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「こんな素敵な回になるとは」日曜劇場などで活躍の“3人の若手女優”が集結、話題の学園ドラマで魅せる輝き【月10】

  • 2025.8.24

カンテレ・フジテレビ系 月10『僕達はまだその星の校則を知らない』(毎週月曜よる10時)は、弁護士である磯村勇斗演じる白鳥健治が“スクールロイヤー”として私立高校に派遣され、生徒や教師が抱える問題に法律的な視点で向き合う学園ヒューマンドラマだ。青春の光と影をすくい取るこの物語のなかで、とくに存在感を放つのが3人の女子生徒たち、三木美月(近藤華)、斎藤瑞穂(南琴奈)、江見芽衣(月島琉衣)である。彼女たちの演技を通して見えてくるのは、「若さの葛藤」と「未来への希望」だ。

三木美月(近藤華):快活さの裏に隠れた脆さを映す

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月10ドラマ『僕達はまだその星の校則を知らない』第3話より(C)カンテレ・フジテレビ

2年桜組に所属する美月は、明るくて活発。美術部に所属し、クラスの中心的人物である一方で、孤独を恐れる繊細さを抱えている。そんな彼女が盗撮被害を訴えるエピソードは、物語のなかでもとくに重いテーマを扱っていた。

近藤華の演技が際立ったのは、被害を訴える場面だ。泣きながら「性的な写真を撮られたのではないか」と打ち明ける姿は、被害者の羞恥や不安をリアルに伝えていた。決して大げさではなく、言葉を詰まらせながら視線を泳がせる細やかな表現によって、観ている側にも胸の奥にざらつくような感情を残す。

また、美月が健治を興味深そうに見つめる場面では、思春期特有の好奇心や淡い憧れを、自然なまなざしの演技で描いてみせた。近藤華はドラマ『アンチヒーロー』での泣きの演技でも評価を高めたが、今作では「快活さ」と「脆さ」の両面を行き来する難役を軽やかに演じきっている。SNS上でも彼女がメインだった回を指し「こんな素敵な回になるとは」といった声が挙がっている。

斎藤瑞穂(南琴奈):透明感のなかに宿る強さ

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月10ドラマ『僕達はまだその星の校則を知らない』第1話より(C)カンテレ・フジテレビ

3年梅組の瑞穂は、生徒会副会長で弓道部に所属。凛とした立ち姿は後輩から憧れの視線を集める。だが物語が進むと、生徒会長・鷹野(日高由起刀)とともに不登校となるという異例の展開が描かれる。

瑞穂を演じる南琴奈は、これまで映画や配信ドラマでじわじわと評価を高めてきたが、本作で一気に注目を浴びた。彼女の魅力は何より「透明感」だ。無言で佇むだけで画面に清涼な空気を生み出し、その存在自体が物語に奥行きを与える。SNS上でも「今回も光ってました」と話題である。

制服裁判のエピソードでは、瑞穂が自らの信念を語るシーンがある。南の落ち着いた声色と静かな表情の変化は、観る者に「この子の言葉をずっと聞いていたい」と思わせる力を持っていた。儚さと芯の強さを同時に表現できる若手女優は稀有であり、南琴奈が“次世代の正統派”として抜きん出た存在であることを証明するシーンとなった。

江見芽衣(月島琉衣):揺らぐ心を等身大で描く

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月10ドラマ『僕達はまだその星の校則を知らない』第4話より(C)カンテレ・フジテレビ

1年梅組の芽衣は、感受性が豊かで涙もろく、天文部への憧れを抱く少女だ。しかし、成績一覧が誤公開され、最下位であることを全校に知られてしまう。

芽衣を演じる月島琉衣は、自身の明るくおしゃべりな性格とは対照的な繊細な役柄に挑んでいる。母に心情を吐露する姿や、問題の発端となった副校長役の三宅夕子(坂井真紀)を間接的にかばう場面は、まさに思春期の少女のリアルそのもの。大げさな芝居ではなく、少し震える声や不安げに揺れる瞳といった細やかな演技で、観る者の胸を締めつける。

とくに印象的なのは、成績流出後のショックを受け流しながら、「トンチンカン……トンチンカン……」と繰り返すシーンだ。孤独と羞恥を押し隠しながらも、それらに押し潰されそうな心をリアルに描き出し、同世代の視聴者には共感を、年長の視聴者には胸が痛むような切なさを与えた。『からかい上手の高木さん』での落ち着いた役柄とのギャップも含め、月島の役作りの柔軟さが光っている。

若手女優たちが描く“校則の外側”

近藤華、南琴奈、月島琉衣。この3人に共通するのは、単に「生徒役」を演じるのではなく、それぞれが抱える脆さや強さをリアルに体現している点だ。『僕達はまだその星の校則を知らない』というタイトルが示すように、校則だけでは縛りきれない“青春の揺らぎ”を彼女たちが演じることで、物語はより普遍的な意味を帯びていく。

磯村勇斗や堀田真由ら大人のキャストが物語に骨格を与える一方で、この3人の若手女優は作品に血を通わせる存在だ。彼女たちの一挙手一投足が、観る者の心に「かつての自分」を思い出させ、ドラマの余韻を長く残す。

未来を担う3人の若手女優の輝きが、作品の魅力を一段と引き上げていることは間違いない。


カンテレ制作・フジテレビ系列 月10ドラマ『僕達はまだその星の校則を知らない』 毎週月曜よる10時

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X(旧・Twitter):@yuu_uu_