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「将来の相続税対策として」父から“毎年110万円”を振り込まれ続け…→10年後、税務調査の結果に30代息子が“青ざめたワケ”

  • 2026.10.6
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。銀行員ライターの加藤隆二です。

「将来の相続税対策として、年間110万円までなら税金がかからずに譲れるはずだ」

そう考えて子や孫の口座へ毎年振込を行っていませんか?非課税枠を活用した暦年贈与は一般的な節税手段ですが、正しい知識と手続きを踏まなければ、税務調査で多額の贈与税や相続税が課される危険があります。

今回は現役銀行員であるわたしが、暦年贈与の罠と正しい対策をお伝えします。

父からの無言の愛情、毎年届く「110万円」

「将来の相続税対策として、お前の口座に毎年110万円ずつ振り込んでおくからな」

当時25歳だったB男さんは、父親からそう告げられました。暦年贈与の基礎控除額である「年間110万円」以下であれば、贈与税はかからない。父親は自分で調べ、きっちり毎年同じ時期に110万円をB男さんの口座へ振り込み続けました。

それから10年後。父親が急逝し、悲しみに暮れる間もなく相続の手続きが始まりました。B男さんの口座には、10年間で合計1,100万円が貯まっており、B男さんは「親父がコツコツ残してくれたおかげだ」と感謝していました。

しかし、そこに税務調査が入ります。調査官が下した結論に、35歳になったB男さんは一瞬にして青ざめることになりました。なんと、この1,100万円に対して多額の税金が課せられることになったのです。

なぜ「110万円の贈与」が否認されたのか?

現役の銀行員として相続の現場にも数多く立ち会ってきましたが、この「暦年贈与の落とし穴」にハマってしまうご家庭を何件も見てきました。

B男さんのケースを振り返ると、主に以下2つの「落とし穴」があったのです。

1.「定期贈与」とみなされた

毎年同じ時期に、同じ「110万円」という金額を10年間にわたって振り込み続けた事実(「暦年贈与」「毎年贈与」などと表現されます)が、税務署には「最初から1,100万円を贈与するつもりで、それを10回に分割して渡しただけ(定期贈与)」と判断されたのです。【参考1】

この場合、基礎控除を活用したとはみなされず、1,100万円全体に対して一括で贈与税が課税されてしまう可能性があります。

2.「名義預金」と疑われた

B男さんは「振り込んでおくからな」と言われただけで、その通帳と印鑑はすべて父親が管理していました。これは実質的に父親の財産である「名義預金」とみなされ、無効な贈与として相続財産に組み込まれてしまうおそれがあります。【参考2】

知っておきたい「暦年贈与」4つの落とし穴と回避策

暦年贈与を正しく成功させるためには、以下のリスクと対策を理解しておく必要があります。

1.持ち戻し期間の延長リスク

法改正により、亡くなる前(相続開始前)の贈与財産が相続財産に加算される「持ち戻し期間」が、順次3年から7年へと延長されています。駆け込みでの贈与は無効化されるため、健康なうちから早期に長期計画で始めることが重要です。【参考3】

2.定期贈与リスク

前述の通り、毎年同額・同日の贈与は疑われます。対策として、毎回「贈与契約書」を作成し、あえて年によって贈与する金額や時期を変える意識が必要です。【参考4】

3.名義預金リスク

通帳、印鑑、キャッシュカードは受贈者(もらった人)自身が管理し、いつでも自由に使える状態にしておく必要があります。【参考5】

 4.少額では意味がないリスク

そもそも遺産総額が相続税の基礎控除内であれば、無理に生前贈与をして節税する意味はありません。まずは全体の財産把握が不可欠です。 

正しい知識がなければ対策は水の泡

父親は息子を想い、10年という歳月をかけて準備をしてくれました。しかし、ここまで説明したようなルールを知り、正解となる手続きを踏まなかったのです。その結果、父の愛情は多額の税金という形で目減りしてしまいました。

「ただ振り込めばいい」というネットの表面的な情報を鵜呑みにせず、現場の専門家の意見を交えながら、確実なルールに則って対策を行うことが何よりも大切です。


※記事内の事例や人物設定は、プライバシー保護および個人特定防止のため、実際の相談事例をベースに一部内容を変更・再構成しています。

執筆:加藤隆二
現役銀行員ライター。銀行勤続30年以上の豊富な融資・預金業務の現場経験を活かし、生活に直結するお金のリアルな事情を発信し続けています。

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