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「うそでしょ。ねえ、姉ちゃん」祖母の最期に取り乱した大叔母へ、伯母が静かに頼んだこと

  • 2026.9.18
「うそでしょ。ねえ、姉ちゃん」祖母の最期に取り乱した大叔母へ、伯母が静かに頼んだこと

化粧をした祖母に、朝から人が会いに来ていた

祖母が亡くなった翌日、実家の仏間には白い布団が敷かれていた。

布団の見えない位置にはドライアイスが入れられ、訃報を聞いた人が朝から顔を見に来ていた。

私は三十を過ぎて初めて、座布団を並べてお茶を出す側に回った。

線香の煙が途切れないまま、昼近くまで人の出入りが続いていた。

「おばあちゃん、きれいにしてもらったね」

そう言われると、台所にいた伯母が少しだけ笑った。

「寝間着のまま人に会うなんて、母なら嫌がるからね」

祖母とずっと二人で暮らしてきた伯母は、前の晩からほとんど休めていなかった。

それでも人が来るたびに立ち上がり、お茶を入れていた。

玄関の戸が勢いよく開いたのは、昼を過ぎた頃だった。

入ってきたのは祖母の妹だった。

近所に住んでいながら、法事にも顔を出したことのない大叔母が、履物を脱ぐのももどかしそうに仏間へ入ってきた。

「姉ちゃん…うそでしょ。ねえ、姉ちゃん」

大叔母は布団のそばに膝をつくと、祖母の肩に両手を置いた。

「起きてよ。姉ちゃん、起きて」

そのまま肩を揺さぶったので、父が後ろから大叔母の肩を押さえ、伯母が片腕を取った。私も反対側から腕を支えた。

「待って、もうやめて」

「離してよ。だって、こんなの急すぎるじゃない…」

「分かってる。分かってるから、いったん手を離して」

伯母も声を震わせていた。

祖母の着物の襟は少しはだけ、布団の下に入れてあったドライアイスも位置がずれていた。

さっきまで静かだった仏間で、誰もすぐには言葉を出せなかった。

伯母が初めて、「今日はもう」と言った

伯母は祖母の襟元を直すと、しばらく黙ったまま座っていた。

それから仏間を出て、大叔母の息子に電話をかけた。

十分ほどすると息子夫婦が着き、玄関先で何度も頭を下げた。

「すみません。母も、かなり動揺していて…」

伯母は少しうつむいてから答えた。

「それは分かります。私だって、まだ何が何だか分からないから」

そこで一度言葉を切った。

「でも、今日はもう連れて帰ってください。私も少し休みたいです」

「…分かりました。本当にすみません」

息子夫婦に腕を支えられながら、大叔母は何度も祖母のほうを振り返った。

「姉ちゃん、ごめんね…」

その声に伯母は答えなかった。ただ、乱れた祖母の着物をもう一度ゆっくり整えていた。

火葬の日、大叔母も来ていた。

最後のお別れで棺の蓋が開くと、大叔母は列から一歩前へ出た。

「もう少し近くで顔を見たいの」

また勢いよく近づきそうになったため、父が正面に回った。

「今日はゆっくり見送ってください」

大叔母は祖母を見つめたまま、動かなかった。

「これで最後なのよね…」

伯母は棺のそばで、白い花を一輪ずつ祖母の肩のあたりに置いていた。

大叔母がもう一度手を伸ばそうとすると、伯母が顔を上げた。

「お願い。今日はこのまま送らせて」

強い言い方ではなかった。

大叔母はしばらく何も言わなかった。

やがて手を下ろし、小さくうなずいた。

「…分かった」

係の人が静かに棺の蓋を戻した。

伯母は最後まで何も言わず、閉じられていく蓋にそっと手を添えていた。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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