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「まだ話終わってないだろ!」割引券が使えない会計に怒った客。しかし、従業員通路まで追いかけてきた結果

  • 2026.9.17

割引券の裏に、小さく書いてあったこと

閉店まで一時間を切った時間だった。さっきまでカウンターで楽しそうに話していた男性が、伝票を手にレジへ来た。

ホールの責任者はその日休みで、いちばん勤続の長い私がレジに入っていた。

男性は、その日の食事の伝票と、後日受け取るテイクアウトの注文票を並べて置いた。

その上に、割引券を一枚重ねる。券の裏には、店内でのお食事に限ります、と小さく印刷されていた。

「すみません。この券は店内で召し上がった分にだけ使えるので、テイクアウトとはお会計を分けさせていただきます」

男性は伝票を見下ろし、眉を寄せた。

「え?面倒だな。まとめて会計しろよ」

「申し訳ありません。店内のお食事分には、こちらの券でちゃんと割引が入りますので」

「いや、そうじゃなくてさ。そっちでまとめてやってくれればいいだろ」

声が少しずつ大きくなり、近くのテーブルにいた何人かがこちらを見た。

私はレジの画面を男性のほうへ少し向け、店内の分だけを打ち込んで見せた。

「こちらがお食事分です。この金額から2割引になります。テイクアウトの分だけ、別でお願いしたいんです」

男性は大きく息を吐いた。

「だから、まとめて会計しろよ。何回言わせるんだよ」

「…すみません。こちらの券では、そういう扱いができないんです」

少し間があって、男性は「もういいよ」と財布を出した。

食事の分は2割引になり、レシートを渡すところまでは、いつもの会計と変わらなかった。

裏の通路に、足音が近づいてきた

続いてテイクアウトの注文票を確認すると、受け取り希望の欄に、店では対応できない時間が書かれていた。

仕込みの都合で、その時間だけはどうしても用意ができない。

私は注文票を見たまま、一度息をのみ、もう一度頭を下げた。

「すみません、もう一点だけ。このお時間だと、ご用意ができないんです」

「は?じゃあ、これ書いた意味ないじゃん」

「申し訳ありません。このお時間でしたら、お受けできます」

「それなら最初に言ってくれよ。さっきから何なんだよ」

「……申し訳ありません」

何度も謝っているうちに、目の奥が熱くなってきた。

客席の前で泣くわけにはいかない。そう思い、レジを別の学生に代わってもらい、私はレジ脇から続く、客席から見えない裏の通路へ下がった。

壁に手をつき、ゆっくり息を吐いた。

すると、レジのほうから足音が近づいてきた。

「ちょっと、待てよ」

振り返ると、男性が通路の入口まで来ていた。

「まだ話終わってないだろ。急にいなくなるのは違うんじゃないの?」

私はとっさに返事ができなかった。

「こっちだって話してるんだからさ。ちゃんと最後まで聞いてくれよ」

そのやり取りの途中で、キッチンの扉が開いた。

出てきた社員は男性が通路の入口にいるのを見ると、私とのあいだに入った。

「すみません。ここから先は従業員用です」

男性が口を開きかけると、社員はそのまま落ち着いた声で続けた。

「続きは私がお伺いします。こちらでお願いします」

「いや、でも、この人が途中で」

「はい。お話はこちらで伺いますので、レジへお願いします」

社員が手のひらでレジの方向を示し、自分から先に歩き出した。

男性は一度こちらを見たものの、それ以上は何も言わず、その後ろについて戻っていった。

しばらくして自動ドアの音がした。

店の中が少しずつ、いつもの音量に戻っていった。

別の社員が紙コップの水を持ってきて、私の横にそっと置いた。

「大丈夫?すぐ戻らなくていいから。これ、飲んで」

「……ありがとうございます」

紙コップを持つと、ようやく肩の力が少し抜けた。

私は水を一口飲み、もう一度ゆっくり息を吐いた。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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