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【ひょうごフィールドパビリオン】うすくち醤油の発祥地・兵庫県たつの市で醤油づくり体験『発酵LabCoo(発酵ラボクー)』

  • 2026.11.7
【ひょうごフィールドパビリオン】うすくち醤油の発祥地・兵庫県たつの市で醤油づくり体験『発酵LabCoo(発酵ラボクー)』

本記事は「ひょうごフィールドパビリオン」の取材協力のもと、体験の提供を受けて作成しています。

毎日のように使っている醤油。でも、うすくち醤油とこいくち醤油の違いを聞かれると、意外と答えられないものです。筆者も、正直なところ色くらいの違いしか分かっていませんでした。

そこで今回訪ねたのが、兵庫県たつの市の龍野。うすくち醤油が生まれた町として知られ、今も蔵や城下町の街並みが残っています。

この町の発酵教室「発酵LabCoo(発酵ラボクー)」で、自分だけの醤油づくりを体験してきました。

「ひょうごフィールドパビリオン」とは

「ひょうごフィールドパビリオン」の公式ビジュアル(画像:公式サイトより)
「ひょうごフィールドパビリオン」の公式ビジュアル(画像:公式サイトより)

「ひょうごフィールドパビリオン」は、兵庫県全体を1つのパビリオンに見立て、”遊んで、学んで、未来につながる”SDGs体験プログラムです。2025年の大阪・関西万博をきっかけに始まりました。

観光地をめぐるだけでなく、地域の人たちが受け継いできたものづくりや食文化の現場に入って、手を動かしたり話を聞いたりできるのが魅力です。

舞台は、摂津・播磨・但馬・丹波・淡路の「五国」からなる兵庫県の全域。2026年10月時点で、約280件のプログラムが認定されています。

万博が終わった今も、この取り組みは続いています。発酵LabCooの店内には「EXPO LEGACY HYOGO スタンプラリー」のスタンプ台があり、スタンプ帳は無料でもらえました。

発酵LabCooの松下美幸さんによると、スタンプラリーで訪れる人からは「旅に出る言い訳ができる」「普段行かないところに行くきっかけになる」という声が多いのだとか。その気持ち、なんとなく分かります。

今回体験したのは、播磨エリアのプログラム「龍野に息づく、醸造体験および蔵見学ツアー」です。

うすくち醤油が生まれた町・龍野

JR姫新線の本竜野駅
JR姫新線の本竜野駅
水路に沿って歩ける、龍野の城下町
水路に沿って歩ける、龍野の城下町
蔵や町家が続く街並み
蔵や町家が続く街並み

最寄りはJR姫新線の本竜野駅。駅から揖保川を渡って歩くこと15分ほどで、城下町に入ります。

細い水路沿いの道に、格子戸の町家、黒い板壁の蔵。京都のようなにぎやかさはありませんが、そのぶん静かで、のんびり歩けるのがいいところです。

松下さんによると、龍野はもともと酒蔵が多く、麹の文化が根付いた土地。麹をたっぷり使った甘いお味噌が多いのも、この地域ならではだそうです。

発酵LabCooで「マイ醤油づくり」に挑戦

発酵LabCooの入口
発酵LabCooの入口
本棚に囲まれた、明るい教室
本棚に囲まれた、明るい教室

発酵LabCooは、城下町の一角にある発酵教室です。教えてくれたのは、地産地酵アドバイザー・発酵インストラクター・栄養士の松下美幸さん。2017年に自宅で教室を始め、2023年に店舗をオープン。2025年11月には、40〜50人が入れる広いフロアも加わりました。

本棚に囲まれた明るい教室に通され、いよいよ体験スタートです。

まずは5種類の見本醤油を、香りで選ぶ

5種類の見本醤油とレシピカード。まずは香りをかいで選びます
5種類の見本醤油とレシピカード。まずは香りをかいで選びます
煮干し、干ししいたけ、昆布など、瓶に入った薬味がずらり
煮干し、干ししいたけ、昆布など、瓶に入った薬味がずらり

テーブルには、昆布、干ししいたけ、煮干し、ローズマリー、八角、胡椒など、瓶に入った薬味がずらり。

とはいえ、薬味だけを並べられても、何をどれだけ入れればどんな醤油になるのか見当がつきません。そこで最初に、5種類の見本醤油の香りをかいで、作りたい醤油を決めます。

  1. 和のだし醤油
  2. 山椒醤油
  3. 中華の香味醤油
  4. 華やかに香るハーブ醤油
  5. 食欲増進スパイス醤油

かいでみると、同じ醤油がベースとは思えないほど、香りがまったく違います。松下さんいわく「なめて決めるより、香りで決めたほうが選びやすい」。口に含むと、どうしてもベースの醤油の味が強く出てしまうのだそうです。

「万能そうだし、1番にしようかな」。そんな声が出たところで、松下さんがひとこと。

「1番は、実はおすすめしていないんです。間違いではないんですけど、スーパーで買える味なので。せっかく作るなら、ちょっと冒険してほしい」

こう言われると、がぜん冒険したくなります。

選んだのは「華やかに香るハーブ醤油」

筆者が選んだ「華やかに香るハーブ醤油」のレシピ
筆者が選んだ「華やかに香るハーブ醤油」のレシピ
ローズマリーをスプーンで瓶の中へ
ローズマリーをスプーンで瓶の中へ
薬味を入れた瓶。ここに醤油を注いでいきます
薬味を入れた瓶。ここに醤油を注いでいきます

というわけで、筆者が選んだのは4番のハーブ醤油。ローズマリーの香りが立つ醤油で、鶏肉のソテーや焼き魚に合うそうです。ふだんの食卓にはないタイプの醤油で、ここは迷わず決まりました。

レシピは、昆布3枚、にんにくを瓶の底が埋まる程度、鷹の爪を2つまみ、ローズマリーをスプーンすりきり1杯。カードの下には「おすすめプラス」として、バジルも書かれています。

昆布はうまみのもとになるので、どのレシピにも必ず入ります。それ以外は、量を増やしても減らしても、レシピにない薬味を足してもOK。

トングとスプーンで薬味を1つずつ瓶に入れていく作業は、ちょっとした理科の実験のようで、大人でも楽しい時間でした。

しぼったままの「生揚げ醤油」を注ぐ

しぼったままの生揚げ醤油を瓶に注いでもらいます
しぼったままの生揚げ醤油を瓶に注いでもらいます

薬味を入れた瓶に、松下さんが醤油を注いでくれます。使うのは「生揚げ(きあげ)醤油」。

ふつうの醤油は、しぼったあとに加熱して濾過してから売られます。生揚げ醤油は、しぼっただけで加熱する前の醤油のこと。「生醤油」と呼ばれることも多いそうですが、正しくは生揚げ醤油というのだと、ここで初めて知りました。

このあと瓶ごと加熱処理をして仕上げます。

待ち時間は醤油の講座。「うすくち」は味が薄いわけではなかった

醤油の原料。左から塩、小麦、大豆
醤油の原料。左から塩、小麦、大豆
瓶の中で発酵が進むもろみ
瓶の中で発酵が進むもろみ
醤油の話をしてくれた松下美幸さん
醤油の話をしてくれた松下美幸さん

加熱を待つ間は、醤油の講座です。これが、この日いちばんの発見でした。

醤油の原料は大豆、小麦、塩。蒸した大豆と炒って砕いた小麦に塩水を加え、半年から1年ほど熟成・発酵させると醤油になります。見せてもらったもろみは、ぷくぷくと泡立っていて、「生きているんだな」と感じます。

醤油はJAS規格で5種類に分けられています。濃口、薄口、たまり、再仕込み、白醤油です。全国のシェアは濃口が約8割、薄口が約1割。残りの3種類を合わせても約1割しかありません。

そして、うすくち醤油の発祥の地が、ここたつの市。京都の懐石料理でも重宝されているそうです。

うすくち醤油は「味が薄い」と思われがちですが、実は違います。業界では「淡口」と書くように、淡いのは色のほう。塩分はむしろ、濃口の約16%に対して薄口は約18%と高めなんです。

お吸い物のおいしい塩分が約1%、海水でも約3%と聞くと、この約2ポイントの違いの大きさが分かります。筆者もすっかり、名前のイメージにだまされていました。

「美味しそうな色になるまで入れたら、入れすぎになるのは当たり前なんです」と松下さん。うすくち醤油は少しの量で味が決まり、素材に色をつけず、だしの味を引き立ててくれます。「常に脇役に回る」醤油なのだそう。なんだか、いい言葉です。

家でできる、うすくちとこいくちの使い分け

5種類の醤油を小皿で見比べ。白醤油は器の模様が透けて見えます
5種類の醤油を小皿で見比べ。白醤油は器の模様が透けて見えます

続いて、5種類の醤油を並べて、色と香りを見比べました。こんなふうに5種類が並ぶことは、なかなかありません。

白醤油は器の模様が透けて見えるほど淡く、濃口とたまりは香りがよく似ています。同じ「醤油」でも、ここまで違うのかと驚きました。

家庭での使い分けの目安は、次の3つだそうです。

  • 素材の色:大根や白菜、白身魚など色の淡い素材には、うすくち
  • 素材の味の強さ:大根や白菜のように「どんな味?」と聞かれて一瞬迷う、味のやさしい素材には、うすくち
  • 臭みの強さ:青背の魚や肉など、臭みが気になる素材には、こいくち

うすくちが活躍するのは、お吸い物、うどんのつゆ、茶碗蒸し、だし巻き卵など。うすくちが家にない人は、だし醤油で代わりにしていることが多いそうです。

ちなみに「刺身醤油」や「だし醤油」は醤油の分類ではなく商品名。中身は各メーカーが自由に決めています。

せっかくなので、筆者もふだんから気になっていたことを聞いてみました。うちではバルサミコ酢とオリーブオイル、醤油、塩でドレッシングを手作りしているのですが、どの醤油が合うのでしょうか。

答えは、こいくち。うすくちだと塩辛くなるわりに、バルサミコ酢の香りに負けてしまうそうです。なんとなく使っていた醤油が正解だったと分かって、ちょっとうれしい瞬間でした。

ちなみに醤油とバルサミコ酢の組み合わせは、目玉焼きにも合うのだとか。これは今度試してみます。

ラベルを書いて、箱を組み立てて完成

しぼりかす入りの手すき紙に、名前と日付を書いてラベルに
しぼりかす入りの手すき紙に、名前と日付を書いてラベルに
サイコロの絵を目印に、箱を組み立てていきます
サイコロの絵を目印に、箱を組み立てていきます
最後にキャップを締めてもらいます
最後にキャップを締めてもらいます

最後は仕上げの作業です。ラベルに使う紙は、神戸の障害者支援施設で手すきされたもの。茶色いつぶつぶは、醤油のしぼりかすを練り込んだものだそうです。

名前や日付など、記念になることを書きます。にじみやすい紙なので、書いたら触らずに乾かすのがコツ。字に自信のない筆者は、少し緊張しました。

箱は、サイコロの絵を目印に折っていくと、立体的に組み上がります。少しコツがいりますが、松下さんが1つずつ教えてくれるので安心です。キャップを締めてもらい、箱に収めたら完成。

醤油を収める箱。絵柄がかわいくて、おみやげにもよさそうです
醤油を収める箱。絵柄がかわいくて、おみやげにもよさそうです

この箱がまた、かわいいんです。思わず「めっちゃかわいい」と声が出ました。

帰りには、地元のデザイナーが描いた「飛び出し坊や」のステッカーをもらいました。城下町の中に、何か所かだけ立っているそうです。帰り道で見つけたときは、ちょっと得した気分に。

おみやげにもらった「飛び出し坊や」のステッカー
おみやげにもらった「飛び出し坊や」のステッカー
城下町で見つけた飛び出し坊や
城下町で見つけた飛び出し坊や

完成した醤油は、1週間ほど置くとなじむ

完成したハーブ醤油。原料の小麦、大豆と一緒に
完成したハーブ醤油。原料の小麦、大豆と一緒に

作った醤油は当日から使えますが、1週間ほど置くと味がなじんでおいしくなるそうです。保存は冷蔵庫で。賞味期限の目安は2〜3か月です。

もっと発酵を学びたい人には

発酵LabCooでは、今回のような気軽な観光体験のほかに、発酵を深く学ぶ教室も開いています。出汁の講座は全3回。自分で麹から醤油を仕込み、半年から1年かけて育てる講座もあるそうです。

みそ玉づくりの体験もあります。

お味噌は仕込んで持ち帰れば、あとは家で放っておくだけでできるのだとか。「育てる楽しみ」と聞くと、次はそちらも気になってきます。

建物の奥には宿もあるので、遠方から泊まりがけで訪れることもできます。

体験には夫婦、友人同士、親子のほか、企業の福利厚生や懇親会で訪れる人もいるそうです。

龍野の町歩きもあわせて

龍野城の入口
龍野城の入口
クラテラスたつのの「地産地消たつの発酵ランチ」
クラテラスたつのの「地産地消たつの発酵ランチ」

松下さんによると、龍野を訪れる人の目的で一番多いのは町並み散策。龍野城、うすくち龍野醤油資料館、買い物や食事ができる「クラテラスたつの」などを歩いてめぐる人が多いそうです。

資料館には今回立ち寄れなかったので、次に来るときの楽しみにとっておきます。

筆者が体験の前に立ち寄ったのは、クラテラスたつの。地元の食材と発酵調味料を使った「地産地消たつの発酵ランチ」(税込1,815円、11:30〜14:00、数量限定)をいただきました。メインのおかずに肉や魚を使っていないのに、しっかり食べごたえがあって、発酵の町らしいお昼ごはんでした。

体験の基本情報

施設名 発酵LabCoo(発酵ラボクー)
住所 兵庫県たつの市龍野町下川原22-2
アクセス JR姫新線「本竜野」駅から徒歩約15分/JR姫路駅から車で約40分
駐車場 あり(普通車約5台・無料)
体験内容 マイ醤油づくり
料金 2,200円(税込)
所要時間 約1時間
予約 公式LINE、料理教室サイト「クスパ」、電話(090-9982-5917)
営業時間 10:00〜17:00 体験、料理教室は不定休
公式サイト https://www.labcoo.jp/
プログラムページ https://expo2025-hyogo-fieldpavilion.jp/program/26

当日の参加は、教室の状況によって受けられないこともあるそうです。事前に予約しておくと安心です。

※料金・営業時間は取材時点の情報です。

まとめ

醤油は毎日使うのに、選び方や使い分けを教わる機会はなかなかありません。

香りで醤油を選び、薬味を詰めて、ラベルを書いて仕上げる1時間。持ち帰れたのは自分だけの1本と、明日の料理からすぐ使える「うすくちとこいくちの使い分け」でした。

ふだんは何も考えずに醤油を使っている筆者にとって、こんなにじっくり醤油と向き合ったのは、たぶん初めてでした。

友人同士でも、親子でも、それぞれ違う1本を作って見せ合うのは楽しいと思います。

兵庫県全域で体験プログラムを展開する「ひょうごフィールドパビリオン」。次の週末の小旅行に、醤油の町・龍野を選んでみてはいかがでしょうか。

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