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「記録員としてベンチに入らないか」3年間練習1番乗りの野球部の弟が、監督の提案を断った結果は……

  • 2026.10.21

これは私の弟の話です。小学校から野球を始めた彼の夢は、甲子園に出場し、プロ野球選手になることでした。夢への第一歩として、高校は甲子園常連校に入学できました。「夢を諦めないこと」と「夢が叶うこと」には大きな壁がありました。

誰よりも早くグラウンドへ

彼は毎日1番に練習に向かいました。強豪校のため練習は長く、厳しく、休みは年に数えるほどしかありません。しかし、練習が楽しかったのか、願掛けなのか、自分の中のルールなのか、1年生の頃から練習に1番乗りしていました。夕方のホームルームが終わると教室を飛び出し、先輩はもちろん同級生の誰よりも早く行っていました。これは2年生になり、後輩ができてからも変わりませんでした。後輩からしてみれば、先輩の方が早く練習にきて準備を始めているのがプレッシャーや焦りになっていたことでしょう。ただし彼にはそのような思いは微塵もなく、ただただ早く練習に行きたいだけのようでした。3年生になってもそれは変わらず続いていました。

熾烈なレギュラー争い

彼の、練習に対する思いや1番乗りする姿勢はとても評価されていました。しかし、野球部は甲子園常連で、過去には優勝経験もあります。レギュラー争いは熾烈で、当たり前ですが結果や実力が重要視され、努力や情だけではレギュラーにはなれません。彼は、下手ではないが、この野球部の中でピカイチの実力、センスがあるというほどではありません。最後の夏、県予選前、18人のベンチ入りメンバーには選ばれませんでした。

監督からの思わぬ提案

そんなときに監督から、記録員としてベンチに入らないかと言われました。思わぬ提案であり、また天にも昇るほどの嬉しい話です。もしかしたら夢の甲子園のグラウンドに立てるかもしれません。ですが記録員になるということは、選手としてプレーすること、挑戦することを諦めるということです。

彼の決断

県予選前にメンバー入りできませんでしたが、彼の性格上、諦めたり落ち込んだりすることはありませんでした。甲子園の切符を勝ち取る前提ではありますが、彼はむしろ、甲子園のベンチ入りメンバーが発表されるまでに結果を出し、甲子園こそはベンチ入りを果たすと意気込んでいるくらいだったからです。彼はこの提案を断り、最後まで選手としてレギュラー争いをすることを選びました。そして野球部は見事、甲子園出場を果たしました。弟は県予選の最中も、甲子園までの期間も変わらず1番に練習に行き、ベンチ入りを目指し、練習に励みました。最後の夏、最後の甲子園、彼はアルプススタンドから声援を送っていました。

【体験者:20代・男性、回答時期:2018年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

Qolyコラムニスト:mao

https://qoly.jp/_users/16927413

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