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ついに迎えてしまった最終回…「もうロスだ」「大成功だわ」“心揺さぶるラストシーン”に大絶賛の声【木曜ドラマ】

  • 2025.6.29

6月26日(木)、ついに迎えてしまった、フジテレビ系『波うららかに、めおと日和』最終回。帝国海軍に勤める夫・瀧昌(本田響矢)に突如招集がかかる。折しも、妻・なつ美(芳根京子)と1年前から約束していた「蛍を見に行く日」の直前だった。その約束は叶えられぬまま、瀧昌は深見(小関裕太)とともに艦へと向かい、海上では暴風雨に翻弄される。

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(C)SANKEI

海軍の妻たちの揺れる心情と、連帯感の力

一方のなつ美は、夫の身を案じながらも家を守ろうとする。しかし、不安が募り、鎮守府へと情報を得に出かけようとする決意を固める。「海軍の妻としてしっかりしなければ」と自らに言い聞かせながらも、心は揺れ動いていた。

結婚してもすれ違う日々が続いた二人。それでも、ともに夕飯を作り「いつもありがとう」と感謝を伝え合う時間が、何よりもかけがえのない日常として描かれてきた。ドラマが繰り返し描いてきたのは、特別ではない、ふたり時間の尊さ。戦時下という背景を超えて、それは現代に生きる私たちの心にも響く。

艦の行方を案じ、なつ美のもとを訪れたのは、深見の婚約者・芙美子(山本舞香)。「毎日不安で押し潰されそう」と涙ぐむなつ美に、芙美子も静かに寄り添い、その苦しみを共有する。

そこへ現れたのが、和久井映見演じる郁子。彼女は海軍の妻としての心構えを語りながら、ふたりを優しく励ます。「大丈夫よ」と語るその言葉に、理屈ではない温かさが滲む。

この場面は、戦争という非日常のなかで、女性たちがいかに支え合い、連帯していたかを象徴的に描いた名シーンだ。時代を超え、苦しみの最中にあっても支え合うことの大切さを思い出させてくれる。

選択の自由と夫婦のかたち──令和へのまなざし

なつ美の姉・はる江(森カンナ)が「大切な人のことを、ちゃんと大切にするのよ」と口にしたシーンも印象深い。双子の子育てに追われながらも、はる江はその目に充実感を湛えている。しかし、同時に「(子どもを持つかは)そんなことはいいか」と続けてもいる。

戦前の日本では、「結婚したら子を持つのが当たり前」という価値観が支配的だった。しかし、このドラマは家族のかたちがひとつではないことを、繊細に、かつ力強く描いている。

ふたりがいれば、家族はつくれる。血のつながりや出産の有無だけではなく、夫婦であること、ともに過ごすこと、それこそが幸福なのだと、静かに教えてくれる。

“目で語る”本田響矢という俳優の静かな熱

本田響矢が演じる瀧昌は、物語を通して派手なセリフや大きなアクションに頼ることはない。それでも、視線ひとつで感情を伝える静かな熱を持っていた。

とくに、なつ美を見つめるときの誠実なまなざし、言葉よりも先に感情を伝える目の演技。最終回でも、それは印象的だった。「今日が最後になるかもしれない」そんな時代背景のなか、日々を大切に生きる彼の佇まいには、奥行きがあった。

本田響矢の演技は、“言葉の足りなくなりがちな時代”にこそ光る。感情の機微を繊細に掬い上げる目の演技は、瀧昌という人物を立体的に、リアルに浮かび上がらせていた。

ドラマ『波うららかに、めおと日和』は、その名の通り、穏やかな日差しのように、そして波のように揺れ動く夫婦の日常を描いてきた。最終回は、時代に翻弄されながらも、ふたりでいることの幸せを確かめる、心揺さぶるラストシーンで閉じられる。いま、あらためて誰かとともに生きることの意味を、静かに噛みしめたくなる、そんな本作。SNS上でも「この時間がずっと続いてほしい」「もうロスだ」「みんなが見たかった最終回で大成功だわ」と作品の絶賛と最終回を惜しむ声が続いている。


ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X(旧Twitter):@yuu_uu_