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“退職金2,200万”を受け取った60代男性→「預金はもったいない」1,000万をNISAに回すが…3年後、通帳を見て“青ざめたワケ”

  • 2026.10.6
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、家計・資産形成・相続など、お金に関するご相談をお受けしている、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

「退職金をそのまま預金に置くのはもったいない。新NISAを活用して老後資金を増やそう」

物価上昇や老後の長期化を背景に、そう考える方は増えています。しかし、退職直後は資金に余裕があるように見えても、毎月の生活費不足に加え、車の買い替えや住宅修繕、医療・介護などの大きな出費が重なると、数年で手元の預金が大幅に減る恐れがあります。

今回は、退職金運用の正しい手順をお伝えします。

「預金はもったいない」と退職金1,000万円を数年かけてNISAへ

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

65歳で会社を退職したAさん(仮名)は、退職金として2,200万円を受け取りました。住宅ローンは完済済みで、妻と2人暮らし。子どもも独立しており、「これで老後は安心できる」と考えていました。

夫婦の公的年金は月約22万円。一方、食費、光熱費、通信費、保険料、車の維持費などを合わせると、生活費は月約28万円でした。毎月6万円、年間72万円ほど不足する計算です。

それでもAさんは、「退職金があるから、少しずつ取り崩せば大丈夫」と考えていました。さらに、銀行に預けても大きく増えないことや、物価上昇で生活費が上がっていることも気になっていました。

そこで、2024年以降の新NISAの年間投資枠を使いながら、退職金のうち1,000万円を数年かけて運用する計画を立てました。投資信託を中心に700万円、高配当株に300万円を振り分ける計画です。残りの資金は預金に置いていたため、当初は大きな不安はありませんでした。

ところが、退職後の支出は想定より早く増えていきます。車の買い替えで180万円、浴室と給湯器の修繕で120万円、子どもへの住宅購入援助で100万円。さらに固定資産税、火災保険料、車検代、家電の買い替えも続きました。

現役時代ならボーナスで補えた支出も、退職後は預金から出すしかありません。毎月の生活費不足も重なり、3年後には預金残高が約520万円まで減っていたそうです。通帳を見たAさんは、減っていくお金に青ざめました。

非課税で増やすはずが…生活費に使うときに悩んだ“売り時”

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

Aさんは、NISA口座の資産を一部売却して生活費に回そうと考えます。しかし、その時期は相場が下落しており、投資信託の一部は購入時より評価額が下がっていました。高配当株も一定の配当はあったものの、株価は大きく上がっていません。

Aさんは、「損が出ている投資信託を売るべきか」「配当が出ている株を売るのはもったいないのではないか」「相場が戻るまで待つべきか」と迷うようになりました。

NISAでは、投資で得た利益が非課税になるメリットがあります。一方で、売却損が出ても、他の口座の利益と相殺できるわけではありません。非課税で増やすつもりだったNISA資産が、いざ生活費に使おうとすると、簡単には売りづらいお金になっていたのです。

Aさんの問題は、NISAを使ったこと自体ではありません。退職金を「使うお金」と「増やすお金」に分ける前に、大きな金額を投資へ回す計画を立てたことです。

退職後は年金中心の生活になります。毎月の生活費不足だけでなく、医療費、住宅修繕費、介護費、家電の買い替えなど、現金で対応したい支出も増えます。

特に注意したいのは次の3点です。

  • 数年以内に使う予定のお金まで投資に回さない
  • 生活費の不足分を何年分、現金で持つか決めておく
  • 相場が悪い時期に売らずに済む余裕を残す

必要な時期が近いお金まで投資に回すと、売りたくない時期に売らざるを得ないことがあります。

退職金は「増やすお金」と「使うお金」を分ける

退職金を運用する際は、「いくら投資するか」ではなく、生活費不足分や予備費などの「使うお金」と、長期で運用できる「増やすお金」を正しく分離することが最優先です。

毎月の年金不足分(例えば5〜10年分)や近いうちに発生する大型支出をあらかじめ現金で確保しておかないと、相場が下落したタイミングでNISA口座の資産を不本意に売却せざるを得なくなります。NISAの非課税メリットを活かすためにも、売りたくない時期に取り崩さずに済む現金余力を残すことが不可欠です。

資産の役割分担を明確にし、必要な時に無理なく使える状態を整えて老後生活を守りましょう。


執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、マネーシップス代表。累計1,200件以上の相談対応に加え、金融記事の制作・校正・監修の対応を行っています。専門は「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」。資産運用やライフプラン設計では、分散投資の考え方と人の心理を踏まえた行動設計をもとにサポートしています。
保有資格:証券外務員一種、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、金融リテラシー検定

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