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統合失調症の発症は「ストレス」だけでは決まらない。発症に影響する「遺伝」と「環境」の関係とは【監修者インタビュー】

  • 2026.9.21

【漫画】本編を読む

愛美は夫・賢二とごく普通の夫婦として、幸せに暮らしていた。しかしある日、突然賢二の両親が事故に遭い、義父が亡くなる。悲しみに暮れる中、義父の葬儀に現れたのは怪しげな男。その男は、夫の兄・聡一だった……。聡一という兄がいること、聡一は高校生の頃から引きこもっていることを愛美は初めて知る。義家族はなぜ聡一の存在を隠していたのか?

『隠された家族』(のむ吉:著、小瀬古伸幸:監修/KADOKAWA)は統合失調症を患う兄をめぐり、家族がどう向き合っていくかを描いた物語だ。本作を監修した精神科認定看護師の小瀬古伸幸さんにインタビュー。精神疾患を抱える家族のサポートにも力を入れる小瀬古さんに、家族が抱えている問題とその解決の糸口、精神疾患に関する近年の研究成果についてまで、広くお話を伺った。

※統合失調症をはじめとした精神疾患の進行や症状は個人差がありますので、詳細は医療機関等にご確認ください

――よく、うつ病は「真面目で責任感のある人がなりやすい」と言われたりしますが、どの精神疾患もそういった傾向はあるのでしょうか?

小瀬古伸幸さん(以下、小瀬古):人にはもともと遺伝的なストレス耐性の違いがあるんですね。糖尿病になりやすい人もいれば、がんになりやすい人もいれば、精神疾患になりやすい人もいます。統合失調症は遺伝病ではありませんが、およそ50%程度の遺伝的要因があると言われています。うつ病についても遺伝的な要素はあるとされています。同じストレスがかかった場合、Aさんには問題がなくても、Bさんは精神疾患になってしまうことがあるということですね。

――なるほど。

小瀬古:それに加えて、環境も非常に重要です。統合失調症の一卵性双生児の研究があるんですが、一卵性双生児は同じ遺伝子を持っていますよね。それでも親の離婚などで違う養育環境で育った場合、発症する人としない人がいることがわかっています。ではどんな環境がいい、悪いのかについてはいろいろ研究されていますが、最近ではACE(小児期逆境体験。虐待やネグレクト、家庭内の問題といった強いストレスやトラウマとなる出来事)がその人にどれくらいあったか、社会人になってからどれだけストレスを受けたか、あるいは親の養育環境などが関係していることがわかってきています。

また「反すう思考」といって、同じことを何度もぐるぐる考えてしまう思考があるのですが、これには養育環境がかなり影響していることがわかっています。養育環境が良かった人でも反すう思考はありますが、比較的回復が早い傾向にあります。統合失調症についても、遺伝的な部分は大きい一方で、発症しやすい環境については少しずつわかってきています。複数の要因が絡み合っているわけですね。

――いろいろなことがわかってきているんですね。

小瀬古:ただ、脳の中で“なぜそうなるのか”というメカニズムについては、まだ半分も解明されていないそうです。東大の研究者によると、統合失調症は世界で最も研究され、論文数も非常に多い病気なんだそうです。それでも脳の仕組みは半分もわかっていない。だから薬が効く人もいれば、効かない人もいるんです。ただAIが発展したことで、これまでできなかった研究もできるようになってきているので、これからどんどん新しいことがわかってくるのではと思います。

取材・文=原智香

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