容力を兼ね備えた教官像

一見すると、陽気で破天荒。けれども、その裏には徹底した使命感と覚悟がある。宇佐美教官は、型破りな方法で訓練生たちを鍛えながら、彼らの命を守る責任を誰よりも重く受け止めている。

空気椅子をさせながら巨大ホースで水を浴びせる。いまの時代ならコンプライアンスギリギリに思える訓練も辞さない。しかしそれは、極限の現場では"生きるか死ぬか"がすべてだから。訓練の甘さは即ち、命取りになる。宇佐美のやり方は厳しいが、その根底にあるのは「本当に救える人間を育てたい」という揺るぎない思いだ。

この複雑なキャラクターを、内野聖陽は絶妙なバランスで体現している。『JIN-仁-』での包容力、『きのう何食べた?』での柔らかさ、そして『阿修羅のごとく』で見せた凄み。すべてを持ち寄ったような圧倒的な存在感がある。まさに“彼にしかできない役”。そう断言したくなる説得力だった。SNS上でも「やっぱり本物」と内野の演技を絶賛する声が多い。

『PJ』の世界をここまでリアルに感じさせる要因の一つが、航空自衛隊の全面協力による撮影だ。

ヘリコプターによる救難降下、荒天を想定したシミュレーション、そしてホイスト(つり下げワイヤー)での救出訓練。どのシーンにも手に汗握る緊張感がある。着陸できない山岳地帯、荒れ狂う海、真冬の雪山。どんな状況でも、PJは「必ず救う」ことを求められる。だからこそ、訓練も過酷を極める。

映像は圧巻だった。ヘリから降下する隊員の姿も、空気を切り裂くような緊張感も、スクリーン越しに伝わってくる。本作は"航空救難団"という存在そのものへのリスペクトに満ちている。だからこそ、ただのヒロイズムではない、人間の限界に挑むリアルなドラマになっているのだ。

訓練生たちの葛藤と成長

訓練生たちのなかでも、とくに印象的だったのが、神尾楓珠演じる沢井仁だ。

沢井は、幼少期に山で遭難し、父を亡くした過去を持つ。そのトラウマから「絶対に命を救いたい」という強い思いを抱いている。しかし、その思いの強さゆえに周囲と壁をつくり、自分自身をも追い詰めてしまう。1話終盤、宇佐美が沢井に問う。

「お前はどうしてそんな無茶をする?」

沢井は、命を救うためなら自己犠牲も厭わない覚悟を見せる。しかし宇佐美は「いまのお前じゃ誰も救えない」と言い放つ。命を救うとは、単に突っ走ることではない。冷静な判断力、仲間との連携、そして、救う相手の"心"に寄り添う力が必要なのだ。

二人がジャコップ(縄はしご)を登って勝負するシーンは、このドラマを象徴する場面だった。宇佐美は単に勝負を挑んだのではない。沢井に、自分の限界を知り、誰かと繋がる強さを学んでほしかったのだ。

「ここに来た以上、俺はお前たちの命を預かってる」

その言葉には、単なる教官と訓練生以上の覚悟が込められている。宇佐美は、訓練生たちを"使い捨ての駒"ではなく、一人ひとりかけがえのない存在として見ている。その真摯なまなざしが、熱く胸を打った。

『PJ〜航空救難団〜』第1話は、単なるレスキュードラマでも、青春群像劇でもない。命と向き合うこと、人と向き合うこと、自分自身と向き合うこと。すべてを真正面から描く、魂のドラマだった。内野聖陽演じる宇佐美誠司は、まさに「この人についていきたい」と思わせる理想の教官像そのもの。厳しさのなかにある深い愛情が、映像を超えて観る者に伝わってくる。

そして、これから訓練生たちはどう成長し、何を乗り越えていくのか。この春、一番熱い群像劇の行方を、ぜひ見届けたい。


ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X (旧Twitter):@yuu_uu_