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19年前の平成を代表する“名作ラブコメ” なぜか惹かれてしまう…面倒見の良い“ツンデレ男性キャラ”の魅力

  • 2025.8.25

2006年にフジテレビで放送された『のだめカンタービレ』は、音大を舞台に個性豊かなキャラクターたちが音楽と共に過ごす日常を描いた作品。主人公・のだめこと野田恵(上野樹里)と千秋真一(玉木宏)の恋模様も見どころだ。

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玉木宏(C)SANKEI

個性豊かな音大メンバー

『のだめカンタービレ』の舞台は、桃ヶ丘音楽大学。ピアノ科に所属する千秋が、ひょんなことから汚部屋に住むだらしないピアノ科に所属する女子大生・のだめに出会うところから始まる。のだめの弾く自由なピアノを聞いた千秋は、彼女の中にある天賦の才に気づき、なんだかんだと関わるようになっていく。のだめも千秋の見た目とカリスマ性に惹かれて、彼にまとわりつくように。飛行機恐怖症でクラシックの本場であるヨーロッパに行けず、思い悩んでいた千秋は、のだめと関わり、才能を引き出すために奔走することで、少しずつ自分のなかにあった固定概念を破っていく。のだめもまた、千秋に引っ張られるようにプロの演奏家を目指すように。

日本編では、のだめと千秋の他に千秋が指揮者を務めるオーケストラに所属するヴァイオリニストの峰龍太郎(瑛太)や打楽器奏者の奥山真澄(小出恵介)、三木清良(水川あさみ)、黒木泰則(福士誠治)など、個性豊かな人物が登場する。原作漫画のイメージ通りのキャスティングで、さらにドラマではよりコミカルな芝居で表現されている。一方で、それぞれが自分の事情や才能に直面して悩むといった描写は丁寧に表現されており、一人ひとりの音楽との向き合い方や成長には、心を動かされるものがある。

ユーモア溢れるやり取りがある中でもオーケストラによる演奏シーンは迫力満載。また、原作漫画では文字と絵だけで表現されていた楽曲が、実際に聞けるのも嬉しいポイントだ。楽曲と共に『のだめカンタービレ』を覚えているという人も多いだろう。

面倒見がいい厳しい男性代表・千秋真一

『のだめカンタービレ』日本編では、のだめから千秋への恋心がより多く描写されており、どちらかというと千秋はのだめから付き纏われて困っているという描写が多い。一方で、千秋はのだめを真っ向から拒否するわけではなく、仕方ないといった様子でのだめの面倒を見ている。また、のだめの才能に一目置き、自由な発想に何度も救われているのも事実だ。

のだめの面倒を見つつも、おかしなことをすれば激しくツッコむ千秋は、まさにツンデレタイプの男性。のだめより年上ということもあり、視聴者から見ても憧れの念を持って見てしまう。

そんな千秋の行動が変化するのが物語の終盤だ。指揮者として成功を収めつつある千秋に追いつくために、ヨーロッパへの留学をかけてピアノコンクールへ挑戦。しかし、コンクールの本戦当日、のだめは体調を崩し、コンクールで大失敗をしてしまう。傷心ののだめが向かったのは、実家の福岡県大川市。ピアノから距離を置いて過ごしていたのだめを迎えに、千秋がやってくる。夕日に照らされた川沿いでのバックハグは、千秋からのだめへの思いが初めて見えるシーンだ。のだめの留学が決まり、のだめが語る夢に千秋自身もその夢を目指したいと、のだめと共に生きることを見据えたからこその場面と言える。これまでずっとツンを見せていた千秋のはじめてのデレシーンだ。

演奏シーンやオーケストラシーンの美しさだけでなく、ラブコメとしても魅力的な『のだめカンタービレ』。何年経とうと千秋先輩のような男性に憧れるという人も少なくないだろう。


ライター:古澤椋子
ドラマや映画コラム、インタビュー、イベントレポートなどを執筆するライター。ドラマ・映画・アニメ・漫画とともに育つ。
X(旧Twitter):@k_ar0202