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《10月20日は美智子さま92歳のお誕生日》ターバン風帽子、デコルテの美しいドレス、国旗色のセットアップ…ご婚約から現在までのファッションと込められた“特別な意味”

  • 2026.10.20

美智子さまがこれまでお召しになってきた装いは、単にトレンドを追うものではなく、その時代における女性像や皇室の役割、そして訪問先や国民への深い敬意を表現する「言葉以上のメッセージ」として大きなインパクトを与えてきました。

ご婚約内定時から現在まで、それぞれの装いがなぜ人々の心を捉え、時代に旋風を巻き起こしてきたのかを振り返ります。


新時代の訪れを告げたモノトーンスタイルの美しさ

美智子さまの清楚な輝きに多くの日本国民が魅了されたのは、ご婚約内定記者会見に向かわれる日、ご自宅の前にお姿を見せられた瞬間でした。

1958年11月27日、婚約内定発表の朝、実家から皇居に向かわれる美智子さま(宮内庁提供)。

白と黒のモノトーンのスタイルが生み出す鮮やかなコントラストと、ふんわりと膨らむスカートのシルエットは、まさに高貴な雰囲気を全身から醸し出していました。伝統的な着物姿の母上と対比をなすこの西洋的でモダンな装いは、新時代の女性像を強烈に印象付けたと言われています。戦争の傷痕が残る昭和30年代初頭において、清楚で洗練された洋装は国民に希望と新鮮な驚きを与え、「ミッチー・ブーム」を象徴するスタイリングとなりました。

気品を失わないスポーティーな装い

また、皇室に「健康的で開かれた新しい女性像」をもたらしたのも、ご婚約内定後、間もない頃の美智子さまです。

1958年、東京港区のローンテニスクラブでテニスを楽しまれるご結婚前の上皇さまと美智子さま(宮内庁提供)。

当時の皇太子さま(現在の上皇さま)とテニスを楽しまれる折、白の開襟シャツにカーディガンを羽織り、ひざ上のテニススカートを合わせたスタイルを披露されました。それまで重厚で遠い存在であった皇室において、健康的かつ気品を失わないスポーティーな装いは、国民に大きなインパクトを与えたのです。

時代を彩る洗練と、皇室ファッションの確立

昭和35(1960)年には、待望のお世継ぎとなる浩宮徳仁親王(現在の天皇陛下)がご誕生。皇太子妃としてご公務をこなしながら、皇室で初めて親子同居が実現し、自ら子育てもされました。この頃の美智子さまは、まるでスタイル画から抜け出したかのような洗練された装いで、多くの国民の目を奪いました。

その背景には、皇室が「神聖不可侵な存在」から「親しみやすく国民の生活に寄り添う存在」へと変化を求められていた時代も関係しています。

初の民間出身の皇太子妃となった美智子さまのファッションは、戦後の復興期から高度経済成長期へと向かう日本において、明るい希望と洗練された現代性を示していました。

そして、高い感性と自由な発想を示すことで、当時の女性たちに憧れと社会へ羽ばたく勇気を与えてくれたのです。

1970年、大阪万博の開会式に出席された皇太子時代の上皇さまと美智子さま。©時事通信社

美しいシルエットの洋服に、よく身に着けていらっしゃったのはターバン風の帽子。洋服に合わせてさまざまな色のものをご使用。手袋やバッグ、靴まで美しく調和された装いは、美智子さまならではの洗練された美を生み出していました。世界基準のロイヤルファッションを体現し、日本の洋装文化の質の高さを国内外に強くアピールした時期でもあります。

1960年(昭和35年)、皇太子ご夫妻としてアメリカへご訪問。マミー・アイゼンハワー大統領夫人と談笑する美智子さま。

外国を訪れた際の晩さん会では、デコルテラインを美しく見せるドレス(ローブ・デコルテ)の姿も大変お見事でした。クラシカルな王道ロイヤルスタイルでありながら、美智子さまの持つ気品と立ち居振る舞いの美しさが引き立ち、皇室の気高さと国際舞台での存在感を決定づけたと言っても過言ではありません。

外国訪問の場で見せた、現代的なエレガンスと細やかな配慮

1970年代の訪欧でお召しになった、シャープなベルトとスタイリッシュな帽子を利かせたキャメル色のセットアップは、活動的でありながらエレガントさを損なわないアクティブな装いでした。現代的で自立した女性像を提示し、海外メディアからも絶賛を集めます。

1973年(昭和48年)10月、皇太子ご夫妻としてスペインを公式訪問。©AFLO

中でも印象的なのが、1987年(昭和62年)のアメリカ訪問時、レーガン大統領主催のパーティで美智子さまがお召しになった、白とネイビーのバイカラーのドレスです。胸元には、日米友好にゆかりのあるハナミズキの花飾りがあしらわれていました。相手国のファーストレディが纏う鮮やかな赤のドレスと美しく調和しつつ、東洋的な奥ゆかしさと西洋的なモード感を絶妙に融合させたデザインは、国際親善の場における巧みな「装いのメッセージ」として今も語り継がれています。

1987年(昭和62年)、皇太子ご夫妻としてアメリカにご訪問された時の上皇さまと美智子さま。©時事通信社

皇后時代の「寄り添う」装いと一貫した美学

1990年(平成2年)、即位を祝うパレード「祝賀御列の儀」でお召しになった、ケープスタイルのドレスも印象的です。肩から優美に流れるケープが、肌の露出を抑えながら、白いドレスに荘厳な美しさを添えていました。

こうしたケープスタイルは、皇后となられてからの美智子さまの定番となりました。威厳と優しさを兼ね備えた、独自のファッションを築かれたのです。

1990年(平成2年)、即位の祝賀パレード。©時事通信社

また、頭部にちょこんと乗せるような小ぶりな帽子も、皇后時代を象徴するスタイルのひとつです。この小さな帽子は、訪問先でお会いする人との間に距離をつくらないようにという、相手への深い配慮から生まれたデザインと言われています。

装いの美しさと、人に寄り添うための心配り。その両方を大切にされる美智子さまの美学が、細部にまで息づいています。

皇后時代の美智子さまを象徴する小ぶりな帽子。©JMPA

国際舞台における美智子さまの細やかな心配りも、ファッションの随所に生かされています。

2007年(平成19年)のバルト三国ご訪問では、それぞれの国の国旗の色を取り入れた装いをお召しになりました。外国を訪問される際には、国旗の色やその国を象徴する花にちなんだモチーフなどを、装いのどこかにさりげなく取り入れておられました。エストニアを訪問された時には、国旗の色である、青・黒・白のセットアップを身にまとい、またリトアニアでは、胸元に国旗の黄・緑・赤のコサージュをあしらわれていました。言葉以上の親愛と敬意を表現され、友好関係を深めていかれたのです。

2007年、エストニアを訪問された際にお召しになられた、国旗の色を使ったセットアップ。©時事通信社

上皇后時代――控えめな装いに宿る、変わらぬ気品

上皇后となられてからの美智子さまは、表舞台にお立ちになる機会こそ控えめになられましたが、新年の一般参賀やご静養などお出ましの際に垣間見るお姿は、今も変わらず気品に溢れています。華美に飾るのではなく、シルエットの美しさ、上質な素材といった小物使いで「控えめでありながら存在感のある上品さ」を漂わせています。

2023年、奈良県のなら歴史芸術文化村をご訪問。©JMPA

美智子さまの装いが時代を超えて私たちの心を打ち、大きなインパクトを与え続けてきた理由——それは、「装いは相手への敬意である」という一貫した美学があるからにほかなりません。時代やお立場に応じてその姿を変えながらも、根底にある「敬意と誇り」は今も変わらず、私たちに装うことの本当の意味と魅力を教え続けてくれています。

文=つげのり子

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