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【ゾッとする怖い話】ある日、おかしなことに気づいたんです。駅のベンチで起きた恐怖体験【ホラー小説】

  • 2026.10.27
駅のホームに設置された古い木製ベンチ。奥には線路沿いに続くホームが見える。
出典:stock.adobe.com

仕事の都合で、始発に近い時間の電車を毎朝利用していた頃。 ある日、ほとんど人のいない駅のホームでおかしなことに気づいたんです……。

始発のホーム

以前、仕事の都合で、毎朝かなり早い時間の電車に乗っていた時期がありました。

利用していたのは、田舎の小さな駅です。
朝はまだ薄暗く、始発の時間帯にはほとんど人がいません。

ホームには古い木製のベンチがあって、私はいつもそこで電車を待っていました。

ある朝、ベンチの端が濡れていることに気づきました。
ちょうど人が一人座るくらいの範囲です。

前の晩に雨が降ったので、そのせいかと思いました。

でも、そのベンチは屋根の下にあるんですよ。

雨が吹き込んだのかな。
そう考えて、乾いている反対側に座りました。

乾かない

翌朝も、同じ場所が濡れていました。
昨夜は雨も降っていないのに。

それから何日か、ベンチの様子を気にして見ていました。

濡れているのは、いつも同じ端の席だけ。
雨が吹き込んだというより、誰かが濡れた服のまま座ったような跡なんです。

座面の中央が広く濡れていて、背もたれにも少し水滴がついていました。

ある日、早めに駅へ着いたので、少し離れた場所からベンチを眺めていました。
今日は濡れていない。

まだ眠かったので、目を閉じて電車を待ちました。

しばらくして顔を上げると、ベンチの端が濡れています。
誰かが座ったところは見ていません。

ホームには私以外、誰もいませんでした。

水の音

ある朝のことです。

いつものように、濡れた場所を避けてベンチの反対側に座ったんです。
その頃には、ベンチの端が濡れていることにも慣れていました。

最初は不思議だったんですが、毎日見ていると、それが当たり前になってくるんです。
むしろ、濡れていない日のほうが気になるくらいでした。

すぐ隣で、「ぽたっ」と水の落ちる音がしました。
隣を見ると、ベンチの座面に小さな水滴が落ちていました。

一滴、また一滴。
その水滴が、じわじわと広がっていきます。

まるで、びしょ濡れの誰かが今そこに座っているみたいでした。

私は立ち上がりました。
その瞬間、ベンチが「ぎしっ」と小さく鳴りました。

隣に座っていた誰かが、一緒に立ち上がったかのように……。
今思えば、あれは紛れもない恐怖体験でした。

しばらくして、対応していた案件が落ち着いてからは、始発に近い時間に駅へ行くことはなくなりました。
たまにベンチを見てみるのですが、雨の日でも片側だけが濡れていることはありません。

あそこに座っているびしょ濡れの誰かは、毎日朝早く移動しているんでしょうね。

※この物語はフィクションです。
※この記事に使用している画像はイメージです。

◆味醂 子どもの頃から怖い話が好きで、ホラー小説やネット怪談など、文章作品を中心に親しんできました。 映像作品の痛そうな表現や急に驚かせる演出は少し苦手ですが、想像がふくらむ怖さや、日常の違和感が少しずつ不穏さを増していくような話に惹かれます。 読んだあとふとした瞬間に思い出してしまうような“あとから効いてくる怖さ”を大切にしています。 【SNS】 X:@a_mirin0223

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