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満員電車で「もうやだ」と泣き出した子ども。スーツ姿の男性がカバンから出した1冊で、子どもの表情が変わった

  • 2026.9.18
満員電車で「もうやだ」と泣き出した子ども。スーツ姿の男性がカバンから出した1冊で、子どもの表情が変わった

満員の車内で、小さな泣き声が上がった

その朝の電車は、つり革に手を伸ばすのもためらうほど混んでいました。

途中の駅で、幼い子どもの手を引いた母親が乗ってきました。

人に囲まれ、子どもの姿は大人たちの間から時々見える程度でした。

しばらくすると、足元から不安そうな声が聞こえてきました。

「ママ…くるしい」

「うん、ごめんね。もう少しだからね」

母親は子どもの背中をさすっていましたが、やがて子どもは我慢できなくなったのか泣き出しました。

「やだ…もうやだ…」

「大丈夫、大丈夫。ごめんね」

母親の声にも焦りがにじんでいました。

「すみません…」

周囲にも小さく頭を下げています。

誰かが文句を言ったわけではありません。

それでも泣き声が大きくなるにつれ、スマートフォンから顔を上げる人が増え、車内の空気が少しずつ張り詰めていくように感じました。

私も何か声をかけたいと思いましたが、何と言えばいいのか分からないままでした。

そのとき、母親の斜め後ろに立っていたスーツ姿の男性が、カバンの中から小さな絵本を取り出しました。

少しかがむようにして、子どもへ声をかけます。

「これ、見てみる?」

母親が驚いたように顔を上げました。

「えっ…いいんですか?」

「はい。よかったら」

男性が子どもから見える位置で絵本を開くと、そこにはいろいろな動物が描かれていました。

子どもは泣きながら絵を見つめます。

「……ぞうさん」

「うん、ぞうさんだね」

さっきまで響いていた泣き声が、少しずつ小さくなっていきました。

絵本に目を向けるうち、泣き声が止まった

男性がゆっくりページをめくると、子どもの目もその動きを追いかけます。

「これ、なに?」

「これは、きりんかな」

「きりん?」

「そう。首が長いね」

子どもは涙を頬に残したまま、今度はじっと絵本を見つめていました。

母親もようやく少し表情を緩めます。

「本当にありがとうございます。さっきから全然落ち着かなくて…」

「いえ、大丈夫ですよ。うちの子も好きだった絵本なんです」

男性はそう言って、また子どもに絵本を見せました。

近くにいた人たちも少しずつ体の向きを変え、さっきより子どもの周りに余裕ができたように見えました。

誰かが大げさなことをしたわけではありません。それでも、さっきまで張り詰めていた車内の空気が、少しだけやわらいだ気がしました。

やがて電車が次の駅に着くと、男性は絵本を閉じました。

「じゃあね」

子どもも小さく手を振ります。

「バイバイ」

男性はそのまま人の流れに乗ってホームへ降りていきました。

扉が閉まるまで手を振っていた子どもの顔には、もう涙はありませんでした。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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