1. トップ
  2. TBSテレビ、国際展開にらむ…?『愛の不時着』手がけたスタジオと“共同制作”【7月期ドラマ】 

TBSテレビ、国際展開にらむ…?『愛の不時着』手がけたスタジオと“共同制作”【7月期ドラマ】 

  • 2025.6.30

7月からも話題のドラマが目白押しだが、中でも特に注目すべき一本は、TBS系列で7月1日火曜よる10時から放送予定の『初恋DOGs』だ。本作はTBSと韓国の大手ドラマ制作会社のスタジオ・ドラゴンとの共同制作作品だ。『愛の不時着』などの世界的ヒットドラマを作ってきたスタジオ・ドラゴンが、日本のテレビドラマにどんな変革を起こすのかと注目されている。

undefined
(C)SANKEI

愛犬から始まる三角関係

本作の原案は韓国の人気ウェブトゥーン『DOG한 로맨스』(LINEマンガで連載中)だ。離婚訴訟を主に扱う弁護士の花村愛子(清原果耶)は、裁判を終えるや否や、所属事務所の所長・本澤恵太(岸谷五朗)や相棒のパラリーガル・弓削留美子(宮澤エマ)からの勉強会の誘いを華麗にスルーし家へとまっしぐら。最近飼い始めたかわいすぎる愛犬・サクラに一刻も早く会うためだ。

一方、しろさき動物病院の院長・白崎快(成田凌)は、大学生を相手に軽快なジョークを交えながら、様々な境遇のペットたちの保護施設の必要性を分かりやすく説いている。

ある日、愛子がサクラを散歩していると目の前に突如、白くてモフモフの大きな犬が出現! 見つめあい、一瞬で惹かれあう2匹・・・どうやら恋に落ちてしまったようだ。“将軍”という名の相手の犬の飼い主・快は、2匹の“初恋”のために一緒に散歩に行こうと提案。しかし愛子は「恋愛など錯覚だ」とそれを拒否するのだ。

そんな中、韓国の新興財閥・ウロアグループの若き御曹司であるウ・ソハ(ナ・イヌ)が来日し、“ある目的”を持って快の動物病院を訪れる。

本作は愛犬の初恋をきっかけに、愛をこじらせた大人たちの国境をまたぐ三角関係を描くラブコメディ。不仲な両親を持ち、愛を信じていない、離婚訴訟専門の弁護士が、愛を知っていく過程をハートウォーミングに描く作品になりそうだ。

TBSとスタジオ・ドラゴンの共同制作

上述した通り、本作はTBSと韓国のスタジオ・ドラゴンとの共同制作作品だ。スタジオ・ドラゴンと言えば、韓国の大手エンターテインメント企業のCJ ENM傘下のドラマ制作会社であり、韓国でもトップクラスのスタジオとして知られている。

代表作は、『愛の不時着』や『ヴィンチェンツォ』で、配信サイトを通して世界的ヒットを立て続けに飛ばしているスタジオだ。言うなれば、世界基準のドラマを作るノウハウを知っているスタジオと言える。

一方のTBSもドラマに強いテレビ局として国内では知られた存在だ。日曜劇場や金曜ドラマの枠では数多くのヒット作を手掛けてきた。そして今回の放送枠“火曜ドラマ”は『重版出来!』や『逃げるは恥だが役に立つ』、『カルテット』といった名作を送り出してきた枠だ。

さらに、同局は韓国との協業に近年、積極的だ。同じ火曜ドラマの枠で2024年には『Eye Love You』を放送。本作は、民放GP帯連続ドラマとしては初めて主要キャストに韓国人俳優チェ・ジョンヒョプを起用した作品として話題となった。

そんなドラマのTBSが国際展開をにらんで一つ歩を進めたのが、今回の『初恋DOGs』と言えるだろう。韓国人キャストを起用するだけでなく、スタジオと共同で制作し、演出家のチームにも韓国から加わることになる。これまでの日本のドラマとは雰囲気の異なる作品になるかもしれない。

果たして、この化学反応がどういう作品を生み出すのか、注目だ。

キャストのアンサンブルにも注目

本作で主要キャストを務めるのは、清原果耶、成田凌、ナ・イヌの3人だ。

主演の清原果耶は注目の若手演技派として着実なキャリアを重ねている。今回は、離婚訴訟専門の弁護士を演じ、愛を信じられないという役どころ。犬だけを心のよりどころにしている人物が、いかに心を開いていくのか、そのプロセスをどう演じるのかに注目だ。

成田凌は心優しいがつかみどころのない獣医という役どころ、優しい男性役もエキセントリックな役も上手い彼にぴったりの配役だろう。そして、韓国のナ・イヌは、大企業の御曹司という、韓国ドラマではよく見られるタイプの役に扮する。彼は、ある使命を持って快に近づくのだが、その行動はドラマ全体のカギを握るものになりそうだ。

また共演には、深田恭子、坂井真紀、岸谷五朗、萩原利久、永瀬莉子、なだぎ武、宮澤エマなど実力あるキャストが並ぶ。これら俳優たちの、国を超えたアンサンブルがどんな化学反応を起こすのか、注目だ。

また、主題歌には世界的人気のグループSEVENTEENの『愛が通り過ぎた跡』が決定している。世界的なスタジオと組み、世界的なグループの楽曲が使用される豪華な組み合わせとなっている。

日本から世界水準のドラマがここから生まれるか、期待したい。


ライター:杉本穂高

映画ライター。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。X(旧Twitter):@Hotakasugi