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「ダメ」「来ないで」と言われた娘。滑り台をふさいでいた男の子が、そのあと自分から動いた理由

  • 2026.9.15

滑り台の踊り場から降ってきた声

家族の休みが重なった日曜、少し大きめの公園まで出かけた。娘が滑り台の階段に足をかけたところで、上から短い声が降ってきた。

「ダメ」

娘が足を止める。

すると、もう一度。

「来ないで」

声の主は、娘より少し年上に見える男の子だった。踊り場に立ったまま、階段の下をじっと見ている。

娘は困った顔で私を振り返った。

「ママ…」

「うん。いったん降りようか」

私が手招きすると、娘は少し残念そうな顔をしながら階段を降りてきた。

少し待てば男の子も滑るだろうと思ったが、なかなか動かない。近くを見回しても、その子に声をかける大人はいなかった。

娘を連れてベンチへ戻ると、夫が遊具を見ながら聞いた。

「どうしたの?」

「上にいる子に『ダメ』って言われて。もう一回行こうとしたら、今度は『来ないで』って」

「あの子?」

「うん。ずっとあそこにいるけど、お父さんかお母さん、どこだろう」

夫も辺りを見回した。

「ひとりで来るには、まだ小さそうだよね」

そんな話をしていたときだった。

男の子が遊具の上から、少し離れたベンチに向かって大きく腕を振った。

「ねえー!こっち見てー!」

その先には、大人が一人座っていた。手元に目を落としていて、すぐには顔を上げない。

「ねえってばー!」

二度目の声で、ようやく顔が上がった。

男の子は相手がこちらを見たのを確かめると、また遊具のほうを向いた。

私は思わず夫と顔を見合わせた。

「…あそこにいたんだ」

「うん。離れて座ってたんだね」

声をかけようか迷っているうちに

娘は別の遊具へ走っていった。それでも私は、滑り台の踊り場にいる男の子が少し気になっていた。

「あの子、ずっとあそこにいるね」

「そうだね」

「声、かけたほうがいいかな…」

立ち上がりかけた私に、夫が言った。

「もう少し見てみようか。危ないことをしてるわけじゃないし」

確かに、男の子はただ踊り場に立っているだけだった。私はもう一度腰を下ろした。

そのとき、砂場のほうから同じくらいの年の子が走ってきた。

遊具の下まで来ると、男の子を見上げる。

「ねえ、遊ぶ?」

男の子は首を横に振った。

「いい」

声は、さっき娘に向けたときよりずっと小さかった。

声をかけた子は少しだけそこに立っていたが、広場のほうを指さした。

「あっちで鬼ごっこするんだけど、来る?」

「…行かない」

「そっか」

その子はいったん走り出しかけて、途中で振り返った。

「やりたくなったら来てね」

そう言い残して、広場へ戻っていった。

男の子はしばらく、その後ろ姿を見ていた。

それから少したって、自分で階段を降り始めた。

広場の近くまで行くと、さっきの子が男の子に気づいた。

「あ、来た!」

男の子は少し照れたように立ち止まった。

「鬼ごっこ、する?」

今度は小さくうなずいた。

「じゃあ、こっち!」

二人はそのまま走っていき、何人かの子どもたちの輪に混じった。

しばらくすると、「待ってー!」という声と笑い声が広場から聞こえてきた。

その声に気づいたのか、離れたベンチにいた大人も顔を上げた。少しして立ち上がり、遊具の近くまで歩いてくる。

走っていた男の子も、その姿に気づいた。

「鬼ごっこしてる!」

「そうなの。楽しそうだね」

「うん!」

「転ばないようにね」

「わかってる!」

男の子はそれだけ答えると、また子どもたちのほうへ走っていった。

私はその様子を見ながら、さっき口にしかけた言葉をそのまま飲み込んだ。

少しして娘も滑り台へ戻った。今度は階段の前で立ち止まることもなく、そのまま楽しそうに上っていった。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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