1. トップ
  2. ヘルスケア
  3. 健診の便検査で『陽性』と診断された40代男性→「痔の血が出ただけ」放置するが…翌年、検査で明らかになった“恐ろしい病名”

健診の便検査で『陽性』と診断された40代男性→「痔の血が出ただけ」放置するが…翌年、検査で明らかになった“恐ろしい病名”

  • 2026.11.9
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、消化器内科医のhashibirohです。

「前回も陽性でしたけど、痔なので。たぶん今回もそれだと思います」

外来で健診結果を差し出しながら、48歳の男性は少し笑ってそう言いました。結果の欄には、便潜血検査「陽性」、判定は「要精密検査」と書かれていました。

しかし、精密検査をしてみると、予想していなかった診断結果に驚くことに。

今回は、痔の症状がある方も気をつけたい、便潜血検査の結果の捉え方についてお伝えします。

2年前の「陽性」

男性が初めて便潜血陽性と言われたのは2年前です。2日分提出した便のうち、1日分が陽性でした。もともと痔があり、ときどきトイレットペーパーに血がつくこともあったため、「痔の血が出ただけ」と考えて病院には行きませんでした。翌年は仕事が忙しく、健診そのものを受けそびれています。

そして今年、健診の便潜血検査は再び陽性。話を聞くと、ここ3か月ほど便が細くなり、お腹が張る感じも続いていたそうです。それでも「年のせいかな」と、あまり気にしていませんでした。

大腸カメラで分かったこと

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

大腸カメラ(大腸内視鏡)検査を行うと、S状結腸(直腸の奥にある、S字に曲がった大腸の部分)に約3cmの腫瘍が見つかりました。組織を調べた結果は、大腸がん。幸いほかの臓器への転移は見られませんでしたが、内視鏡で取りきれる段階ではなく、外科での手術が必要と判断されました。

2年前の時点では、がんはもっと小さかったと思います。それどころか、大腸がんの多くは良性の「ポリープ(腺腫)」から時間をかけてがん化するため、2年前に受診していれば、がんになる前のポリープの段階で内視鏡切除し、がんの発症そのものを未然に防げていた可能性すらありました。

「痔だから」が危ない理由

便潜血検査は、目に見えないほどの血が便に混じっていないかを調べる検査です。痔でも陽性になることはあります。しかし、痔の出血なのか、大腸のポリープやがんからの出血なのかは、便の検査だけでは区別できません。痔がある人ほど「いつもの血」と思い込みやすく、受診のきっかけを逃しがちです。

また「2日のうち1日だけ陽性だったから大丈夫」と考える方もいますが、1日でも陽性なら精密検査の対象です。大腸がんやポリープからの出血は毎日続くとは限らず、出血したり止まったりを繰り返す(間欠的出血)ためです。

同様に、「陽性が出たあとに別の病院で便潜血検査をもう一度受け直したら陰性だったから安心した」というのも非常に危険な誤解です。たまたま出血していない日の便を検査しただけであり、「大腸の中に病変がない証明」には一切なりません。一度でも陽性が出た事実は消えないため、再検査ではなく必ず大腸カメラを受けなければならないのです。

外来では、「痔があるので」と精密検査をためらう方にたびたびお会いします。大腸カメラは「痛そう」「恥ずかしい」「下剤を飲むのがつらい」というイメージから敬遠されがちですが、現在は鎮静剤を使ってウトウト眠っている間に検査を受けられる医療機関が増えています。

また、下剤(腸管洗浄剤)についても飲む量が少なくて済むタイプや錠剤タイプを選択できる施設があり、検査時も専用の穴あきパンツを着用するため恥ずかしさへの配慮も徹底されています。不安な点は、遠慮なく医師やスタッフに相談してみてください。

陽性と言われたら

便潜血検査で陽性と判定された場合は、次のような認識を持つことが大切です。

  • 1回(1日分)でも陽性が出たら、必ず精密検査(大腸カメラ)を受ける
  • 「痔があるから」は、検査を受けない理由にならない
  • 便潜血検査をもう一度やり直して「陰性」が出ても、精密検査を回避する理由にはならない
  • 便が細くなる、便秘と下痢を繰り返す、お腹が張るなど、便通の異常が続くときも早めに相談する

大腸がんは、早期の段階であればお腹を切らずに内視鏡治療で根治が目指せます。さらに、前がん病変であるポリープのうちに切除してしまえば、将来のがんを予防することすら可能です。

「陽性」の通知は、そうした早期発見や予防のチャンスを知らせてくれる大切なサインです。自己判断でやり過ごさず、早めに消化器内科を受診して大腸カメラを受けましょう。

※実際の事例をもとに、個人が特定されないよう内容を一部変更しています。


※実際の事例をもとに、個人が特定されないよう内容を一部変更しています。

執筆:hashibiroh
消化器内科医/臨床経験20年超。消化器病専門医・消化器内視鏡専門医・総合内科専門医。

の記事をもっとみる

注目コンテンツ