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ハロウィンのお菓子NG5つ ナッツは5歳以下に渡さない

  • 2026.9.21

ハロウィンはお菓子を配る側になる行事。受け取る子の年齢は選べません。消費者庁は硬い豆やナッツ類を5歳以下に食べさせないよう呼びかけています。東京都の実験では小粒ラムネが0.110秒で気道の奥まで移動しました。渡す前にできるNG5つと一手を、国と自治体の資料で整理します。

ハロウィンは、子どもにお菓子を「配る側」になる行事です。ご近所の集まり、園や学校の行事、友達の家。どの場面でも共通しているのは、受け取る子の年齢をこちらで選べないということ。お兄ちゃんお姉ちゃんについてきた下の子が、同じ袋に手を伸ばすこともあります。
だから、渡す前に決めておくことがあります。消費者庁は「豆やナッツ類は、5歳以下の子どもには食べさせないでください」とはっきり書いています。よく見かける「3歳まで」は古い目安で、2021年に5歳以下へ引き上げられています。この記事でわかることは次のとおりです。
・食品による窒息死の91%が5歳以下に集中していること(消費者庁・平成26年〜令和元年の6年間)
・東京都の実験で、小粒ラムネが0.110秒で気道の奥まで移動したこと
・ハロウィンでやりがちなNG5つと、代わりにできる「渡す前の一手」
・大袋から小分けにすると、アレルギーの原材料表示が付いてこなくなること
・のどに詰まらせたときに、公的機関が示している手当と年齢による違い
根拠にしたのは、消費者庁、東京都、東京消防庁、こども家庭庁、消防庁、政府広報オンラインの公表資料です。10月に事故が増えるという公的なデータは確認できていませんので、「ハロウィンだから危ない」ではなく「配る側になる日だから、渡す前に決めておく」という話をします。

出典 www.caa.go.jp

食品でのどを詰まらせる事故は、5歳以下に集中している

まず、どの年齢に何が起きているかを公的なデータで見ます。
消費者庁が厚生労働省「人口動態調査」の調査票情報を分析した結果では、平成26年〜令和元年の6年間で、食品による窒息で亡くなった14歳以下の子どもは80名。このうち5歳以下が73名で、全体の約91%を占めます。年齢別の内訳は次のとおりです。
・0歳 26名
・1歳 18名
・2歳 15名
・3歳 5名
・4歳 5名
・5歳 4名
この6年分を足すと73名で、資料が示す「5歳以下73名」と一致します。残りの7名は7歳1名・8歳2名・10歳1名・11歳1名・12歳2名で、7歳から12歳までに収まっています。
0歳がいちばん多く、年齢が上がるにつれて減っていく。これが公的データの形です。

出典 www.caa.go.jp

亡くならずに済んだ事故まで含めると、年齢の山はもう少し後ろにずれます。消費者庁の医療機関ネットワーク事業には、平成22年12月〜令和2年12月末に14歳以下の窒息・誤嚥事故が164件寄せられていて、そのうち5歳以下が141件(86%)。要入院が37件、死亡が1件でした。年齢別では次のようになっています。
・0歳 20件
・1歳 56件
・2歳 33件
・3歳 18件
・4歳 12件
・5歳 2件
・6歳 4件
・7歳以上 19件
最も多いのは1歳。死亡では0歳が最多でしたが、病院に運ばれた事故まで見ると1歳から2歳が山になります。
そして原因食品の内訳が、ハロウィンの話に直結します(164件・複数カテゴリの合計)。
・菓子 61件
・豆・ナッツ類 31件
・果物 22件
・肉・魚 18件
・ごはん・パン 14件
・野菜 9件
・その他 6件
・海苔 2件
・乳 1件
菓子が61件で最多、豆・ナッツ類が31件。この2つで164件の約56%を占めます。資料の脚注には「菓子類には、あめ、ラムネ、グミ、せんべい、あられ等が含まれる」と書かれています。ハロウィンで配るものと、ほぼ同じ顔ぶれです。

もう少し新しい集計もあります。消費者庁は「平成30年から令和4年までの5年間で5歳未満の子どもが43人亡くなっています」と伝えていて、この数字の定義は厚生労働省「人口動態統計」の「W79 気道閉塞を生じた食物の誤えん」による死亡者数と明示されています。
救急搬送の側から見ると、東京消防庁は令和3年から令和7年までの5年間で、5歳以下のこども5,153人が窒息や誤飲等により医療機関に救急搬送されたとしています(東京消防庁管内=稲城市と島しょ地区を除く地域。令和7年中は速報値で、耳や鼻等に入ったものも含みます)。毎年約1,000人という規模です。年齢別では0歳児が最も多く、0歳児の月齢別では9か月が最多。時間帯は17時台から21時台に多く、発生場所は住宅等の居住場所が9割以上。関連器物は「食品・菓子」と「玩具」が多いとされています。
ハロウィンの夕方から夜、家のなかで、お菓子とおもちゃを手にしている。公的データが示す条件と、この行事の光景はよく重なります。

NG1|硬い豆やナッツ入りのお菓子を、年齢を確かめずに渡す

消費者庁の注意喚起は、年齢の線をはっきり引いています。「豆やナッツ類は、5歳以下の子どもには食べさせないでください」。
気をつけたいのは、この線が2021年1月に引き上げられたものだということです。同じ消費者庁は2018年には「豆やナッツ類は、3歳頃までは食べさせないようにしましょう」と呼びかけていました。今も「3歳まで」という言い方を見かけますが、公的な目安はすでに5歳以下に変わっています。古いほうの数字で判断すると、線が2年分ゆるくなります。
なぜ5歳以下なのか。消費者庁は発達の段階でこう説明しています。「大人に近い咀嚼ができるようになり、飲み込んだり吐き出したりする力が十分に発達するのは3歳頃ですが、その2つを協調させることができるようになるのは6歳頃と言われています」。かめるようになる時期と、かむことと飲み込むことを同時にこなせる時期には、ずれがあるということです。

ハロウィンで見落としやすいのが、きょうだいです。消費者庁は「特に、兄姉がいる家庭では、兄姉が豆やナッツ類を食べていて欲しがっても、食べさせないようにしましょう」と書いています。上の子がもらってきた袋を、下の子が同じようにのぞき込む。行事の日はこれが起きやすい場面です。
対象になるのは、豆やナッツそのものだけではありません。ナッツ入りのチョコレート、ナッツをまぶしたクッキー、炒り豆も同じ扱いで考えます。見た目がお菓子でも、中に硬い粒が入っていれば同じことです。
代わりに:豆・ナッツ類は5歳以下には渡さない。きょうだいが食べていて欲しがっても渡さない。配る側としては、小さい子がいる場では豆・ナッツ入りを袋から外しておくのがいちばん確実です。年齢を聞いてから渡す、年齢別に袋を分けておく、という手もあります。

NG2|歩きながら、はしゃぎながら食べさせる

消費者庁がハロウィンに向けて出した注意喚起には、こんな事故事例が載っています。「飴をなめながら、保護者と動き回って遊んでいたところ、のどに詰まった。」(4歳)。そして「ハロウィンでにぎやかな環境でも、落ち着いて食べるようにしてください」と呼びかけています。
「はしゃぎながら食べるとよくない」というのは感覚としてわかる話ですが、どれくらいの速さで起きるのかを実験で測った資料が2026年3月に公表されました。東京都の「令和7年度セーフティ・レビュー事業 報告書」です。

実験の中身はこうです。まず2026年2〜3月に、3歳から6歳の子ども30名程度の最大吸気流量(いちばん強く息を吸ったときの流量)を実測しました。平均は毎分10.9L(標準偏差3.5)。
次に、管の根本から15cm(未就学児の口のなかから気管までの長さにあたる)の人工気道モデルを作り、そこに吸引圧をかけて、食品が15cm移動するのにかかる時間を計測しています。下の数値は毎分15Lの条件での、各食品5回の平均です。
・小粒ラムネ 0.110秒
・小粒グミ 0.122秒
・ピーナッツ 0.136秒
・節分の豆 0.152秒
・ボーロ 0.158秒
・小さい飴 0.234秒
・ポップコーンの種 0.558秒
小粒ラムネが0.110秒、小粒グミが0.122秒。5種類が0.2秒を切っています。いちばん遅いポップコーンの種の0.558秒と比べると、小粒ラムネは約5倍の速さで奥まで届いたことになります。

報告書はこの結果について、「泣く・笑う等によって瞬間的に吸い込む力が高まると食品が一瞬で気管に入り込むため、誤えんする前に気づくことは困難である」と述べています。測った平均が毎分10.9Lだったのに対して、上の数値は毎分15Lというより強く吸い込んだ状態を想定した条件です。吸い込む力が毎分10Lから15Lに上がったとき、到達する速さの増え方が最も大きかったのはボーロで約2.9倍、次いで小さい飴で約1.8倍でした。
これは人工の気道モデルで測った実験値であって、人のからだで測ったものではありません。「0.1秒でのどに詰まる」という話ではなく、「吸い込む力が上がると、気づいて止める間がないほど速く奥へ進みうる」ことを示した数字として読むのが正確です。
そして、ここに並んでいるのは小粒ラムネ・小粒グミ・ボーロ・小さい飴。ハロウィンで配る定番のお菓子そのものです。

同じ報告書は、対策として次のように提言しています。
・落ち着いてゆっくり噛みながら食事をさせる
・立ち歩かず、よく噛んで、落ち着いて食事をし、状況に応じて中断することも必要
・食事やおやつは座って食べるようにし、泣き出した場合などは食事を中断する
代わりに:座って落ち着いた場で。泣き出したり笑い転げたりしたら、いったん中断する。
ハロウィンの場面に置き換えると、「もらったその場で立ったまま開けない」のがいちばん効きます。袋は家に持ち帰ってから、座って開ける。仮装のまま走り回る時間と、食べる時間を分ける。泣いたり大笑いしたりしているときは、口のなかに何も入っていない状態にしておく。配る側なら、その場で食べさせず「おうちで座って食べてね」と一言添えるだけでも変わります。

NG3|丸くてつるっとしたものを、そのままの大きさで渡す

丸くて、つるっとしていて、口のなかで滑るもの。これが公的資料でくり返し名指しされている形です。
消費者庁は「ミニトマトやブドウ等の球状の食品を丸ごと食べさせると、窒息するリスクがあります」としたうえで、「乳幼児には4等分する、調理して軟らかくするなどして食べさせましょう」と具体的なやり方まで書いています。リンゴなどは、更に小さくしてあげましょうとも続きます。
「小さく切る」ではなく「4等分する」という数字まで示されているのが、この資料の特徴です。半分に切っただけでは、断面が丸いままで滑りやすさが残ります。
実際の事例も公表されています。「約1cmの球形の飴を歩きながら食べていたところ、喉をかきむしり苦しがった」という5歳の事故では、窒息にともなって心停止に近い状態であったと推測され、小児集中治療室に3日間入院しています。5歳を過ぎれば安全、ということではありません。

大きさの目安も、公的な表現があります。
・東京消防庁:目安としてトイレットペーパーの芯を通る物は危険です
・政府広報オンライン:3歳のこどもの口の直径はおよそ4cmで、ほぼトイレットペーパーの芯ぐらいの大きさ
・消費者庁:おもちゃについて直径や対角線長が6〜20mmの大きさは、口に入れると窒息のおそれ
トイレットペーパーの芯が、家にある判定道具になるということです。ハロウィンのお菓子には、小さなグミ、ミニチョコ、カプセル入りの景品などが混ざりがちです。芯にすとんと落ちるサイズのものは、小さい子の袋には入れない。この一本の基準で仕分けできます。
代わりに:球状のものは4等分にする、小さく切る、軟らかく調理してから出す。フルーツ飴やチョコでコーティングした丸いお菓子も、球状のものとして同じ扱いにしておくと迷いません。

NG4|大袋から小分けにして、原材料の表示を落とす

ここが、ハロウィンならではの落とし穴です。
大袋のお菓子を買ってきて、かわいいラッピング袋に何個かずつ移して配る。善意でやっているこの作業が、アレルギーの原材料表示という情報を落としてしまうことがあります。
加工食品の表示義務は、容器包装に入れられた加工食品にかかるものです。消費者庁のハンドブックは、表示の対象としていないものとして「容器包装に入れずに販売する食品(ばら売りや量り売りなど)」を挙げています。大袋から出して別の袋に移した時点で、一括表示はもう付いてきません。受け取った側は、何が入っているのか確かめるすべがない状態になります。

出典 www.caa.go.jp

表示義務のある特定原材料は9品目です。カシューナッツが2026年4月1日施行で加わり、9品目になりました。
・えび
・カシューナッツ
・かに
・くるみ
・小麦
・そば
・卵
・乳
・落花生(ピーナッツ)
※カシューナッツの追加には2年間の経過措置期間が設けられているため、2026年秋の時点では表示に出ていない商品もあります。消費者庁は施行にあたって「2年間の経過措置期間を設けています」と示しており、この秋の店頭には、カシューナッツが一括表示に出ていない在庫品もまだ並んでいます。大袋の表示を見て確かめるときは、カシューナッツだけは表示が追いついていないことがある、と頭に置いておいてください。
これに対して、表示が推奨されている「特定原材料に準ずるもの」は20品目。こちらは義務ではありません(ピスタチオが同じタイミングで追加されました)。
・アーモンド
・あわび
・いか
・いくら
・オレンジ
・キウイフルーツ
・牛肉
・ごま
・さけ
・さば
・大豆
・鶏肉
・バナナ
・ピスタチオ
・豚肉
・マカダミアナッツ
・もも
・やまいも
・りんご
・ゼラチン
つまりアーモンド・マカダミアナッツ・ごま・大豆などは、表示されていないことがあり得るということです。

消費者庁がハロウィンに向けて紹介している事故事例にも、まさにこれがあります。「チョコレートにマカダミアナッツが入っていることを確認せず食べてしまい、アレルギー症状が出た。」(12歳)。マカダミアナッツは20品目のほう、つまり表示が義務ではない側です。手作りのクッキーでナッツ類のアレルギー症状が出て救急要請に至った例(11歳)も同じ資料に載っています。
だから消費者庁は、受け取る側に向けてこう書いています。「小分けにされたお菓子や、手作りのお菓子等、はっきりとアレルギーがわからないものがある場合は、原材料を聞いてアレルギー物質が含まれているか否かを確認する、または食べることを控えるようにしましょう」。受け取る側は「聞くか、食べない」しかない。それなら、配る側が情報を落とさないほうが早い、という話です。
代わりに:個包装の袋ごと渡す。表示面を切り取って一緒に入れる。中身を口頭で伝える。
具体的には次の3つです。
・個包装の袋ごと渡す(一つずつ裸で入れない)
・大袋の一括表示の面を切り取って、ラッピング袋に一緒に入れる
・何を入れたかを口頭で伝える(「ナッツ入りのチョコが入っています」の一言)
個包装のまま渡すことは、窒息の面でもアレルギーの面でも同じ方向に働きます。袋を開けるという一手間が、保護者が中身を確かめる時間になるからです。

NG5|配り終えたあとの包み・袋・乾燥剤をそのままにする

配り終えたあとの床も、事故の現場になります。
消費者庁は「食品等の包装や乾燥剤を子どもが誤飲する事故も発生しているため、開封後の包装・乾燥剤の扱いにも留意が必要です」と注意しています。東京消防庁も、関連器物として0歳児では「包み・袋」「たばこ」が多いと説明しています。お菓子そのものより、お菓子を包んでいたものが危ない年齢があるということです。
似た場面への呼びかけが、節分についてすでに出ています。消費者庁は豆まきについて「個包装されたものを使用するなど工夫して行い、子どもが拾って口に入れないように、後片付けを徹底しましょう」と書いています。まく/配る → 落ちる → 拾って口に入れるという流れは、ハロウィンでも同じです。

代わりに:その場で拾って片付ける。落ちたお菓子や小さな景品も回収する。
片付けるものは、お菓子の包み紙、乾燥剤、脱酸素剤、小さなおもちゃや景品、シール、ヘアピンや仮装用の小物。消費者庁が「口に入れると窒息のおそれ」とする直径や対角線長6〜20mmのものは、ハロウィングッズにたくさんあります。
同じ資料には「兄弟がいる家庭では、年下の子どもが、年上の子どものおもちゃを使うことがあります。(略)年上の子どもが遊び終わった後は、年下の子どもの手の届かないところにおきましょう」という記述もあります。上の子の戦利品を、そのままリビングに置かない。手の届かない場所に上げるか、袋ごとしまってから寝かせる、というところまでがセットです。

配るお菓子は「危険度」ではなく「渡す前の一手」で仕分ける

ここまでのNG5つを、配る側の作業に組み替えると4つの「一手」になります。危ないものを覚えるのではなく、手元のお菓子をどの一手に振り分けるかで考えると、当日迷いません。
・年齢で分ける:硬い豆・ナッツ類、ナッツ入りチョコ、炒り豆
→ 5歳以下には渡さない(消費者庁)。医療機関ネットワークの164件でも豆・ナッツ類は31件
・切り方を変える:ブドウ、ミニトマト、うずらの卵、球形チーズ、フルーツ飴
→ 球状のものは4等分する、調理して軟らかくする(消費者庁)
・場の作り方を変える:あめ、ラムネ、グミ、ボーロ、せんべい
→ 座らせて、落ち着いた場で。泣き出したら中断する(東京都の提言・消費者庁)
・渡したあとを変える:包み、袋、乾燥剤、小さな景品やおもちゃ
→ その場で片付ける。直径や対角線長が6〜20mmのものは口に入ると危険(消費者庁)
この4つが混ざっているのがハロウィンのお菓子です。袋に入れる前に仕分けるところまでやっておけば、渡すときに考えなくて済みます。
年齢ごとに何が変わるのかも、公的な記述だけで線を引けます。
・0歳9か月:救急搬送が最も多い月齢(東京消防庁・0歳児の月齢別)
・1歳未満:腹部突き上げは行わない(消費者庁)。背部叩打法と胸部突き上げ法を5回ずつ交互に(こども家庭庁・消防庁)
・3歳ごろ:かみ砕く力・飲み込む力が十分に発達する目安(消費者庁)。口の直径はおよそ4cm(政府広報オンライン)
・5歳以下:硬い豆・ナッツ類は食べさせない(消費者庁)。食品による窒息死の約91%がこの年齢
・6歳ごろ:かむことと飲み込むことを協調させられるようになる目安(消費者庁)
「5歳を過ぎたら安全」ではありません。先に紹介したとおり、約1cmの球形の飴で心停止に近い状態になった5歳の事例が公表されています。線は、注意の中身が変わる境目であって、終わりの合図ではないということです。

もしのどに詰まらせたら 119番が先、1歳未満は腹部突き上げをしない

最後に、起きてしまったときのことです。手順は公的機関が示しているものをそのまま紹介します。
まず、気づくためのサインから。政府広報オンラインは、窒息のサインとして次を挙げています。
・のどを押さえる(親指と人差し指でのどをつかむ仕草)
・口に指を入れる
・声を出せない
・呼吸が苦しそう
・顔色が急に青白くなる
東京都の報告書が指摘していたとおり、誤嚥する前に気づくことは難しいとされています。急に静かになって苦しそうにしているときは、声が出せない状態を疑う場面です。

こども家庭庁は、対応の順番を「119番通報を誰かに頼み、直ちに以下の方法で詰まった物の除去を試みます。」と示しています。先に119番です。ひとりのときも、通報してから手当に移ります。
消費者庁の資料には「窒息後、5〜6分程度で呼吸が止まり意識を失い、心臓が止まり、大脳が障害されます」という記述があり、「成人に比べて乳幼児は酸素不足に対する耐性が低いため、低酸素症が重篤化しやすい」とも説明されています。通報を後回しにしない理由が、ここにあります。
手当の方法は、年齢で分かれます。
・1歳以上の幼児:まず背部叩打法を行い、異物が除去できなかった場合は腹部突き上げ法を行う(こども家庭庁)
・1歳未満の乳児:背部叩打法と胸部突き上げ法を5回ずつ交互に行う(こども家庭庁)。消防庁も「乳児の気道異物除去は、背部叩打法と胸部突き上げ法である」としています
・乳児では腹部突き上げは行わない(消費者庁)
1歳未満に腹部突き上げ法を行わない。ここが年齢による使い分けの核心です。腹部突き上げ法(ハイムリック法)について、政府広報オンラインも「1歳以上の場合」と年齢を添えて説明しています。

そして、取れたあとにも公的な注意があります。消費者庁の資料は「腹部突き上げを実施した場合は、腹部の内臓をいためる可能性があるため、異物除去後は、救急隊にそのことを伝えるか、すみやかに医師の診察を受けさせることを忘れてはなりません。119番通報する前に異物が取れた場合でも、医師の診察は必要です。」としています。出てきたから終わり、にしないということです。
それぞれの手技のやり方は、文章で読むより図と動画で確認したほうが確実です。こども家庭庁と消防庁のページに、方法が示されています。ハロウィンの前に一度開いておくと、いざというときの動きが変わります。応急手当の講習は、お住まいの地域の消防署でも案内されています。
判断に迷うとき、様子がいつもと違うときは、ためらわずに119番してください。夜間や休日に受診を迷うときは、子ども医療電話相談 #8000という窓口もあります。

よくある質問

あめは何歳から食べさせていいですか

あめについて「何歳から」と定めた公的な目安は、今回確認した範囲では見当たりませんでした。公的にはっきり示されているのは「豆やナッツ類は、5歳以下の子どもには食べさせないでください」(消費者庁)という線です。
一方で、あめの事故は年齢が上がっても報告されています。消費者庁が公表した事例には約1cmの球形の飴で心停止に近い状態になった5歳の例があり、ハロウィンの注意喚起にも「飴をなめながら、保護者と動き回って遊んでいたところ、のどに詰まった。」(4歳)という例が載っています。年齢で線を引くより、座って落ち着いて食べる状況をつくるほうが、あめには効きます。

個包装のお菓子なら安心ですか

アレルギー表示の面では、個包装のまま渡すほうが情報が残ります。大袋から出して別の袋に移すと、一括表示は付いてきません。
ただし窒息のリスクが消えるわけではありません。中身が硬い豆やナッツ類なら5歳以下には渡さない、丸いものは小さくする、という判断は個包装でも同じです。また、開けたあとの包み・袋・乾燥剤は小さい子が口に入れることがあるため、片付けが必要になります。

ハロウィンの時期は事故が増えるのですか

「10月に増える」と示した公的なデータは、今回確認した範囲では見つかりませんでした。東京消防庁が公表しているのは年別・年齢別・月齢別・時間帯別・場所別・器物別の傾向で、月別や季節別の集計はありません。
この記事が扱っているのは「時期」ではなく「場面」です。年齢がわからない子にお菓子を渡す、にぎやかな場で食べる、小さな景品や包みが床に落ちる。ハロウィンはこの3つが同時に起きやすい日なので、渡す前に決めておくと動きやすい、という話です。

どのくらいの大きさなら安全ですか

「これ以下なら安全」という基準は公的には示されていません。示されているのは危険側の目安です。
東京消防庁は「目安としてトイレットペーパーの芯を通る物は危険です」としています。政府広報オンラインは3歳のこどもの口の直径はおよそ4cmで、ほぼトイレットペーパーの芯ぐらいの大きさと説明しています。おもちゃについては、消費者庁が直径や対角線長が6〜20mmの大きさは口に入れると窒息のおそれとしています。芯を通るものは口にも入る、と考えるのが公的資料に沿った見方です。

きょうだいで同じ袋を持たせても大丈夫ですか

消費者庁は「特に、兄姉がいる家庭では、兄姉が豆やナッツ類を食べていて欲しがっても、食べさせないようにしましょう」と、きょうだいの場面を名指しで注意しています。おもちゃについても「年上の子どもが遊び終わった後は、年下の子どもの手の届かないところにおきましょう」という記述があります。
袋は子どもごとに分け、中身も年齢で分ける。上の子の袋は、下の子の手が届かないところに置く。行事の日はここが崩れやすいので、持ち帰ったらすぐ決めておくと安心です。

食中毒が心配なときはどうすればいいですか

この記事で扱ったのは、食べ物がのどや気道に詰まる物理的な事故だけです。細菌などによる食中毒は原因もやることも別の話になります。手作りのお菓子を持ち寄る場面や、作り置きを持ち歩く場面については、別の記事で公的資料をもとにまとめています。

では何を配ればいいのか 5歳以下がいる場でも渡しやすいもの

「渡さない」ものばかり並べてきたので、逆からも書いておきます。といっても、公的機関が「この商品なら安全」と示した目安はありません。ここに挙げるのは、これまで出てきた公的な注意喚起を裏返して言えることだけです。
・硬い豆・ナッツ類が入っていないもの(5歳以下に食べさせないよう示されているのは豆・ナッツ類。ナッツ入りチョコやナッツをまぶした焼き菓子も同じ扱い)
・丸くてつるっとした形ではないもの(球状の食品は4等分する、軟らかく調理するよう示されている形。そのまま渡せるのは、その処理が要らない形のもの)
・4cm・トイレットペーパーの芯を通らない大きさのもの(芯を通る物は危険、おもちゃは直径や対角線長6〜20mmが危険、という目安の裏返し)
・個包装のまま渡せるもの(袋に一括表示が残るので、保護者が原材料を確かめられる。開ける一手間が、その時間にもなる)
・その場で食べずに持ち帰れるもの(座って落ち着いた場で食べる、という提言に沿う形)
小さな景品やおもちゃを混ぜる場合も、大きさの目安は同じです。直径や対角線長6〜20mmのものは口に入れると窒息のおそれがあるとされているので、お菓子の代わりに入れれば安全、ということにはなりません。
どれも「これなら大丈夫」という保証ではありません。同じお菓子でも、受け取る子の年齢と、どこでどう食べるかで話が変わります。迷ったら、年齢を聞いてから渡す、その場では食べさせないの2つに戻ってください。

まとめ 渡す前に決めておけば、当日は迷わない

ハロウィンでやりがちなNGと、代わりにできることをおさらいします。
・硬い豆やナッツ入りのお菓子を、年齢を確かめずに渡す → 豆・ナッツ類は5歳以下には渡さない。きょうだいが食べていて欲しがっても渡さない
・歩きながら、はしゃぎながら食べさせる → 座って落ち着いた場で。泣き出したり笑い転げたりしたら、いったん中断する
・丸くてつるっとしたものを、そのままの大きさで渡す → 球状のものは4等分にする、小さく切る、軟らかく調理してから出す
・大袋から小分けにして、原材料の表示を落とす → 個包装の袋ごと渡す。表示面を切り取って一緒に入れる。中身を口頭で伝える
・配り終えたあとの包み・袋・乾燥剤をそのままにする → その場で拾って片付ける。落ちたお菓子や小さな景品も回収する
公的データでは、食品による窒息死の約91%が5歳以下に集中しています(消費者庁・厚生労働省「人口動態調査」の分析・平成26年〜令和元年の6年間・14歳以下80名)。病院に運ばれた事故164件の原因食品では、菓子61件・豆・ナッツ類31件が上位でした。
東京都の実験では、小粒ラムネが0.110秒、小粒グミが0.122秒で人工気道モデルの15cmを移動しています。ハロウィンで配る定番のお菓子です。
豆・ナッツは5歳以下に渡さない。丸いものは小さくする。座って食べる。袋ごと渡す。落ちたものは片付ける。
この5つを袋に入れる前に決めておけば、当日は渡すだけです。楽しい行事のまま終わらせるために、準備のうちに入れておいてください。

※この記事は、消費者庁・東京都・東京消防庁・こども家庭庁・消防庁・政府広報オンラインが公表している事故防止の情報を整理して紹介するものです。医療行為の手順を指示するものではなく、個別の状況に対する医学的な判断を代わりに行うものでもありません。応急手当の具体的な方法は、こども家庭庁・消防庁のページや、お住まいの地域の消防署の講習で確認してください。のどに詰まらせた、様子がいつもと違う、顔色が悪いといったときは、ためらわず119番通報してください。異物が取れた場合でも医師の診察が必要です。受診を迷うときは子ども医療電話相談 #8000、または、かかりつけの小児科にご相談ください。食物アレルギーの有無や対応については、主治医の指示に従ってください。
※死亡者数は厚生労働省「人口動態調査」の調査票情報を消費者庁が分析したもの(平成26年〜令和元年の6年間・14歳以下80名)、事故164件は消費者庁の医療機関ネットワーク事業に平成22年12月〜令和2年12月末に寄せられた報告です。43人は人口動態統計の「W79 気道閉塞を生じた食物の誤えん」による5歳未満の死亡者数(平成30年から令和4年までの5年間)。救急搬送5,153人は東京消防庁管内(稲城市・島しょ地区を除く)の令和3年から令和7年までの5年間の数値で、令和7年中は速報値、耳や鼻等に入ったものを含みます。到達時間は東京都の報告書に示された人工気道モデル(15cm)での実験値で、毎分15Lの条件・各食品5回の平均です(人のからだで測った値ではありません)。記事の情報は2026年9月21日時点のものです。

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