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キムラ緑子さん64歳、舞台やドラマで多忙な日々。「親といられる時間がいちばん大事」と淡路島へ月数回、片道6時間半の「帰省」

  • 2026.10.8

キムラ緑子さん64歳、舞台やドラマで多忙な日々。「親といられる時間がいちばん大事」と淡路島へ月数回、片道6時間半の「帰省」

「VIVANT」で櫻井司令を演じているキムラ緑子さん。年末には一転、ギリシャ悲劇の王妃役に挑みます。そんな多忙な日々のなか、月に数回、6時間半かけて帰るのが、実家のある淡路島・洲本。仕事の合間を縫って続けている親のケアは、かけがえのない時間でもあります。インタビュー第2回は、遠距離介護の日々について伺いました。

プロフィール

キムラ緑子さん 俳優
きむらみどりこ●1961年生まれ。兵庫県淡路島出身。劇団M.O.P.を経て舞台のみならず、映画・ドラマで幅広く活躍。NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」で注目を集め、近年は「VIVANT」、NHK連続テレビ小説「おむすび」などに出演。2026年12月、舞台『エレクトラ』に出演予定。

51歳のとき、主人公をいじめる小姑を演じ注目を

キムラさんの生まれ故郷は兵庫県の淡路島、洲本市。演劇の道に進むきっかけは、1本の芝居を観たことだった。

「大学は京都の同志社女子大学に進んだんですけれど、それまで演劇には何の興味もなかったんです。でも、大学で知り合った友人が高校時代から演劇をやっていた人で。また演劇がやりたいから、と誘われて見たのが、つかこうへいさんの『熱海殺人事件』のコピー作品。『えっ、何、これ⁉』『こんな世界がこの世にあったのか⁉』って大興奮して、それでそのまま演劇の世界に入っちゃいました」

その舞台の演出をしていたのが、キムラさん曰く「私の家族」。夫で劇作家、脚本家、演出家のマキノノゾミさん。同志社大学の2年先輩だった。

大学卒業後、マキノさんとともに劇団M.O.P.の旗揚げに参加し、看板女優として活躍。35歳で拠点を東京に移し、NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」(2013年)で、杏さん演じるヒロインめ以子をいびる“いけず”な小姑・西門和枝を演じ、お茶の間の視聴者に強烈なインパクトを残した。

ときにキムラさん、51歳。確かに遅咲きだけれど、それからの活躍ぶりは言うまでもなく、「好きなことを真摯に続けていれば、いつからだって遅くない」と“ゆうゆうtime”世代の背中をしっかり押してくれている。

そんな多忙なキムラさんがいまは仕事の合間を縫って、月に数回、故郷の淡路島に住む高齢のご両親と時間を過ごす生活を大切にしている。

「父も母も淡路島で暮らしています。高校の同級生で、ふたりとも88歳、89歳、かな。でも、母はちょっとボヤッとしてきてしまったので、一昨年くらいから介護施設に入りました」

いまは、「空いた時間のあるときに両親のもとに戻る」というキムラさん。それは、夫のマキノさんも同じだそうだ。

「自宅から洲本まで、ドアtoドアで6時間半、かかるんです。新幹線に乗って、バスを乗り継いで。東京に帰るときも6時間半ですから、それはへとへとに疲れます」

「私にとって、親のことがいま一番必要」

50~60代の多くが抱える遠距離介護のシビアな現実を、キムラさんも身をもって味わっている。

「父は戦後の高度経済成長期のサラリーマン。退職後も淡路島でいろいろな活動に顔を出してきた人です。母は両親から引き継いだ、いまでいう“コンビニエンスストア”みたいな商店を切り盛りしていました。文具から野菜や肉、お漬物まで売るお店。母はほんとうに働くのが好きな、元気で明るい人。でも、いまはそんな母が二度と話せなくなるのかと思い、つらくなる時もある。まだもう少し通じ合えることをうれしく思う時もある。いま、母が少しずつ遠くに行く……、そんな母が幸せだといいなぁと思います」

自宅で一人暮らしをするお父さまも大きな病気を抱え、あまり動けなくなったこのごろ。歩行に介助が必要になったお母さまはキムラさんが淡路島に帰ったときだけ、自宅でお父さまと過ごすことができるのだという。

「父は私に『なるべく帰ってきてほしい』と思っているので、大阪にいる弟とも協力して、帰ったら身の回りの世話をしたり、ごはんを作ったりしています。行ったら3泊くらいはしますね」

そんな淡路島通いの日々のあれこれを、キムラさんは時折、自身のInstagramに投稿している。

介護士さんの配慮により、お母さまの自宅リハビリが実現し、お父さまと会えた日の動画(2025年12月16日)。

「なぁ、ワシや。がんばっとるけぃ。なんも私を覚えてない?」と施設から戻ったお母さまの顔をやさしくさすりながら問いかけるお父さま。すると、介護士さんに両脇を抱えられたお母さまが、か細い声で「あなたが忘れとぅ……」と言葉を返す。その始終、お父さまはお母さまの手をぎゅーっと握って離さない。

「父と母は仲がいいんです。母が施設から帰ると、いつも手をつなぐ。2人がどういう思いなのかと思いを馳せつつ、よかったなぁーと思う時。私にとって、親のことがいま一番必要。やらなきゃいけないこととしては、第1位です」

『エレクトラ』で娘に復讐を誓われるクリュタムネストラを演じるキムラさんの生身の“正義”はここにあるのかもしれない。

【information】詩と音楽の光景『エレクトラ』

2026年12月13日(日)〜12月30日(水) <東京公演>東京建物ぴあシアター
2027年1月16日(土)〜17日(日) <愛知公演>Niterra日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
2027年1月21日(木)〜22日(金) <大阪公演>梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

父を奪われ、母への復讐に燃える娘エレクトラ。夫を自ら裁いた王妃クリュタイムネストラ。愛と憎しみがぶつかり合うギリシャ悲劇を、台詞と旋律、沈黙と叫びが交錯する「詩と音楽の光景」として描く。これは、遠い神話ではない。そこにあるのは、戦争や分断、暴力が繰り返される今に通じる「正義とは何か」という問い。古代の悲劇が、いま新たな物語として立ち上がる。

原作:ギリシャ悲劇
翻案:岩切正一郎
歌詞:高橋亜子
音楽:ブランド・リー
演出:栗山民也
出演:明日海りお キムラ緑子 中尾明慶
渡邉蒼 徳重聡 豊原江理佳 山西惇 ほか

企画制作:ホリプロ
主催:ホリプロ/ぴあ
公演サイト https://horipro-stage.jp/stage/electra2026/

撮影/橋本哲

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