1. トップ
  2. 民放ドラマで“避けられがちな題材”… 新たな成功例になるか? 今注目の“演技派女優”、2クール連続の主演作に期待

民放ドラマで“避けられがちな題材”… 新たな成功例になるか? 今注目の“演技派女優”、2クール連続の主演作に期待

  • 2025.4.21
undefined
(C)SANKEI

4月24日から放送が始まるフジテレビ木曜劇場『波うららかに、めおと日和』。主人公・江端なつ美を演じるのは、2クール連続での主演となる芳根京子だ。講談社の漫画アプリ『コミックDAYS』にて連載中の、西香はちによる同名漫画が原作。本作の舞台は、昭和11年だ。結婚をきっかけに出会った二人が、初々しく思いを通じ合わせる過程が描かれる。

『嘘解きレトリック』に続く時代もの

民放のGP帯ドラマでは、時代もの作品が極端に少ない。舞台セットや衣装の問題、各種監修の問題などもあり、オリジナルでは作りにくいジャンルなのだろう。原作の力を借りることでそんなハードルを越え、好評の声が集まったのが、2024年10月から放送された『嘘解きレトリック』だ。『別冊花とゆめ』で連載されていた同名漫画を原作とした昭和初期の男女バディ探偵ものという異色作だが、時代を感じさせる舞台や衣装の美しさ、少女漫画らしいキャラクター設定ややり取りの可愛らしさも魅力的な作品だった。

時代が現代でなかろうと、そこに描かれている人間関係や葛藤が現代に通じるものであれば、きちんと評価される。『嘘解きレトリック』は、これまで民放ドラマで避けられがちだった時代もの作品の成功例ということができるだろう。

『波うららかに、めおと日和』も『嘘解きレトリック』と同じく昭和初期を舞台にした物語。また、帝国海軍中尉の口下手な夫と恋愛経験のないピュアな妻という時代背景を反映した恋愛描写を中心とした物語で、帝国海軍の勤務状況なども描かれ、昭和初期という特色が存分に生かされる作品だ。初々しく不器用に距離を縮めていく過程や恋焦がれる思いは、どんな時代にもある普遍的な感情で、現代から見ても共感できるはず。『嘘解きレトリック』に続く、時代ものの成功例になることを願いたい。

2クール連続主演、朝ドラで注目された若手女優

ヒロインのなつ美を演じるのは、『まどか26歳、研修医やってます!』に続き、2クール連続で主演を務める芳根京子。頑張り屋なヒロインを演じることが多かった芳根は、キャラクターが悩み葛藤するゆらぎの部分も丁寧に演じられる女優だ。帝国海軍として訓練に励む瀧昌の帰りを待つなつ美が抱える葛藤や寂しさを繊細に表現してくれるだろう。

瀧昌を演じるのは、GP帯の地上波連続ドラマにレギュラー出演するのは初めてとなる本田響矢。2024年には『虎に翼』で、成長した大庭光三郎役を演じて注目を集めた。同作では、母親・大庭梅子(平岩紙)に最後の絶望を与えてしまう役柄であったが、“女性は守るもの”という悪気のない価値観を持ち、未熟ゆえの戸惑いを見事に演じた。『波うららかに、めおと日和』には、甘味処を営む瀧昌の親友・坂井嘉治役として、『虎に翼』で轟役を務めた戸塚純貴も出演。なんとも嬉しい繋がりだ。

本作は、可愛らしい恋愛模様を通して大切な人と日常を過ごす愛おしさ、そして会えない時間の寂しさを伝えてくれる。恋愛の幸せな面と切ない面が同時に描かれていく作品なのだ。さまざまな意味で、胸がぎゅっと締め付けられるようなシーンが満載のドラマになるだろう。昭和初期ならではの舞台セットや衣装などにも注目しつつ、じれったい新婚ラブコメディを楽しみたい。


ライター:古澤椋子
ドラマや映画コラム、インタビュー、イベントレポートなどを執筆するライター。ドラマ・映画・アニメ・漫画とともに育つ。X(旧Twitter):@k_ar0202