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女将、髪結い、男衆、まかないさん…華やかな伝統文化を支える多くの人々。元舞妓の著者が明かす、京都・花街の舞台裏【書評】

  • 2026.10.3

【漫画】本編を読む

『舞妓をめぐる花街の人々』(松原彩/KADOKAWA)は、15歳で京都の花街へ飛び込み、舞妓、そして芸妓として過ごした著者・松原彩氏が、そこで出会った忘れられない人々を描いたコミックエッセイだ。華やかな着物に身を包み、美しい舞を披露する舞妓。その世界はもちろん彼女たちだけで成り立っているわけではない。知られざる花街の日常を、元舞妓だからこそ知るエピソードとともに描き出している。

松原氏は中学校を卒業した15歳のときに地元を離れ、京都の花街で舞妓になった。その後、19歳で芸妓へ襟替えし、22歳まで花街で過ごした経歴を持つ。そんな松原氏が本作でスポットを当てたのが、自身が舞妓として働くなかで出会ってきたさまざまな人たちだ。たとえば、舞妓たちが暮らす置屋の女将さんや、ともに厳しい日々を乗り越えてきた同期たちのほか、毎日の食事を支えるまかないさん、舞妓の象徴ともいえる「だらりの帯」を締める男衆(おとこし)さん、日本髪を結う髪結いさん。そして、お茶屋の仲居さんや舞のお師匠さん、舞妓を応援してくれるお客さんと、ひとりの舞妓の後ろには、驚くほど多くの人たちがいることがわかる。

なかでも興味深いのは、花街ならではの人間関係だ。舞妓には先輩との「姉妹」関係があり、年功序列による上下関係も存在する。舞妓として必要なことを教えてくれる先輩がいる一方で、同期はその厳しい世界をともに乗り越える「戦友」のような存在になる。一般社会とは異なる独自の文化やしきたりを、実際にそのなかで暮らしてきた当事者の目線から知ることができ、興味深く読み進められるだろう。

15歳という若さで飛び込んだ特別な世界で、松原氏は何を学び、どんな人たちに支えられてきたのか。華やかな姿だけでは決して知ることのできない花街のドキュメンタリーを見ているようでもある本作。読後は、京都、ひいては日本の大切な伝統文化を裏側で支える人々の存在を感じつつ、舞妓さんたちに対する印象が大きく変わっているはずだ。

文=馬風亭ゑりん

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