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「ベンチは取ってあるんで」真夏の噴水広場で日陰のベンチ2つを荷物で占領した父親。だが、戻ってきて言葉に詰まった理由

  • 2026.10.24
「ベンチは取ってあるんで」真夏の噴水広場で日陰のベンチ2つを荷物で占領した父親。だが、戻ってきて言葉に詰まった理由

日陰のベンチ2つを占領した父親

真夏の昼、私は子どもを連れて噴水広場に来ていました。

広場にはパラソル付きのベンチが5つ並び、日陰から子どもたちの水遊びを見守れるようになっています。

私は端のベンチに座り、遊んでいるわが子を眺めていました。

そこへ、子どもを連れた父親がやってきました。父親は空いていたベンチ2つに、それぞれバッグとタオルを置いたのです。

ちょうどそのベンチに近づいていた、小さな子を抱いた夫婦が足を止めました。

「あの、すみません。ここ、座れますか?」

奥さんが遠慮がちに尋ねると、父親は短く答えました。

「ベンチは取ってあるんで」

「そうなんですね。すぐ戻られますか?」

「いや、先に来たのはこっちですから。荷物には触らないでくださいね」

そう言うと、父親は子どもの手を引いて駐車場のほうへ歩いていきました。

夫婦は困ったように顔を見合わせていましたが、荷物を動かすわけにもいきません。

それからしばらくたっても、父親は戻ってきませんでした。

ほかの家族もベンチに近づいては荷物に気づき、別の場所へ移っていきます。

先ほどの夫婦も、子どもを抱いたまま日なたに立っています。奥さんが何度も汗をぬぐう姿を見て、私も気になっていました。

戻ってきた父親が見た光景

そんなとき、公園の管理スタッフが見回りにやってきました。

誰も座っていないベンチに荷物が置かれているのを見ると、周囲に声をかけました。

「すみません。この荷物、どなたのものか分かりますか?」

「男の方が置いて、駐車場のほうへ行かれました。しばらく戻ってきていません」

持ち主がいつ戻るのか、周囲の誰にも分かりません。

スタッフは周囲の状況を確認すると、荷物をまとめ、忘れ物として管理事務所へ運んでいきました。

空いたベンチのひとつには、先ほどの夫婦が腰を下ろしました。奥さんは子どもを抱き直し、ほっとした表情を浮かべていました。

それからさらに時間がたったころです。

着替えを済ませた子どもの手を引いて、あの父親が戻ってきました。

ところが、荷物を置いたはずのベンチには別の家族が座っています。

「え?ちょっと、ここ取ってたんですけど……」

父親は戸惑った様子で辺りを見回し、近くにいた管理スタッフに気づくと、足早に近づきました。

「あの、荷物は?誰が勝手に動かしたんですか!」

スタッフは落ち着いた声で答えました。

「お荷物でしたら、管理事務所でお預かりしています。長い間お戻りにならなかったので」

そして、ベンチを示しながら続けました。

「ここは皆さんが使うベンチなので、荷物だけ置いて長時間離れるのはご遠慮ください」

父親は何か言いかけましたが、そのまま口を閉じました。

周囲の視線が集まるなか、ベンチに座っていた夫婦の子どもが、不思議そうに父親を見上げています。

父親はそれ以上何も言わず、子どもの手を引いて管理事務所のほうへ歩いていきました。

私は再び噴水で遊ぶわが子に目を向け、冷たい麦茶をひと口飲みました。

パラソルの下では、あの夫婦がようやく一息ついていました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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