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トム・ブラウン布川ひろきのエッセイ連載「おもしろおかしくとんかつ駅伝」/ 第31回「もつ鍋」

  • 2026.9.30

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僕は夏場でも温かい物を平気で食べます。ラーメンはつけ麺にして少しでも汗をかかないようにしたりとか、うどんはぶっかけうどんとかにして体をひんやりさせたりはほぼしません。

真夏のうだる日でも熱いラーメンを食べて汗だくになり、熱いかき揚げうどんを食べて、かき揚げの時点で汗だくになっている男です。

だって温かい方が旨いんだもん。旨いもん食べるために「暑くて汗をかくのが嫌」等というしょーもなき理由でやめるのが嫌なんだもん。体冷やしたいなら、冷ごはんにアイスを乗せてアイス丼でも食べたらどう?

とか思ったり思わなかったり。

まぁ人それぞれではありますが。

何が言いたいかと言うと、僕はとにかく温かい物が好きなのです。北海道出身だからなのか、おにぎりもいまだに温めますしお弁当も極力温めますし、やっぱり温かい方が美味しいし気持ちも安らぐ気がします。

しかし、そんな僕でもすごい好きなのにあまり食べない温かい汁物があります。それは

「もつ鍋」

です。

あの柔らかい食感とスープが染み込んで、噛んだ時に旨味が出てくるのが何度もくる所が堪らなく好きです。キャベツがくたくたになり染み込みまくってるのも良いし、煮込むのは弱めにしてシャキッと食べるのも美味しいです。

上京してお金がない頃に兄貴が東京に遊びに来て

「何か食べたいものあるか?」

と聞かれたので、真っ先にもつ鍋を選び、しこたま食べたのも鮮明に覚えています。

ではなぜそんなに食べないのか。それは

「鍋の準備に気を使うから」

です。

芸歴が22年になり、この歴になるともうご飯に行くと自分が1番先輩なこともかなり増えました。後輩と行くと鍋の具材はもちろんのこと、途中であくとりとかもしてくれたりします。僕は気付いた方がやればいいくらいに思っているので

「気にしすぎなくていいからなぁ。」

と、言ったりはするのですが、けっこうあくがたまった時に僕がやったりすると

「やらせてすいません。」

と謝られたりもします。

ほんと、ただただ気付いたからやっただけなのですが、後輩からしたら先輩がやっていると気を使ってしまうのでしょう。サラダとかは来たら必ず

「自分でやりましょう。」

と、言ってとりたい分だけにするのですが、鍋は後輩からしたらそうはいかない時がけっこうあるからなのかもしれません。

でも後輩の気持ちもわかります。

10年くらい前に、ある先輩コンビの方と鍋をさせてもらったことがあり、僕が1番後輩だったのでやろうとしたらコンビの片方の方が

「やらなくて大丈夫よ。ほんとに。」

と、なり否定して、やり続けるのも失礼かもなので、取り分けまではやらずにいたら1分後に

「ザッ! ザッ! ザッ!」

と、その相方さんが激しめに動いて、鍋から僕以外の人のお皿についだことがありました。たぶん、その相方さんからしたら「やれ」ということだったのだと思います。最初に「やらなくて大丈夫よ」と言った方からは

「ほんまにええからな。」

と後で言われました。「全然やりますよ」と言ってやるべきだったかなと思ったりしましたが、その方とは同じ考えだということに甘えてしまっていました。

鍋はけっこうその人の考え方が出てしまう食べ物なので、誰が正解とかはないかもしれませんが、誰が不正解というのもないので難しいのかもしれません。

なので、僕は「鍋は誰かの感情がマイナスに動いてしまったりめんどうな気持ちにさせてしまう可能性が他の食べ物よりある」と思うので、率先しては行かなくなりました。焼肉も同じ理由で、相手が食べたいと言わないなら行きません。ホルモンすごい好きですが。

これを書いてる時に、ふと最後にもつ鍋を食べたのはいつか考えました。昨年ヤーレンズの楢原がM-1グランプリの決勝に進出したので「ご飯でも行こう」となり、「何でも良い」というのでもつ鍋に行ったのが最後でした。

もつ鍋を作る時、特に何も言わずどっちも具材を入れたり、あくを取ったりしていました。

楢原は後輩ですが、かなり仲が良いのでその辺はどっちでも良いとわかってくれてるのでしょう。そして僕も気を使わず食べれました。

また、別の日に納言のみゆきとアップタウンという団体のプロレスラーである黒潮TOKYOジャパンさんの実家の「鍋家黒潮」で鍋を囲ませていただきました。先輩レスラーであるばってん×ぶらぶらさんもいましたが、黒潮TOKYOジャパンさんより後輩レスラーであるアップタウンの選手の皆さんも黒潮さんが鍋を作っている時も座って談笑していました。

とても良い光景でした。だって、たぶん鍋屋の息子がやった方が美味しいはずだもん。そして、先輩だろうが後輩だろうが「それで良い」という空気感。後輩も舐めててそうしているわけではなく、リスペクトがあるのだろうし、それで良いとわかっている感じでした。

そうか。わかった。

恐らく僕は鍋をすることにやや心を閉ざしてしまっていたのですが、鍋をすることによって人の心が近づくことや心が近い人に気付けることがあるのだな。実際に見ててそうでしたので。

よしっ。

今後はもう少し色んな人ともつ鍋を食べに行こう。

ただ、リハビリじゃないけど最初はヤーレンズ楢原、納言みゆき、モグライダーともしげの気を使わない三人衆と行くことにしよう。

あ、

でも待てよ。

ともしげさんはもんじゃ焼き屋さんで僕が作れないので

「お願いしていいですか?」

と、言ったら

「フンッ、フンッ、フンッ!」

と、言いながら激しい動きでもんじゃ焼きを作り、あまり機嫌良くなかったから怒るかもしれないからやめとこうかな。

いや、、、、

怒らせとけばいいか。

それも鍋の醍醐味だな。

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