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【ルームツアー】周囲の自然と対話するコンポルタの隠れ家

  • 2026.8.17
Nicolas Matheus

ポルトガル西岸のリゾートとして知られるコンポルタ。松林と水田が広がる穏やかな風景の中に、建築家ゴンサロ・ピレス・マルケスが手掛けた家が佇む。『エル・デコ』2026年8月号より。

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木の家具と造作ベンチがコミュニケーションを促す

ポルトガル西岸のリゾート、コンポルタ。海岸線からほど近いこの土地には、広大な松林と水田が織りなす独特の風景が広がっている。その自然豊かな環境の中に立つこの住宅は、建築家ゴンサロ・ピレス・マルケス率いる、リスボンを拠点とする建築設計事務所ピマーによる設計だ。

<写真>1950〜70年代のモダニズム建築に見られる「カンバセーションピット」をイメージしたリビングスペース。掘り下げた空間に造作ベンチを配し、「マデュラ」と「リソワ」のクッションを合わせた。アンダルシア産のラグの上に、ショールームGDのテーブルと籐のアームチェアが並ぶ。

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プールの明るい水面とモザイクタイルがきらめく

敷地を訪れた建築家が着想源としたのは、近隣の港町カラスケイラに残る漁師小屋だった。地域に根づく素朴な建築文化を現代的な言語で再解釈しようと考えた彼は、ひとつの大きな建物ではなく、機能ごとに分節された5つのボリュームをレイアウト。それらを木製のデッキや渡り廊下で結ぶことで、まるで集落のような住まいを構想した。

<写真>ウォーターグリーンのモザイクタイルで仕上げられたプール。松の木陰には、地元の職人が製作したショールームGDのサンラウンジャーを並べた。タイルの色に合わせたファブリックで仕立てたマットレスは、ガストン・イ・ダニエラによるもの。奥の赤いラウンジャーは、“トリップ”。

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天井のデザインが空間の個性と響き合う

ピレス・マルケスは振り返る。「それぞれのボリュームに固有の個性を与えるため、形状の異なる屋根を考えました。リビング棟の屋根は高く持ち上げて開放感を強調し、一方で寝室棟の屋根は低く抑え、より親密で包み込まれるような空間を目指しました」

<写真>それぞれ異なる形状の天井が各空間の個性を映し出す。ダイニングとキッチンの上部に広がる熱処理を施した木材による天井面は聖堂のようなスケール感を備える。チェア“サルマ”とバンブー素材のペンダントライトはいずれも「アンドレア・ハウス」。テーブルはオーダーメイド。

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メイン棟を鮮やかに彩るグラフィカルなライン

建物は松林のあいだに慎重に配置され、周囲の景観を尊重するように佇む。木立の隙間から差し込む光や風、季節によって表情を変える植生が日常の風景となり、建築は自然のリズムと呼応する。メイン棟の内部はリビング、ダイニング、キッチンをひとつの空間にまとめた開放的な構成。随所に設けられた大きな開口部が屋内と屋外をゆるやかにつなぐ。

<写真>メイン棟の内部。リビング、ダイニング、キッチンがひとつの空間にまとめられている。玄関を入ると同時に、ショールームGDが手掛けたグラフィカルなコーディネートが目に入る。「ナニマルキーナ」の幾何学模様のラグと、迷路のようなパターンを描いたアートが呼応している。

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自然の素材同士がリズムを奏でる寝室

仕上げには木材やコンクリート、鉱物由来の左官材など、土地の風景になじむ素材を採用した。印象的なのが、リビング上部に設けられた三角形のトップライトだ。空に開かれたこの開口が、時間と共に変化する光を室内へと導き、自然とのつながりをいっそう強く感じさせる。

<写真>ゲストルームのベッドルームのひとつ。パイン材の羽目板張りの天井と共鳴する、自然素材が配された温かみのある空間が広がる。ラグはアンダルシア産、壁付けのデスクとチェアはショールームGDのもの。照明は「ハウスドクター」、ミラーはマルク・モロによる“ウィルソン”。

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快適な滞在を約束する3棟のゲストルーム

屋外空間もまた、この住まいの重要な要素だ。ランドスケープデザインを手掛けたアドリアナ・グリフォは、地域固有の植物を用いながら、建築の延長として庭を構成した。敷地の中心には中庭のようにプールが据えられ、その水面には松の木々と青空が映り込む。

<写真>独自の個性を備えた3棟のゲストキャビン。同じモジュールで構成された3つの空間にはそれぞれバスルームが備わり、プールや庭へ直接アクセスできる。テーブルとサンラウンジャーはショールームGDのアイテム。マットレスには、「ガストン・イ・ダニエラ」の生地を張った。

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親密な交流を深めるアウトドアリビング

コンポルタは近年、ヨーロッパ屈指のリゾートとして注目を集めているが、その魅力は華やかな観光地としての顔だけではない。松林や砂地、水田が連続する穏やかな風景には、自然の時間に身を委ねる暮らしが息づいている。

<写真>木板のアプローチの先には、クッションが並ぶ心地よいアウトドアラウンジが広がる。メイン棟のリビングと同様に、「カンバセーションピット」の発想を取り入れたこのスペースは、読書を楽しんだり、アペリティフを片手にゲストと語らうための場所として機能している。

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この住宅もまた、そうした土地の精神を受け継ぐ存在だ。木製のデッキで各棟を行き来する構造は、外気や光、植物の気配を感じながら過ごすための仕掛けでもある。屋内外を頻繁に行き来しながら一日を過ごすことで、住まい手は自然環境の変化を身体的に感じ取る。

<写真>キッチンの前のテラスでも食事が楽しめる。ラッカー仕上げのスチール製テーブルは、ロシオ・ガンビンのデザインした“イージー ダイニング”シリーズのアイテム。チェアは「ガンディアブラスコ」。隣には、「ガストン・イ・ダニエラ」のテキスタイルを張ったラタン製のベンチを配置。

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庭とダイレクトにつながるバスルーム

建築は主張するのではなく、風景の一部として静かに寄り添う。その控えめなあり方こそ、このプロジェクトの最大の魅力といえるだろう。

<写真>ランドスケープデザイナーのアドリアナ・グリフォが手掛けた庭と、大きな開口部を介してつながる主寝室のバスルーム。グレーのマイクロセメントで仕上げられた室内には、埋め込み式のバスタブとシャワースペースが設けられている。水栓金具はポルトガルの「ブルマ」の製品。

Realization:LAURENCE DOUGIER Photo:NICOLAS MATHEUS

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『エル・デコ』2026年8月号



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