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兵庫県の小さなカレー屋を訪ねて。淡路島〈kitchen and CURRY〉

  • 2026.10.19

淡路島の〈kitchen and CURRY〉で味わえるカレーには島の恵みが詰まっている。東京からこの地へ移り住んだ店主が求めたもの、島での暮らしについて聞いた。 本記事は、BRUTUS「日本のカレー進化論。」(2026年10月15日発売)から特別公開中。

photo: Yoshiko Watanabe / text: Saki Miyahara / edit: Emi Fukushima

kitchen and CURRYの3種盛りカレー
BRUTUS

夕日を眺める、その前に。兵庫・淡路島の西側、五色町の果樹園へ、一皿のカレーを目指して出かけたい。

辿り着いたのは、桃や柑橘が実る果樹園の中にある小さな古民家。青々とした緑とスパイス、2つの香りが店先で交わる。

kitchen and CURRYの看板
田畑を抜け、坂の上へ。一皿のカレーを目指して車を走らせる。
淡路島の風景
島に受け継がれる原種の柑橘、淡路橙(だいだい)(なるとオレンジ)が実る。

店主は、東京・羽根木でカレー屋を営んできた阿部由希奈さん。カレーを作れば作るほど、食材への興味は深まっていった。

同じ野菜でも、育てる人や土、天候によって味が違う。その営みに、もっと近くありたかった。祖父が暮らす淡路島には、季節の匂いがそこかしこに漂う。野菜も、米も、肉も、魚も。辿れば、島の風景に行き着く。そんな淡路島に惹かれ、移住先を探すうち、出会ったのがこの場所。今はここで、果物を育てながらカレーを作っている。

kitchen and CURRYの店主の阿部さん
豊かな食材に惹かれて移住を決めたという店主の阿部さん。
kitchen and CURRYの3種盛りカレーの外観
店は、育てる場所と味わう場所が隣り合う果樹園の中の古民家。
左/淡路橙スカッシュ、右/いちじくラッシー
旬のドリンクも。左/淡路橙スカッシュ750円、右/いちじくラッシー650円。
kitchen and CURRYの3種盛りカレー
3種盛り1,900円。各カレーを楽しんだら、少しずつ混ぜ合わせて。

食材を求めて来たはずが、いつしか育てる人にもなっていた。夏は早朝から桃を摘み、選び分けてから店を開ける。その桃は、鹿肉と合わせてキーマカレーになった。農家から直接届く箱を開け、魚屋の地魚を見て、香りを組み立てる。この日の淡路橙と合鴨のカレー。畑で育った橙は、まだ青い。酸味とほろ苦さが鴨の脂を引き立て、スパイスは持ち味を支える。合鴨は、田んぼで米作りを手伝ってきた鳥。

島の営みの循環が、一皿の中でつながっている。一口ごとに、畑や田んぼが近くなる。季節も、作り手の仕事も、阿部さんの好奇心も詰まった味わい。

次に来るときには、また違う島の味に出会えるだろう。お腹が満ちたら夕暮れの海辺へ。おいしい余韻とともに。

青い淡路橙と合鴨が出会う、島のカレー。1種盛り1,800円。

Information

kitchen and CURRY 淡路橙店

カレーは常時3種類で、1種~3種盛りが選択可能。2、3日に1度メニューが変更になる。旬の食材で作られるアイスも。

住所:兵庫県洲本市五色町鮎原西368
TEL:0799-20-1554
営:11時30分〜15時(土・日・祝〜16時)
休:火曜

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