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『WEAPONS/ウェポンズ』『バイオハザード』へ連なる源泉――『バーバリアン』で俊英ザック・クレッガーの才腕を確かめる

  • 2026.10.11

衝撃的かつ斬新な展開で全米のホラーファンを唸らせ、日本でも配信で好評を博した『バーバリアン』(22)。そのパッケージが10月7日にリリースされた。これは注目せざるを得ない!というのも、本作は世界中で大ヒットを飛ばし、アカデミー賞助演女優賞受賞などの高評価を得た『WEAPONS/ウェポンズ』(25)、そして劇場公開を控える同名人気ゲームの新たな映画化『バイオハザード』(公開中)で脚光を浴びている俊英ザック・クレッガーの記念すべき単独長編監督デビュー作なのだ。

【写真を見る】気鋭のホラー監督、ザック・クレッガーの長編デビュー作『バーバリアン』

【写真を見る】気鋭のホラー監督、ザック・クレッガーの長編デビュー作『バーバリアン』 『バーバリアン』4K UHD+ブルーレイ セット発売中 発売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン 発売・販売元:ハピネット・メディアマーケティング デジタル配信中(購入/レンタル) 発売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン [c] 2026 20th Century Studios
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民泊に泊まろうとしただけなのに…若い女性が体験する恐怖を描く『バーバリアン』

まずは『バーバリアン』の内容を簡単に紹介しておこう。舞台はアメリカ、デトロイトの寂れた郊外。仕事の面接でデトロイトにやってきた若い女性テスは大雨の夜、予約していた宿泊用の一軒家を訪ねる。ところが、そこにはダブルブッキングによりキースという男性がすでに滞在していた。最初は互いに困惑するが、行く当てのないテスはキースに警戒心を抱きながらも家に上がり、別々の部屋で夜を過ごす。翌日、面接を終えて宿に戻ったテスは、備品を探すため地下室へ下りる。そこには隠し扉があり、暗がりの奥にさらなる地下へ続く階段を見つける。彼女からそれを知らされたキースは調べるため、真っ暗な地下へ下りていくのだが…。

この序盤だけで緊張感満点だが、話はさらに転がる。民泊のオーナーである俳優AJが物件売却の下調べのために家を訪れて、同じく地下で戦慄の体験をする。さらに物語は1980年代、端正な住宅地だった頃のこの地で起きた“なにか”を匂わせながら展開。物語を動かす人物が変わるたびに画面も大きく転調するから、いったいなにが起こっているのか、とにかく先が読めない!

恐怖を最大限に引き立てる俳優陣の演技

様々なピンチを切り抜けようと奮闘するテスをジョージナ・キャンベルが好演! 『バーバリアン』4K UHD+ブルーレイ セット発売中 発売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン 発売・販売元:ハピネット・メディアマーケティング デジタル配信中(購入/レンタル) 発売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン [c] 2026 20th Century Studios
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サスペンスを深める役者の熱演は、まさに絶品。主人公テスに扮したジョージナ・キャンベルは不条理な状況に陥っていく若い女性を体現し、観客が体感するスリルを丸ごと引き受ける。当時まだ無名だった彼女は本作で注目を集め、M.ナイト・シャマランの娘イシャナ・ナイト・シャマランの長編監督デビュー作『ザ・ウォッチャーズ』(24)に出演。その後『サイコ・キラー』(26)で主演に抜擢され、2027年1月15日(金)に日本公開されるSFスリラー『アンダー・ストレージ/未知なる脅威』(26)にもメインキャストとして名を連ねている。

怪しさたっぷりのダブルブッキング相手キース(ビル・スカルスガルド) 『バーバリアン』4K UHD+ブルーレイ セット発売中 発売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン 発売・販売元:ハピネット・メディアマーケティング デジタル配信中(購入/レンタル) 発売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン [c] 2026 20th Century Studios
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また、「IT/イット」シリーズのペニーワイズ役で知られるビル・スカルスガルドがキースを演じ、紳士的だがミステリアスな存在感を発揮。民泊のオーナーで自己中心的な俳優AJを演じた『ダイ・ハード4.0』(07)のジャスティン・ロングは、コミカルな魅力を放ちながらも、キャラのハラスメント気質をじんわりとにじませている。

先の読めない展開を生む、クレッガー監督の大胆な脚本術

民泊の地下室に隠された恐ろしい秘密とは…? 『バーバリアン』4K UHD+ブルーレイ セット発売中 発売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン 発売・販売元:ハピネット・メディアマーケティング デジタル配信中(購入/レンタル) 発売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン [c] 2026 20th Century Studios
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そしてなにより目を引くのは、クレッガー監督の才腕だ。脚本の執筆段階で、自分があまりにも“予想可能”なものを書いていることに苛立った彼は、あえてそれをひっくり返すことを思いつき、自分でさえどうなるかわからない物語を作っていったという。映画の中身に例えれば、彼もまた地下の暗闇のなかを手探りで進んでいったということ。結果、生みだされたストーリーは驚くほど意外性に富んだものとなった。

脚本が固まれば、あとはそれをどう演出するか、だ。『WEAPONS/ウェポンズ』に通じる要素と比べながら解説していこう。『WEAPONS/ウェポンズ』はキャラクター7人の視点でドラマをつづる6章から成っていた。本作では明確な章立てはしていないが、大きな場面転換がいくつかあり、実質的には4部構成となっている。いままで観てきたものが、新しい章とどうつながるのか?そんな観客の興味を喚起する点に本作のおもしろさがある。

ホラー映画としての見せ方も巧い。たとえば序盤、閉めていたはずのテスの寝室のドアが開いているとか、奇妙な物音が聞こえるとか、ともすれば彼女の思い過ごしとも思える程度に不穏を高め、地下に入っていく場面から急速にスリルを上げていく。『WEAPONS/ウェポンズ』では、のどかな街の通りで不意に血まみれの男が走ってきてギョッとさせる場面があったが、恐怖の強弱のつけ方がとにかく巧い。それは同時に、恐怖と背中合わせのユーモアを醸しだす機能も果たしているのだから、クレッガー監督の表現の豊かさに驚かされる。

『バイオハザード』にも通じる才腕を『バーバリアン』でチェック

折しも新作『バイオハザード』が、同ゲームの映画化作品として最大の全米興収を記録している。この新作でクレッガー監督はゲームの視点にこだわり、主人公を一人の青年に絞ってホラーワールドを生みだしているが、恐怖とユーモアが絶妙のテンポで結びついている点や、グロテスクなクリーチャーの登場などのショック描写に“らしさ”がうかがえ、“予想不可能”な展開を含めて強烈な吸引力を感じさせる。

『WEAPONS/ウェポンズ』に続き、またしても“スゲぇ!”と思わせる才腕。『バイオハザード』に臨む前に、そんなクレッガー監督の才能を十二分に堪能できる『バーバリアン』をチェックしてみてはいかがだろうか。

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文/相馬学

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