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建築家マルコ・ラヴィットが、19世紀の小さなアパートをミラノの隠れ家として再生

  • 2026.9.16
Helenio Barbetta

現代におけるエコ・サステナブル建築の最も重要な推進者の一人であり、コレクターを魅了する家具や照明を手がけることでも知られるマルコ・ラヴィット。彼は長年にわたりパリを拠点としており、リッカルド・ブルーマーや著名なスタジオLAN Architectureで経験を積んだのち、2014年に同地で自身のアトリエを開設した。生活の拠点は長らくパリにあるが、近年はミラノで過ごす時間があまりにも多くなったため、セカンドハウスを構えるのが得策だと判断し、今回のプロジェクトを進めるに至った。UK版「エル・デコ」より。

Helenio Barbetta/Living Inside

19世紀に建てられた典型的なミラノのアパートが甦る

物件探しは、主要な2つの駅に近い古い下町エリア「イゾラ」を中心に進められた。

マルコ・ラヴィットは説明する。「パリからの行き来がしやすく、ローマやヴェネツィア、ナポリへの移動にも便利です。車を使えば、ミラノ北東部のブリアンツァ地区にある数多くの家具工場や職人たちの工房へも簡単にアクセスできます。行動の拠点として非常に便利な場所でありながら、小さな村のような温かみもあって。それが自分にとってはとても大切なのです」

彼が見つけたのは、19世紀の典型的なミラノの建物の最上階にあるアパートだった。若いクリエイターもいれば、面白い昔話を聞かせてくれるお年寄りもいるという、住民たちの飾らない雰囲気に何よりも惹かれたのだという。床面積はコンパクトだったが、道路側と、藤のツルが覆う中庭側にそれぞれ窓があり、その可能性に魅力を感じた。

ラヴィットは、昔ながらの仕切られた2部屋をつなぎ、ロフト風のワンルームスタジオへと改修することで、小さな隠れ家のような空間の隅々まで自然光が行き届くようにした。

「建築家として興味深かったのは、光と空間の質です」と彼は振り返る。「現代的なライフスタイルに合わせて再解釈しました。普遍的でありながらも、私にとっては非常にミラノらしい空間に仕上がっています」

Helenio Barbetta/Living Inside

親しい友人だけを招くコージーな空間

天井は一度解体され、木製の板張りで仕上げられている。「温もりと個性が加わりますし、上部にプロジェクターやスピーカーを設置することもできます。絵画を飾るフックとしても使えるので、まるで小さな劇場のようですね」と彼は語る。

使用されている主な素材は、木材、ミラー、シチリア産のネロ・ダヴォラ石。シンプルで飾らないものばかり。マルコは、床の寄木の寸法を天井や壁の木材と揃えることで、空間に連続性と統一感をもたせた。壁に張ったミラーが視覚的な歪みを生み出す。

「空間の構造がどうなっているのか、一見しただけでは分からないと思います」と彼は語る。「バスルームの存在を隠すのにもミラーを使いました。反射したさまざまな素材と光だけが目に入ります」

このコンパクトなアパートに大人数を呼ぶことはないが、マルコはそれで構わないという。リビングを見渡せるお気に入りのキッチンでコーヒーやアペリティフを用意し、親しい友人を数人招いて寛ぐのが彼のスタイルだ。

「ソファの“トーゴ”は座面がかなり低いので、本当に寝転がるようにくつろぎながら、大きな窓からの景色を楽しめます」

Helenio Barbetta/Living Inside

置かれている家具のほとんどは、彼自身のデザインによるものだ。「自分の試作品をコーディネイトするのはいつもワクワクします!」と彼は笑う。

マルコは木材の持つ多彩な魅力に惹かれている。「木には、気候や水分に適応する力があります」と彼は語る。「細かくて複雑なディテールを施すこともできれば、巨大なパビリオンの構造材として使うこともできるのです」

彼は、この代表的な自然素材が色合いや質感、さらには香りまでをも経年とともに変化させていく様子を大切にしている。

「こうした変化の美しさを理解し、受け入れることができれば、数え切れないほどの可能性を思い描くことができるでしょう。それは単なる装飾ではなく、構造の本質なのです」と彼は力強く語る。

Helenio Barbetta/Living Inside

エル・デコ インターナショナル デザイン アワードの受賞歴も

マルコは「家具デザイン」と「建築」という2つの異なる分野で活躍し、そのどちらでも高く評価されている。2022年には、「リビング・ディバーニ」のために手がけたアームチェア“レムニ”がEDIDA(ELLE International Design Awards)のシーティング部門のグランプリを受賞。その洗練されたミニマルなデザインは、家具と建築を分け隔てない彼の哲学を完璧に体現している。

新しい試みに挑むのが好きだという彼は、昨今「MDFイタリア」と「リビング・ディバーニ」のために椅子と照明のコレクションを手がけている。デザイナーが極めるのが最も難しいとされるのがまさにこの2分野だという。「照明は単なるモノではなく、空間の雰囲気そのものを変えるものですし、椅子は心地よさを追求することがとにかく簡単ではないからです」

さらに彼のスタジオでは、フランスやイタリアでホテルなどの宿泊施設のプロジェクトも進行中。彼がその名を知られるきっかけとなった、自然と共生するエコロッジやホテルの設計に再び取り組んでいる。

Helenio Barbetta/Living Inside

まずは、課題と解決策について深く考えること

常に多忙を極めるラヴィットだが、このミラノの小さな隠れ家が持つ居心地の良い静けさをとても大切にしている。実務作業をするには狭いものの、彼のものづくりに欠かせない「思考を巡らせる時間」を過ごすには完璧な場所だ。

「パリのアトリエでも気づくことですが、集中して作業ができる特別な空間がある一方で、全く落ち着かない場所もあります」と彼は語る。「ミラノに来てからの2日間は、思考を巡らせて仕事をし、ドローイングを描き、執筆に没頭できると感じています」

こうした思索的なアプローチは、マルコの原点であるデザインの背景に根ざしている。彼はパリ建築大学(エコール・スペシアル・ド・ラ・アルシテクチュール)で建築を学んだが、ここは技術的な面よりもコンセプチュアルな教育に重きを置く学校だった。「その姿勢は、今でも私の仕事の核となっています」と彼は言う。「空間であれ、素材であれ、技術的なプロジェクトであれ、課題と解決策について深く考えることに魅力を感じます」

彼はどのようなプロジェクトにおいてもこのアプローチを貫き、自らのビジョンに妥協することはない。だからこそ、クライアントは彼に惹きつけられるのだと確信している。

「私たちの仕事のスタイルを知っているからこそ依頼してくれますし、私たちのやり方で進めることを望んでくれるのです」彼のスタジオは大小問わずさまざまな仕事を手がけており、水面に浮かぶ木製のキャビンからツリーハウス、そして彼自身の自宅のような都市型の隠れ家まで、あらゆるものを生み出している。

「同じようなプロジェクトやプロセスを繰り返すのは好みません」と彼は説明し、毎回異なる手法をとることが必ずしも簡単な道のりではないことを認めつつも、その多様性や未知の領域こそが自身の創造性をかきたてるのだと語る。「その方がワクワクしますし、私は実験的な挑戦が好きなんです。手を動かしながら学び続けなければならないことはたくさんありますからね」

Original Text: PHOEBE FRANGOUL Photo : HELENIO BARBETTA(Living Inside)

>>UK版『ELLE DECOR』のオリジナル記事はこちら

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