1. トップ
  2. 暮らし
  3. 秋の部屋干しは除湿が先 換気頼みは東京で11月から

秋の部屋干しは除湿が先 換気頼みは東京で11月から

  • 2026.9.22

9〜10月は雨の日が多く、部屋干しが増える季節です。気象庁の月別平年値から、外の空気を室温20℃の部屋に入れたときの湿度を計算すると、東京は9月92%・10月63%・11月41%。室温20℃なら、換気だけで湿度60%以下にできるのは11月からです。10都市の早見と、6畳の空気が受け止められる水の量、ストーブや乾燥機でやりがちなNGもまとめました。

秋は、夏とは別の意味で洗濯物が乾きにくい季節です。気象庁の平年値(統計期間1991〜2020年)で東京を見ると、日降水量1.0mm以上の「雨の日」は9月が11.0日、10月が10.5日。2か月61日のうち21.5日で、ほぼ3日に1日は雨が降ります。日照時間も9月126.7時間・10月129.4時間と、1月(192.6時間)より短いのです。
外に干せない日は部屋干しになりますが、ここでよくあるのが「窓を開けて換気すれば乾くはず」という思い込みです。この記事では、気象庁のデータから次のことを計算しました。
・外の空気を室温20℃の部屋に入れたら、湿度は何%になるか(10都市・9月〜1月)
・換気だけで湿度60%以下にできる最初の月(室温20℃・月平均で計算。東京は11月)
・6畳の空気が、あとどれだけの水を受け止められるか(室温20℃・湿度60%で約161g)
・部屋干しでやりがちなNG6つと、その直し方

東京の9〜10月は 雨の日が61日で21.5日

東京の「日降水量1.0mm以上の日数」を月ごとに並べると、こうなります(平年値)。
・1月 4.5日
・2月 5.2日
・3月 9.2日
・4月 9.5日
・5月 10.1日
・6月 11.6日
・7月 10.5日
・8月 7.9日
・9月 11.0日
・10月 10.5日
・11月 7.4日
・12月 5.2日
いちばん多いのは6月の11.6日で、2番目が9月の11.0日。10月も10.5日と、7月(10.5日)と同じ日数です。梅雨どきと同じくらい、秋も部屋干しの日が増える計算になります。
しかも、この時期の外の空気は湿っています。東京の相対湿度の月平均は9月75%・10月71%。晴れた日も含めた平均でこの値です。

外の空気を20℃の部屋に入れると 9月は湿度92%

窓を開けて換気するというのは、部屋の空気を外の空気と入れ替えることです。では、入ってくる外の空気は、部屋の中で湿度何%になるのでしょうか。
ここで大事なのが、湿度(相対湿度)は温度で変わるという点です。東京都保健医療局の「健康・快適居住環境の指針」にも、「絶対湿度が同じならば、温度が下がると相対湿度は上がります」と書かれています。逆に、空気が温まれば相対湿度は下がります。
そこで、気象庁の平年値にある月平均の蒸気圧(空気中の水蒸気の量)を使い、外の空気をそのまま室温20℃にしたときの湿度を計算しました。東京はこうなります。
・9月 → 湿度92%
・10月 → 湿度63%
・11月 → 湿度41%
・12月 → 湿度25%
9月の外の空気は、20℃の部屋に入れると湿度92%。9月の東京は外の平均気温が23.3℃なので、部屋が20℃になるのは冷房を使うときです。冷房なしで部屋が25℃ある日でも、湿度は68%になります。10月でも63%で、東京都の指針がカビやダニが発生しやすくなるとしている「湿度60%」を上回ります。ただし10月は境目です。同じ計算で、室温21℃なら59%、22℃なら56%と、部屋が1〜2℃暖かいだけで60%を下回ります。月平均の値なので、雨の日はこれより湿った空気が入ってくると考えたほうが安全です。
つまり東京の9月は、換気だけで部屋を湿度60%以下まで下げることはできない計算です。10月も室温20℃では60%を上回り、雨の日はさらに湿った空気が入ります。外の空気が20℃で湿度41%になる11月になって、ようやく換気が「乾かす力」になります。

同じ計算を10都市で行い、換気だけで湿度60%以下にできる最初の月をまとめました。
・札幌:10月(9月65%・10月41%・11月27%)
・仙台:10月(9月85%・10月56%・11月36%)
・新潟:10月(9月86%・10月59%・11月41%)
・東京:11月(9月92%・10月63%・11月41%)
・名古屋:11月(9月92%・10月62%・11月42%)
・大阪:11月(9月91%・10月63%・11月44%)
・広島:11月(9月90%・10月62%・11月43%)
・福岡:11月(9月97%・10月67%・11月47%)
・鹿児島:11月(9月100%超・10月75%・11月55%)
・那覇:1月(9月100%超・10月100%超・11月82%・12月64%・1月57%)
「100%超」は、外の空気をそのまま20℃まで冷やすと、含みきれない水蒸気が水滴になる(結露する)という意味です。
札幌・仙台・新潟は10月、東京から鹿児島までは11月、那覇は年が明けた1月です。同じ「秋の部屋干し」でも、北と南でひと月以上ずれます。
この数字は、室温20℃と、晴れの日も雨の日も含めた30年間の月平均を前提にした目安です。暖房で部屋の温度が上がれば湿度は下がり、部屋が20℃より冷えていれば湿度は上がります。雨の日は平均より湿った空気が入ります。湿度計で実際の値を見るのがいちばん確かです。

9〜10月は除湿機とエアコンの除湿が先

外の空気で乾かせない季節は、部屋の中で水蒸気を取り除くしかありません。東京都保健医療局の指針では、除湿の道具の使い分けが次のように書かれています。
「梅雨どきなどで、気温があまり高くなく相対湿度が高いときは除湿機を、夏場など気温も相対湿度も高いときはエアコンを使うと効果的に除湿できます。」
これを秋に当てはめると、残暑のある日はエアコンの除湿、気温が下がってきた日は除湿機、という使い分けになります。
除湿しているときに窓を開けたままだと、外から湿った空気が入り続けます。除湿機を使うなら、干す部屋のドアと窓を閉めて、洗濯物の近くに置くのが基本です。そのうえで扇風機やサーキュレーターの風を洗濯物に当て、1枚ずつ間隔をあけて干すと、洗濯物のまわりにたまった湿った空気が入れ替わります。
なお、同じ指針の「結露の防止」では、「洗濯物はなるべく室内に干さないようにしましょう」「必要に応じて除湿器を使用しましょう」とされています。部屋干しは、雨で外に干せない日の手段と考え、干すなら除湿とセットにする、というのが公的な考え方に沿った使い方です。
同じ指針には「就寝前に5分程度の窓開け換気をすると、室内の湿気が逃げ、結露が軽減されます」ともあります。換気そのものが無駄なのではなく、9〜10月は換気だけでは足りない、ということです。

6畳の空気が受け止められる水は 約161g

なぜ除湿がそこまで必要なのか。部屋の空気がどれだけ水を受け止められるかを計算すると、よくわかります。
前提は次のとおりです。
・6畳=1畳1.62m²×6=9.7m²、天井の高さ2.4mとして、空気は約23.3m³
・室温20℃の空気が含める水蒸気の上限(飽和水蒸気量)は、1m³あたり約17.3g(気象庁「気象観測の手引き」の飽和水蒸気圧とほぼ一致する計算式で算出)
この部屋が湿度60%のとき、空気が湿度100%になるまでにあと受け止められる水は約161g。コップ1杯(200mL)にも届きません。
温度と湿度を変えると、こう変わります。
・室温15℃:湿度50%なら約150g・湿度60%なら約120g・湿度70%なら約90g
・室温20℃:湿度50%なら約202g・湿度60%なら約161g・湿度70%なら約121g
・室温25℃:湿度50%なら約269g・湿度60%なら約215g・湿度70%なら約161g
室温が下がるほど、同じ湿度でも受け止められる水は減ります。室温15℃・湿度70%では約90gしかありません。10月、11月と部屋が冷えてくるほど、閉め切った部屋での部屋干しは乾きにくくなるということです。
しかも実際には、湿度100%になる前に、冷えた窓ガラスで結露が始まります。脱水が終わった洗濯物は乾いたときより重く、その重さの差がすべて、部屋の空気に出ていく水です。一度、干す前と乾いた後に、洗濯かごごと体重計で量ってみると、自分の家の1回分が約161gと比べてどのくらいかがわかります。

出典 weboo.link

部屋干しでやりがちなNG6つ

ここまでの計算と、公的機関の注意喚起をもとに、やりがちなことと直し方を並べました。
・1. 雨の日に窓を開けて、換気だけで乾かそうとする
→ 9〜10月は除湿機やエアコンの除湿を先に使う
・2. 除湿機を部屋のすみに置き、窓もドアも開けたまま
→ 干す部屋のドアと窓を閉め、除湿機は洗濯物の近くに
・3. 洗濯物をすき間なく詰めて干す
→ 間隔をあけ、扇風機やサーキュレーターの風を洗濯物に当てる。長い物を外側・短い物を内側に干し、1回に洗う量を減らす
・4. 湿度を確かめずに寝室で干しっぱなしにする
→ 湿度計で60%以下かを見る。窓の水滴はふき取る
・5. ストーブの上や近くに洗濯物を干す
→ 暖房器具の上・近くには干さない(落ちて出火した事例あり)
・6. オイルがついたタオルを洗って乾燥機へ
→ 美容オイル・食用油のついた布は、洗濯後も乾燥機にかけない

出典 www.nite.go.jp

ストーブの上や近くに干さない

10月の終わりごろから気をつけたいのが、暖房器具のそばでの部屋干しです。NITE(製品評価技術基盤機構)は、「電気ストーブの上に洗濯物が落下して、火事になった事例が報告されています」として、「電気ストーブで洗濯物を乾かすことは絶対にやめてください」と呼びかけています。
東京消防庁の火災事例にも、「石油ストーブを使用して洗濯物を乾燥していたところ、洗濯物が何らかの要因で石油ストーブ上に落下したため、出火したもの」が、令和4年版・令和5年版の「火災の実態」に続けて載っています。電気でも石油でも、上や近くに干した洗濯物が落ちれば同じことが起こります。

オイルがついたタオルは 洗っても乾燥機にかけない

乾燥機を使う家で知っておきたいのが、油による自然発火です。NITEは「美容オイル(アロマオイル等)、食用油等が付着したタオルや衣類は洗濯した後でも乾燥機で乾燥させないでください。または、乾燥機にかける場合はオイルを完全に除去してください。酸化熱で自然発火するおそれがあります。」としています。洗濯したから大丈夫、ではないところがポイントです。
マッサージや料理で使ったタオルは、乾燥機ではなく干して乾かす。雨が続いてまとめて乾燥機にかけたくなる季節だからこそ、先に分けておきます。

よくある質問

雨の日に窓を開けるのは意味がないのですか

意味がないわけではありません。洗濯物から出た水蒸気で湿った部屋の空気を外に出すことはできます。ただ、東京の9月の外気は室温20℃の部屋に入れると湿度92%、10月でも63%(いずれも月平均から計算)なので、換気だけでは湿度60%以下まで下がらない計算です。この時期は除湿機やエアコンの除湿を先に使い、除湿中は窓とドアを閉めておくほうが、除湿の効果が逃げません。

換気で乾かせるようになるのはいつからですか

外の空気を室温20℃にしたときの湿度が60%以下になる最初の月は、札幌10月、仙台10月、東京11月、大阪11月、福岡11月、那覇1月です(気象庁の月別平年値・統計期間1991〜2020年から計算)。平年値は30年間の平均で、年や日によって前後します。

部屋干しは寝室でしても大丈夫ですか

東京都保健医療局の指針では、湿度は40〜60%が目安で、60%を超えるとカビやダニが発生しやすくなるとされています。6畳の空気が受け止められる水は、室温20℃・湿度60%から湿度100%までで約161gしかありません。閉め切った寝室で除湿せずに干すと、湿度が上がりやすく、窓の結露にもつながります。干すなら除湿しながら、湿度計で60%以下になっているかを確かめてください。

まとめ 9〜10月は除湿、換気は外が乾いてから

秋の部屋干しを、数字でおさらいします。
・東京の9〜10月は61日のうち21.5日が雨の日(日降水量1.0mm以上・平年値)
・外の空気を室温20℃の部屋に入れたときの湿度は、東京で9月92%・10月63%・11月41%
・室温20℃・月平均で計算すると、換気だけで湿度60%以下にできる最初の月は、札幌・仙台・新潟が10月、東京〜鹿児島が11月、那覇が1月
・除湿機は気温があまり高くないとき、エアコンは気温も湿度も高いときに効果的(東京都の指針)
・6畳の空気が受け止められる水は、室温20℃・湿度60%で約161g。部屋が冷えるほど減る
・ストーブの上や近くには干さない。オイルのついたタオルは洗っても乾燥機にかけない
雨の季節は、窓を開ける前に、まず除湿。湿度計を1つ置いておくと、換気で乾く季節に切り替わったことも数字でわかります。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ