1. トップ
  2. ヘルスケア
  3. 「生理の量が多いから…」“貧血”を放置し続けた36歳女性→3年後、胃カメラ検査で調べたところ…発覚した“恐ろしい病”とは?

「生理の量が多いから…」“貧血”を放置し続けた36歳女性→3年後、胃カメラ検査で調べたところ…発覚した“恐ろしい病”とは?

  • 2026.11.8
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、消化器内科医のhashibirohです。

「昔から生理の量が多いので、貧血はそのせいだと思っていました」

36歳の女性は、外来でこれまでの健診結果を並べながらそう話しました。20代の頃から、健診のたびに「軽い貧血」を指摘されてきたそうです。20〜30代の女性にみられる貧血の大半は、月経に伴う出血や食生活による良性の鉄欠乏性貧血です。しかし、中には「生理のせい」と思い込んでいた貧血の陰に、別の重大な病変が隠れているケースもあります。

この女性も、胃カメラで詳しく検査してみたところ、思いがけない病気が見つかりました。

今回は、見過ごされがちな貧血の裏に潜むリスクと、見逃してはならない身体のサインをお伝えします。

毎年の「軽い貧血」が、少しずつ進んでいた

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

貧血の目安になるヘモグロビン(血色素量)は、成人女性でおよそ12g/dL以上が基準値です。女性の数値は、20代から30代前半まで11g/dL前後で推移していました。「生理が多い女性にはよくあること」と考え、特に精密検査は受けていませんでした。

ところが、ここ3年で数値は10.4、9.5、そして今年は8.1g/dLと、年々低下していました。婦人科で診てもらい、鉄剤を処方されて飲み始めたものの、数値はほとんど改善しませんでした。通常、月経による鉄不足であれば鉄剤の内服で数値が持ち直すことが多いのですが、鉄剤を飲んでも全く上がらない(不応性)場合、体のどこかで継続的に血が失われているか、別の重い病態が起きているサインです。

そこで、胃や腸など消化管からの出血がないかを調べるため、胃カメラ検査を行うことになりました。

胃カメラで見つかったもの

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

胃カメラで胃の中を観察すると、目立った盛り上がりはないものの、胃の壁が広い範囲で硬く厚くなっていました。がんが胃の壁の中をしみ込むように広がる「スキルス胃がん」に特徴的な見え方です。組織の一部をとって調べたところ、がん細胞が見つかり、診断が確定しました。

話を聞くと、半年ほど前から少し食べただけでお腹がいっぱいになり、体重も3kg減っていました。それでも「忙しくて食欲が落ちているだけ」と考えていたそうです。診断の時点で、がんはすでに胃の外にも広がっており、手術ではなく抗がん剤による治療を受けることになりました。

「生理のせい」で片づけないでほしい理由

生理の出血量が多い女性に貧血が起こるのは、非常によくあることです。過剰に怖がる必要はありませんが、貧血の原因が「生理だけ」とは限らない点には注意が必要です。胃や大腸など、消化管の粘膜から微量な出血が持続していたり、悪性腫瘍に伴う慢性炎症や栄養吸収障害によって貧血が進んでいる可能性も考えられます。

また、数ヶ月から数年かけてゆっくり進行する貧血には身体が徐々に慣れてしまうため、自覚症状が出にくいのも特徴です。ヘモグロビン値が8g/dL台まで下がっていても、「なんとなく疲れやすい」「朝起きにくい」程度と捉えてしまい、重症化に気づかない方は珍しくありません。

胃カメラは、20〜30代ではまだ受けたことがない方が多い検査です。しかし、鉄剤が効かない貧血や原因がはっきりしない貧血がある場合には、年齢にとらわれず、胃カメラや大腸内視鏡検査(または便潜血検査)などの消化管精査を行うことが標準的な診断手順となります。

スキルス胃がんは初期の自覚症状に乏しく、早期発見が難しいがんの一つですが、若い世代の女性にも発症することが知られています。「まだ若いから胃の病気なんて関係ない」と決めつけるのは禁物です。

こんなときは、胃や腸の検査も相談を

生理過多による貧血と思っていても、以下のような「警戒サイン(レッドフラッグ)」がみられる場合は、自己判断せず消化器内科で胃や腸の詳しい検査を受けることをおすすめします。

  • 貧血の数値(ヘモグロビン値)が、健康診断のたびに年々下がり続けている
  • 処方された鉄剤を指示通り飲んでいるのに、数値が十分に改善しない
  • 少し食べただけで胃が張って満腹になる(早期満腹感)、理由のない体重減少がある
  • 便の色がコールタールのように真っ黒である、あるいは便に血が混じる

毎年の健診結果を並べて見比べることで、身体の小さな変化に気づきやすくなります。「いつもの貧血だから」と片づけず、数値の推移や胃腸の違和感に目を向けてみてください。


※実際の事例をもとに、個人が特定されないよう内容を一部変更しています。

執筆:hashibiroh
消化器内科医/臨床経験20年超。消化器病専門医・消化器内視鏡専門医・総合内科専門医

の記事をもっとみる

注目コンテンツ